問題がわからないという問題

コンサルの現場でよく発生する「問題」である

まず,ここでいう「問題」とは,理想と現実のあいだに許容できない「差」があることと定義する.だから,すくなくても,「理想」あるいは,「想定した『ゴール』状態のイメージ」が前提としてないといけない.

もうひとつのタイプは,「問題」がたくさんありすぎて,どう整理したらいいかという「混乱状態」のことだ.簡単にいえば,どこから手をつけていいかわからなくなってしまっている.この状態の原因も,上述した「理想」や「ゴール」がはっきりしないことだ.それで,事象がこんがらがるのだ.だから,こんがらがった事象のひもときと,「理想」や「ゴール」はどういう状態かを同時にかんがえなくてはならない.

ロジカル・シンキングの訓練

こういう状態にいたったのは,経営者のかんがえかたが整理されていないのがほとんどの原因である.また,こういう経営者ほど,頭脳は明晰である.だからひとりで問題をかかえこんでしまう.そこで,ひとり思案をかさねるのだが,そこに共通の特徴がある.それは,紙に書かない,ということだ.頭の中だけで思考をめぐらすのだ.
囲碁や将棋の名人なら,盤面がなくても頭の中だけで何局でもできるそうだし,対戦中はものすごく先まで手を読むことができるという.しかし,こんな超人的なことができるのも,子どものときからの訓練のたまものである.
だから,考えごと,には訓練が必要で,それでコツを覚えると,ものすごくクリアになるのだ.
その,コツのひとつが,紙に書く,という行為である.

問題解決の思考を,紙をつかわずにめぐらすと,かならずどこかの「階層」でつまずく.それが,ぐるぐるループして,結論の前にくじけてしまう.これが,他人からは,「問題を放置」しているようにみえてしまう.もちろん,結果的に「放置」しているので正しいみえかたなのだが,本人にとっては,まったくそのつもりはないから,さらに問題がこんがらがる.
本人は「一生懸命にかんがえている」のだから,なにもしていないのではないし,むしろ,ものすごく苦労している自分をしっている.しかし,残念ながらひとの頭のなかは他人にはみえない.だから,従業員は,「うちの社長はなにをかんがえているのかわからない」と陰口をたたくし,実際それでなにかが決まることはないから,業績も改善しない.
こうして,経営者と従業員の意思疎通もおかしくなるのだ.

とにかく紙に書くという習慣をつける

いまどきだから,本物の「紙」でなくて,スマホの「メモ」でもよい.「文字にして残す」ということが大事なのだ.ここで注意したいのは,残すのは文字ではないということだ.
残るのは,「思考の航跡」なのである.
どんな順番でかんがえたのかがわかるから,あるキーワードを思いついても,その周辺の思考から,それが結論ではないこともわかる.また,そのキーワードから,別のことを思いつくことがある.これらをランダムで書きとめても,あとから眺めて整理すればよいのだ.
誰もがすぐに気がつくのは,頭の中だけでかんがえていたのと,まったくちがうレベルのことをかんがえつくということだ.
さらに,アイデアはリラックスしているときほど出やすいから,ひとりなら散歩のときや就寝中の夢でうかぶことがある.それで,世界的な技術者や大学者も,枕元にメモ帳をおくはなしが世界共通にある.わたしは,ひとりで散歩するときにはICレコーダーをポケットにいれておく.
最近の業績のよい業界などは,従業員用にリラックス空間をつくるなど,会社がいろいろと気をつかっている例が報道されているが,これは,よいアイデア,を会社が得るための投資なのであって,決して従業員を甘えさせているのではない.経営者も,従業員も,よいアイデア,を産むことこそが,業績向上の決め手だから,そのための投資は本気なのだ.

企画なら,「5W1H」は必須であるが,「問題解決」なら,つぎの六通りのチェックがやくにたつ.

1.前提条件をなくしてみる
2.やり方を見直す
3.道具や装置などの機能確認
4.やり直す手間とコスト
5.致命的な問題か
6.問題ではないかも

正月休暇も終わって,今日から出勤というひとも多いだろう.
是非,お試しあれ.

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