終わりよければすべてよし。
とはぜんぜんならない。
終わってみれば、ただの空騒ぎだった、のだ。
しかし、みんなで浮かれて踊ったのではなくて、家にこもって「自粛」したいた、というおそまつだった。
今回の「流行病(はやりやまい)」は、つまるところ、「ふつうの風邪」だった。
わが国における「患者数」の割合は、1万人にひとりで、重症者は40万人にひとりだった。
重症にならなかった、ほとんどの患者のひとたちは、「よくある風邪の症状」で回復したのだ。
それで、なんの罪もない店舗の経営が行き詰まったのだから、まったく「やるせない」ことになっている。
山梨の女性の件だって、ヨーロッパ中世の「魔女狩り」そのもので、常軌を逸しているのは騒いでる側の方である。
『ペスト』は確かに恐るべき感染症だが、今回のはふつうの「風邪」だったからだ。
ところが、振り上げた拳を下ろすことができなくなった「政府」と、「政治家」は、謝るタイミングも失したから、さらに余計なことをやらせて、責任回避を図っている。
たとえば、スーパーマーケットを経済再生担当大臣が視察して、混雑を「密」だといって脅し、入店制限なりのさらなる嫌がらせを推進させる。
このひとは、今回の「感染メカニズム」を、いまだに理解できないのではなくて、あやまった理解を「強引にでも継続する」しかもう責任回避の方法がないのである。
ならば、さっさと辞任すべきだ。
しかし、おとぼけがたくさんいて、大阪府知事が自粛延長について政府依存の発言をしたら、頭脳がクリアなこの大臣は、「仕組みがわかっていないのではないか?」とのたまった。
首相の「緊急事態宣言」は、都道府県知事に権限を委譲するものだから、大臣の意見がただしい。
それで、府知事が「謝罪」することになるというハプニングまで起きた。
つまり、複雑な「法の趣旨」が理解できる大臣が、どうしたら「感染するのか?」を知らんぷりしているのである。
空気感染しないから、「密」なんて関係ないし、自分が咳をしていないならマスクの着用も必要ない。
レジの「膜」も意味不明だし、並ばせ方も「待ち行列理論」に合致しない。
重要なのは、買い物客には商品に触ったらそのままカゴに入れ、棚に戻さないことを「買い物マナー」にすべきだし、店外に消毒液を置いて使用を促すことが対処法として推奨すべきなのだ。
視察した大臣が、こうしたアドバイスをするのではなく、利用客という国民にこれまで以上の不便を強いるとは、お門違いもはなはだしい。
スーパーマーケット業界は、こぞって「抗議文」を突きつけるべきであるし、もっと強い「警告文」でもいいのではないか?
大臣のこれ以上の非合理的介入は、営業妨害に相当する、と。
そして、この警告を無視するなら、訴訟もありうるとすればなおよい。
送付先は、大臣本人と所属政党がのぞましい。
さてそれで、権限が委譲された知事たちの対応が乱れた。
温泉旅館などの自粛要請を解いても、特定の業界の自粛要請は解かない、という理不尽もおこなわれている。
その理由の、合理的説明がないのは、やはり「営業妨害」である。
これは、解かれた側にも営業妨害にあたるのは、どうしてこの業界だけが解かれたのか?についての合理的説明がないからで、利用客からすれば、自粛が解除になろうが「不信感」だけがつのるからである。
すると、わが国では、国も地方も行政が、「営業妨害」をすることが「トレンド」になっているのである。
もはや「自粛」ではなく「自虐」なのだ。
発生源の国がつく「うそ」は、自分たちに都合がよいようにするため、という原則から決してはずれない。
しかし、わが国は、自分たちを痛めつけるために「うそ」をつくのである。
そうすれば、痛いめにあったひとたちが、政府に尻尾を振って近づくからである。
もちろん、「犬」相手でもこうした方法でなつかせる手法はあるが、推奨されないのは「心の絆形成」ではないからである。
しかし、政府にとって、心の絆ではないことは、かえって都合がよい。
これを「絆し(ほだし)」というのだ。
「絆」という「字」には、「きずな」と「ほだし」の二面をあつかう意味がある。
「家族の絆」はなんだか温かいが、「DV一家から逃げられないのを絆し」ともいう。首輪でつながれた状態をいう。
政府と対峙してきた財界は、とっくに「絆されて」しまって、だれも政府にたてつかない。
しかし、今回の政府による「対策」は、あきらかに「失政」だし「圧政」のはじまりである。
伝統的な経済官庁も、営業妨害がだいすきなのだ。
そういう意味で、自粛がまだらに「崩壊」しているのは、結構なことである。
けれども、民間企業がこぞって政府に対峙しないと、やられてしまう恐怖が教訓となった。
なんと、わが国の経済活動で、最大の敵は、ライバル企業でもなんでもなく、「甘いことしかいわない」政府なのであった。
これがわかったことが、自粛をやった唯一の効果なのである。