消費税について、なぜか一口で「消費税」という。
しかし、消費税は「国税」(7.8%)部分と「地方税」(2.2%)部分とでできていて、合計10%となっている。
かんたんにいえば、地方税部分を「減税」すれば、令和元年10月1日より前の税率に戻れる計算になる。
ここでいう「地方消費税」とは、都道府県税のことだ。
すると、22日に公示された参議院選挙で、「消費税廃止」とか「消費税減税」を「公約」にしている野党が推した、知事は、どうなっているのか?
【公約】
立憲民主党:税率5%への時限的な消費税減税を実施
日本維新の会:消費税の軽減税率を8%から段階的に3%(状況により0%)に引き下げる。その後、消費税本体は2年を目安に5%に引き下げる
国民民主党:賃金上昇が物価+2%に達するまでは消費税を5%に減税する
日本共産党:消費税を5%に緊急減税
社民党:消費税を3年間ゼロ
【知事】
岩手県(民主党)、
山形県(無所属:(支援)民主党・社会民主党・日本共産党)、
静岡県(立憲民主党・国民民主党)、
滋賀県(民主党)、
沖縄県(自由党)※(⇒民主党)、
埼玉県(国民民主党)、
千葉県(無所属:(支援)立憲民主党や国民民主党、日本維新の会)
なお、消費税とインボイスの廃止を公約にしている「れいわ新選組」と、とくに消費税に触れていない「NHK党」からは、知事がいないため省略する。
以上から観ると、「地方消費税」についての言動が皆無なのに、国税の方は勇ましい公約を掲げている「理由」がわかる。
要は、最初から「やる気がない」のだ。
できもしない「公約:マニフェスト」を掲げて、有権者の票を獲得しようという作戦とは、「詐欺」あるいは、「掠奪」にひとしい。
このことに憤慨している有権者が、「無党派層」という最大規模になって、選挙に「行かない層」なのである。
野党の「嘘」は、常に批判の対象となる与党に「有利」となる当然がある。
つまるところ、自・社の対立構造に見せかけた、「談合政治」をやっていた「55年体制」があったけど、いまは「与野党の対立」そのものが「談合」になって、社会党の役回りを「全野党」が演じているにすぎない。
これを、「プロレス化」というのである。
本物のプロレスファンには申し訳ないが、プロレスの醍醐味とは、事前シナリオに基づいた「試合」を、「興行」していることにある。
それゆえの、大胆な技を、観客は楽しんでいる。
もっとも、わが国伝統の「相撲」だって、もとは「神事」として「奉納」するものだったから、これが後に、境内での「興行」となった。
それがさらに発展して、「番付」ができたものだ。
だから、文部省管轄で「スポーツ」になった瞬間に、本質的な相撲のプロレス性を自己否定させられて、すべての「残念の根」ができた。
これを上塗りしたのが、「公益財団法人」になったことだった。
「一般」のままか、「株式会社」にしたら、よかったものを。
プロレスはこうした「利権化」から免れた。
それがまた、「健全性」を保持する理由なので、プロレスファンの「ファンたる理由」に納得できるのである。
しかし、「国政」とか「地方自治」の、「プロレス化」はいただけない。
圧倒的な与党に、歯が立たない野党。
にもかかわらず、マスコミはあたかも「対等」のように扱い、与党も野党からの批判をされないような「へりくだった態度」をとっている。
これは、与党にとって「プロレス状態」が望ましいからだ。
あたかも、野党からの「チョップ」が与党にダメージを与えたように見せることで、大衆が「溜飲を下げる」ようにすることが、与党の支配を強固にするからである。
そうやって、とうとう与党から、選挙という概念が消えた。
なので、国民選択にとって重要な決定を、選挙の「争点」とすることもしないで、どんどん「勝手に」重要なことを決めてしまうことになったのである。
つまり、国民は完全に「蚊帳の外」にいる。
どうして選挙が与党にとって関係ないのか?かは簡単な理屈で、選挙を何回やっても、「与党が勝つ」構造が完成したからである。
逆にいえば、野党が負け続ける構造が完成した。
圧倒的な「無党派層」は、呆れて選挙に行かないために、投票率が半分以下になったのだ。
すると、利権を維持したくて必ず投票に行く小数派が、多数を獲得することになったからである。
これは、あたかも「ナチスの台頭」プロセスに酷似していて、当時のドイツで圧倒的な「自由主義者」が、あまりに呆れて、あるいはバカにして選挙に行かないで放置していたら、小数派による圧倒的支持で、政権を奪取されたのだった。
それから、この圧倒的な自由主義者へのこれ見よがしの弾圧で、とうとう「ああなった」のだった。
分母を全有権者としたら、前回衆議院選挙での自民党の支持率は、20%もない。
おそるべき「弱小政党」が、圧倒的議席をもっている。
すると、野党とは、「蟻」のような存在でしかない。
わが国は、かつてのワイマール共和国の様相を呈しているのである。