大統領令13848の延長

前政権の行政令(大統領令)を、就任初日からことごとく否定して、1日で50本を越える大量の大統領令にサインしたバイデン氏であったが、昨年、1本の大統領令を「延長」していたことがわかった。
それが、なんだか「変」で、理由が不明なので書いておく。

2018年9月12日に、トランプ大統領が発した、選挙における外国勢力の介入を調査し、罰するための「大統領令」のことである。

ちなみに、気のはやいひとが、「大統領令」はなんでも発出できる「独裁」を可能とするので、トランプは独裁者だ、という「論」をいうひとがいるけれど、ぜんぜんちがう。
それなら、歴代大統領はみな独裁者になる。

わが国よりずっとはっきりした「三権分立」があるのがアメリカ合衆国だから、完全に機能しているかは「別」として、立法機関の「連邦上・下院議会」が決めた法に従って、その範囲での行政権を行使するのが「大統領の職務」である。

だから、本件の大統領令にも、まず「根拠法」が列挙されて、それらに基づいていることを前提としている。
大統領が「俺が法律だ」ということに、制度上もなっていないばかりか、あんがいと大統領権限は小さいのだ。

気のはやいひとが、「勘違い」してしまうのは、わが国の「議院内閣制」とぜんぜんちがうから、ということもあるけれど、それよりも、日本国民を「麻痺」させているのが、「法案」を行政府がつくることにある。

立法府である、「衆・参両院」が決めた法に、内閣以下の全省庁、それに都道府県・市町村、もちろん国民も従わないといけないのに、立法府に提出されて「審議」される法案自体が、行政府が書いたものという、おどろくほどの「矛盾」に、「慣らされて」しまっているのが、日本国民なのである。

アメリカ合衆国には、「議員立法」しかない。
わが国は、「政府立法=内閣立法」がほとんどで、議員立法は「珍しい」という状態になっている。

なお、わが国だって「(三権分立の)制度上」は、議員立法を旨とする「建前」があるので、「衆・参両院それぞれに法制局」があって、議員からの法案作成補助をもっぱらの業務とする部署があるし、「国会図書館」にいる「調査員」も、議員の法案作成に寄与すべく設置されている。

わが国最大かつ、すべての出版物を納入しないといけない「法」がある、国立図書館が、「国会図書館」なのは、国権の最高機関たる「立法府の議員立法」のためだからである。

それらが、なんだか「ムダ」になっているのは、前に書いたように、わが国最大与党の自民党が、「シンクタンク」の役割を、「官僚組織に依存」している「構造」に原因がある。

もちろん、この構造を、本来の行政府に戻す、ということがわが国存続のための最重要事項なのだけど、ほぼ「できっこない」のは、この構造が「利権」を生みだして、わが国の「政(界)、官(界)、産(業界)、学(術界)」を完全支配しているからである。

さてそれで、大統領令の話である。
当然に、当初、トランプ大統領が発した理由は、「2年後」の2020年大統領選挙を意識したものだった。

選挙後、「不正問題」を調査するために、国家情報長官の「報告」を前提とするが、なんだか「曖昧」になってしまって、この大統領令は「不発」に終わった感があった。

その理由が、オバマ氏が拡大再編した、アメリカ合衆国における「高級官僚制度」(SES:これを「DS」ディープステートという)で、超エリート官僚たちが、「報告執筆」の「非協力」をしたと、当時のラトクリフ長官が述べている。

結局、トランプ氏はホワイトハウスを去っていったけど、この大統領令は、「いつまで有効なのか」といえば、3年経った昨年の、9月11日で終了、というはずだった。

ところが、ホワイトハウスのHPに、昨年9月7日付けという「期限の直前」で、「継続のお知らせ」があったのである。
オリジナルとちがう部分は、「外国勢力による選挙への介入は現在までのところ確認されていない」が含められていることだが、なんとそのまま「1年間延長」をしたのだ。

これは一体どういうことか?
今年11月の中間選挙「前」に期限になる。

2年の延長ならわかるけど、どんな意味があるのか?
「アリバイ」か?
それとも、今年の9月になったら、「再延長」するのか?
だったら、最初から2年にしないのはどうして?

ちなみに、この書類には、バイデン氏の名前はあるけど、署名はない。
さらに、バイデン氏の名前の前に「肩書き」がない。
トランプ大統領が発出したときは、ホワイトハウス内で撮影したとみられる「写真」も公開されて、サインした書類を掲げて笑っていた。

はたして、「本物」なのか?
まさかホワイトハウスのHPが、何者かに乗っ取られている?
あるいは、ボケてしまったバイデン氏は、自分がなににサインしているのかほんとうにわからないのか?

などなど。

本物なら、誰がサインさせたのか?
「天に唾する」ことになるのかと、妙な期待がふくらんだけど、1年じゃあ、とため息が出るのであった。

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