宗教が死んだ日本に再生は?

外国由来の「自由主義」だったから、元来日本人には馴染みがなかった。
この「自由主義」のはじまりは、宗教的対立における「信仰の自由」をいうからである。

残念ながら、未開のヨーロッパには、中近東の砂漠を発祥地とする厳しい一神教が入りこんで、これを信じることしか許されない社会をつくった。
そして、その社会から産業革命へとつながる資本主義が誕生し、現代世界の礎となったのである。

けれども、資本主義がどうして生まれたのか?についての確定的定説が「ない」のも、現実であるから、さまざまな「説」が乱立することになっている。

あたかも、新型コロナウィルスを特定し、分離に成功したひとが誰もいないのに、「◯✕株」とかなんとかという「乱立」が、そもそも論を「陰謀論」に仕立て上げるようなことと似ている。

日本人がかなり特殊なのは、世界最古の王朝を継続させながら、宗教観を得たいのしれないほどに変化させてきた歴史があることだ。
その王朝の最深部にある「神性」を支える宗教と、現実生活世界における宗教が分離して別々になっているからである。

この意味で、我々日本人は、宗教的統合失調症にあるのだ。

わが国の中世秩序と近世秩序とを分ける「応仁の乱」から、一般人の信仰も高まって、一向宗徒による一向一揆がときの為政者を悩ました。
その悩みの深さが強い憎しみの感情になって、凄惨な皆殺しになったのが、伊勢長島の一向一揆の結末だった。

この地の近くに、巨大な遊園地をつくる感覚は、ユダヤ・キリスト・イスラム教徒からしたら、狂気の沙汰としかかんがえないだろう。
少なくとも後世に、巨大な鎮魂施設をつくるのが彼らの本分だ。日本人は、現世利益だけの施設を鎮魂とせず、「癒し」とした。

ならば日本人は、皆殺しに寛大なのか?といえばそんなことはないはずだけど、これをコメディ・ネタにして、オリンピックの演出を解任されたひともいた。
「若気の過ち」ではあるけれど、映像では観客が「爆笑」している問題があって、こちらの方がより「深刻」なのである。

こうしたことになったのは、いまも徳川時代の価値観が継続しているからであって、この意味でわが国は21世紀的ではなくて、「近代前期」のままともいえるし、決定的に西洋や中東とは別文化なのである。

では、徳川時代になにをしたかといえば、強大な武力を背景とした、圧倒的な迫力(実戦闘経験がある武将)による「宗教弾圧」なのである。
これでできたのが、「檀家制度」だし、「寺領」という制度であった。
よって、住民の意向とは関係なく、その地域に住んでいるだけの理由で、信仰対象が異なる宗派が決められた。

つまり、本人たちの信仰心は無視されたのだ。

人口の9割近くが農民だったから、簡単に引っ越しできない。
日本の農民は、ヨーロッパ的な「農奴(serf)」ではないけれど、信仰の選択の自由がない、という意味なら「農奴以下」にあたる論もあろう。

なので、今でも地方の農村で、狭い地域なのに宗派の違う寺が点在していたら、その建立年といわれを調べて一覧にすれば、地域内の対立をあぶり出すことができる。

それでもって、そうした地域内の分断が町内とか「区」として残っているものなのだ。
それが、とっくに「習慣化」されているからで、地域の中にいればいるほど、気づかないものでもある。

そんなわけで、いまの大変化(コロナを利用した分断とか、経済破壊工作を、政府がやっていることなど)に、気づかないというのは、日本という地域の習慣にどっぷり浸かっているからだとしか思えない。

こうした状況になると、日本の歴史的パターンでは、「宗教」がパワーを持つのだ。
たとえば、「お伊勢参り」が「デモ」になったりもしたし、「踊り念仏」が大流行した。

そうはさせじとした、徳川の宗教弾圧をも破って見せたのだ。

時代劇では絶対に登場しない、「寺社奉行」という町奉行よりはるかに重職の大幹部が、なにをやっていたのか?
日本人から宗教心を奪うための方策を練っていたのだ。
その効果が、いまも有効だといえる。

バブルで満開となった拝金主義が、しっかり根づいたのが平成だった。
ゆえに、いま、猛毒の香りを漂わせても、鼻も脳もいかれた日本人にはわからない。
この再生には、拝金主義よりも気高い価値観の提示が必須なのである。

それが、宗教なのである。

信仰の自由が、自由主義の最高価値であるように。
また、信仰の自由が、すべての自由の出発点であるように。
このことを、「知っている」のが、かつて未開のヨーロッパ人であり、そこから派生したアメリカ人なのだ。

先ずは、ヨーロッパでの大規模反政府デモが、その嚆矢となっている。

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