邪悪な心で盤石の体制を築いて、それが達成され、世の中を我が物として君臨しようものなら、「盛者必衰の理り」という「大原理」が機能しだして、あれよと「崩壊」してしまう。
これは、「人文科学」の原理なのではなく、むしろ人間の脳にセットされている「自然科学」の原理ではないのか?
おなじパターンを何度も繰り返すから、通して読むと「退屈さ」を感じるのが「中国の歴史」だ。
ゆえに、古代から現代まで、時代感覚がわからなくなる特徴がある。
なぜにかくも、おなじパターンなのか?
これも、人間の脳にセットされているからではないかと疑うのである。
われわれが「アメリカ」をイメージするとき、その「広大さ」もあるけれど、一様に「統一国家」としてのアメリカとアメリカ人をイメージするようになっている。
これは、「日本人」の脳が、統一国家と均一な国民性を当然とするようにできているからではないのか?
「建国神話」を否定しようとも、地上に類がない2千年間も同一王朝が継続していることが、とっくにDNAレベルになっているはずだからである。
しかも、わが国は「自然発生した国」だけど、アメリカ合衆国は、「人為的・人工的設計で創った国」という、その「成り立ち」すらぜんぜんちがう。
なので、「伝統主義」を「保守」というなら、わが国の「保守」とアメリカの「保守」も、意味が異なるのは当然だし、そもそも人為的なアメリカにおける「保守」ということすら、意味不明だという常識があった。
なぜならば、「建国の理念」で創られた国なので、建国の理念が壊れるという「前提」がなかったからである。
すなわち、建国の理念を「保守」するのは、アメリカ人の共通した常識だから、わざわざ「保守」という概念を必要としなかったのである。
しかし、建国からの時間経過のなかで、建国(前)当時からアメリカ人だったひとたちの系統はまだいいけれど、「その後」に移民してきたひとたちのなかに「温度差」があるのは当然だ。
この「温度差」が、だんだんと政治的温度差になるのも当然だから、共和党と民主党の「分立」が起きた。
それで、東西の海岸沿いが新たな移民の受け入れ地になるために、民主党が支持されて、自立できる内陸部が共和党の基盤になったのである。
アメリカ合衆国が、自信のない弱小国だという自意識から抜けたのは、その圧倒的な工業力によるところが大きく、また、独立戦争以来、直接的に外国の軍事力による攻撃を受けたのは、「真珠湾」がはじめてだった。
それで、武器製造と販売による「利権」ができて、民主党と共和党・主流派が、これに乗ったのである。
建国の理念を「保守」するひとたちは、この利権には縁がない農家が中心なので、そのまま「保守派」といわれるようにもなった。
地方の農業県が、「保守王国」というわが国と見た目は似ているけれど、何を保守するかを定義しているアメリカ人の確信は、日本人とは比較にならない。
「人為的な国」と、「自然発生的な国」とのちがいがここにもある。
「アメリカ合衆国憲法に従う」ことを信念にしている、トランプ氏の出現が、どれほどアメリカ人に衝撃的だったかは、そんな「自然発生的」日本人にはわからないほどの強烈さだった。
アメリカ人の「保守派」が熱狂するのと裏腹に、武器やらの様々な「利権」を優先させるひとたちが、かくも「敵視」して「憎む」のは、建国の理念よりも利権をとるひとたちの「不道徳」が暴かれるからでもある。
そのトランプ氏を、なんとしても追い落としたいと図ったのが、「ロシア疑惑」という「でっち上げ」だった。
しかも、そのトリガーとなったのは、最大の政敵ヒラリー・クリントン氏の国務長官時代を通じてやっていた「私的メール問題」を、選挙の論点からはずすためだった。
しかしながら、これらに関する「捜査」と「裁判」で、さまざまな「証拠」が提出されて、オバマ政権での邪悪さが徐々に明らかになってきた。
今般、ふたりの共和党下院議員がそれぞれのルートから得た、民主党顧問弁護士事務所とFBIとの「不適切な関係」は、民主党の崩壊につながる可能性まである。
なんと、この弁護士事務所内に、FBIの特別オフィスが「入居」していて、事務所パートナー弁護士が、FBI機密情報を直接「検索」することが可能になっていたことが発覚したばかりか、この疑惑をあっさりと弁護士事務所が「認めた」のである。
しかも、検索ログから、共和党関係者への検索が全体の8割もあったので、個人情報保護の観点もすっ飛ばす、「監視」だったことがわかる。
弁護士事務所として、自分たちの「生き残り」のために、あっさりと認めたことは明白だけど、FBI側にその責任を転嫁させる作戦でもあろう。
それで、「歴代長官」に疑惑の目が向いていて、その先にオバマ氏が控えている構図になってきた。
つまるところ、民主党顧問弁護士事務所が民主党を裏切る可能性がでてきたのである。
中間選挙まであと5ヶ月。
その前に、アメリカ民主党は持ちこたえるのか?という歴史的事件になるかもしれない。
これは、世界秩序が変わることを意味するのだ。
アメリカ民主党と事実上の「提携」をしている、自民党の崩壊も引き起こす可能性まででてきたのである。