通信費が生活費のトップに?
それは、通信した費用ではなくて、通信するための端末にかける月額ローンを加えるからだ。
政府は国民から合法的に掠奪する。
この典型が、「電話加入権」を強制的に放棄させられたことだった。
むかしは、「街金」とか「質屋さん」の看板が電信柱に貼ってあって、「電話金融」って大書してあったものだ。
1976年(昭和51年)当時、あたらしく電話を引きたいとなったら、電話加入権として、8万円を支払わないといけなかった。
けれども、「権利」なので、回線を必要としなくなったら返ってきたのである。
地方から出てきた、中流の学生が親からもらった電話加入権を飲んでしまって、大変な親子げんかになったこともあった。
電話を自室に引けない貧乏学生は、「ピンク電話」(特殊簡易公衆電話)があるアパートを探して住んでいた。
親からの電話を住人の誰かがとって呼び出してくれて、こちらから「市外」にかけるときは大家さんに鍵を回してもらってかけたのだ。
それで、料金がわかるように「100番通話」を使うしかなかった。
これは、通話が終わると局から電話がかかってきて、料金を教えてくれるサービスで、コレクト・コールの逆だった。
なので、大家さんが横で通話が終わるのを待っていたから、のんびりした会話はできなかったけど、のんびりした時代であった。
そんなわけで、電話加入権は、4年間だけ住まう学生とかならまだしも、永久に自宅や事務所で使うことを考えたら、永久に返ってこない「権利」となって、「民営化」の名のもとでどんどん「減額」されて、うやむやになったのである。
電電公社がNTTになって、NTTドコモができたら、それからとうとう、固定電話が廃れる時代になった。
いまや、自宅の固定電話をやめて、携帯電話だけでよいひとが増えたのは、当然といえば当然だ。
携帯電話を所持しているはずのビジネスマン相手の「ビジネスホテル」業では、もう客室に電話機すら設置していないことも珍しくなくなった。
これで、どれほどの「回線契約」が節約できていることか?
次はテレビの設置をやめたらNHK受信料がどれほど節約できるものか?とおもう。
ただし、CATVなりの「ビデオ・オン・デマンド」で、映画などの有料放送は収益源になるだろうから、Wi-Fi環境を用いた「モニター&スピーカー・システム」の設置に転換する可能性もある。
そんなわけで、個人でもスマホがないと生きていけないようになっている。
しかし、固定電話しかなくて、外出先ではWi-Fiデータ端末で、メッセージやメールのやり取りをして、通話は公衆電話とすると、ぐっと「負担」は少なくなる。
いまや、タブレットの方がスマホよりずっとお安いからで、しかも長持ちなのである。
この理由は、下に書く。
最新のスマホは、円安もあって、メーカーの「フラッグシップモデル」になると、なんと20万円以上という価格帯がでてきた。
テレビが何台買えるのだろう?
10万円~15万円も、当たり前になっている。
どうしてそんなに高いのか?といえば、パソコンでいうCPUの性能と、画面の構造、それに「リフレッシュレート」という画面書き換えスピードの速さが競われている。
もちろん、高価格の大ブームをつくったのは「カメラ機能」で、メモリ容量とデータ保存ストレージ容量も価格に大きく影響する。
「しかし」、なのだ。
最大のポイントは、スマホを動かすための基本システムの、「更新保証期間」が問題なのだ。
基本システムは、セキュリティ・システムの更新ということもセットなので、機械的にはどんなに「高機能」、「高性能」でも、システム・ソフトの更新が止まれば、「ただの板」になってしまうのである。
それでもって、各メーカーが発表している保証期間は、
アップル(iPhone):6年
サムソン(Galaxy):4年
元も含めた日本メーカー:2年 となっている。
つまり、元も含めた日本メーカーのスマホなら、どんな機種でも2年で新機種への交換をしないと、セキュリティ上も「まずい」ことになるようにできているから、もはや「使い捨て」状態なのである。
これにはもちろん、メーカー側の言い分もある。
新機種発売時に、想定できないような「新システム」を開発して、それを搭載するに足るハードを、あらかじめ「保障」することができない、ということだ。
要は、ユーザーは「シリコン」を買っているのではなくて、あくまでも「ソフトウェア」を購入して、その恩恵を買わされているのである。
それが、「システム・バージョンアップ」であり、「セキュリティ向上」なのである。
しかし、これらは「地味」なので、「ゲーム」の快適さが「高級機」の条件にもなっている。
これはこれで、立派な「白痴化」なのであるけど、システムのバージョンアップに興味を向けさせないで、常に機種交換させるには都合がいい。
そんなわけで、20万円しようが10万円しようが、明らかに10年はもたない。
長くて6年、4年ならまだしも、2年となると腰が引ける。
ドコモが、3年ローンを2年でよい(1年分は免除)とするのは、2年更新をさせるがための「お得」なのであるけれど、元を含めた日本メーカーの機種を選んだら、あんがいと「合理的」なのである。
アンドロイド系で、世界シェア一番のサムソン(Galaxy)が4年で、ダントツなのが、シェアにも影響するのは理解できるところだ。
これができる理由は、サムソンが「ハード・メーカー」なのではなくて、ソフト会社に進化した結果だ。
ついでに書けば、携帯端末事業から撤退したマイクロソフトのWindowsPCと、サムソンのGALAXYは、「提携機能」でもって、MacとiPhoneとまではいかなくとも、似たようなことができるアンドロイド系では「唯一」となっている。
最長6年のアップルは、ハードはもとより、ソフトも完全自家製であるから「できる」のである。
なお、アンドロイドの本家、グーグルのGoogle Pixelは、セキュリティ5年だが、従来通りOS3年と発表されているのは、端末製造の妥協があるからだろう。
この意味で、元を含めた日本メーカーは、ソフトで完全敗北したのである。
こうして、分割払いの満期と新規交換時期が重なって、これに通信料の負担をするユーザーは、常にスマホのローンを抱えて一生を暮らすようになっている。
それでもピンク電話の時代には、もう戻れない。