新潟と石川県の知事のちがい

なんども表明しているが、わたしは横浜市民なので、全国的に有名な質問「あなたの住んでいる『都道府県』はどこですか?」に、躊躇なく「横浜」とこたえるくちである。
神奈川県と縁遠いくらしをしているのが横浜市民である。

しかし、これは、一般住民目線からで、神奈川県の役人からしたら、おおくの恩恵を横浜市民だってうけているはずなのだから、なにをかいわんとおもっていることだろう。
しかし、この「距離感」がちょうどいいのである。

同じ日のニュースに、たまたまがあって、それがきのう、石川県知事と新潟県知事の発言が対照的だったから目立った。
もちろん、かれらをやり玉にあげたとて、神奈川県知事の低能ぶりに変化がおきることではない。

石川県知事の発言は、話題の「JDI(ジャパンディスプレイ)」についてであった。
2016年10月に完成したばかりの県内白山市にある工場の一時休止が検討されていることを懸念して、「世界的に見ても、最新鋭の工場をスクラップにするのは企業にとって大きな損失だ。企業経営者の常識としてあり得ないのではないか」と、いまさらあり得ない発言をしている。

JDIについて、このブログでなんども書いたから、いまさらだが、経産省の役人が「日の丸ディスプレイ」を「絶やしてはならない」という意味不明の理屈で、たっぷり税金を注ぎ込んでも、どうにもならなかったものを、とうとう中台の企業にたたき売りが決まっているのだ。

だから、知事の発言にある「企業経営者の常識」が、経産省のことだとすれば、さいしょから「あるわけがない」し、買取予定の中台企業の経営者からすれば、儲からないものははやくやめる、という常識がはたらいているだけだ。

知事は、JDIという会社がどういう会社なのかご存じないのか?
そこで、経歴をみたら、なんと京大法学部出で1968年に自治省のお役人さまになったひとだった。
自治省から石川県副知事に出向中に、現職知事が逝去したため、知事選にでて当選し、いまは全国最多7選中なのであった。

選挙という制度は、事実上の「官選」をごまかす制度でもあるのだ。

神奈川県にいるから、石川県のひとたちの苛立ちがなにかわかるような気がしたのは、同類相哀れむということだ。
きっとなんど選挙をやっても候補者に「ひと」がいなくて、知事を「選べない」という、哀しさなのだろうと。

ひるがえって、新潟県のほうは、県財政から「縮小はやむを得ない」という発言があった。
税収の大幅増が見込めないなか、県職員の給与削減も視野に「身の丈をダウンサイジングしていく」そうである。

残念なのが、県職員の「給与」削減になっていることだ。
給与は削減しなくてよいが、「人員」削減をしたいにちがいない。
これができないのが「公務員の身分」が確定されているからである。

江戸時代なら、幕府への「返納」という方法があった。
「未遂」に終わったが、有名なのは米沢藩の上杉家である。
もともとは、鎌倉幕府からつづく上杉謙信の家だから、おおいに新潟県に関係ある。

家康に従わなかったおとがめで、120万石から半減、跡目相続に失敗して60万石から半減、そしてとうとう15万石になってしまった。
それで、上杉家の窮乏は限界にきて、重臣会議で「返納」が決議されたのが、中興の祖「鷹山」が九州から婿入りする直前だった。

「返納」とは、上杉家の領地を幕府に差し出す、ということだ。
これは、「本領安堵」の逆である。

そんなわけで、新潟県知事が職員削減のタブーに手をつけられるのか?
おおいに期待したいところだ。

そういう意味で,「財政難」というのはよい現象である。
「自治体」という得体の知れない組織が、勝手気ままにつかっていたおカネがなくなる、というかんたんな理由で、「できない」ことばかりになる。
だから、重要度の「棚卸し」が重要になる。

ところで、新潟県知事も佐渡島出身の運輸省のお役人さまだった。
司法試験に不合格して入省したというから、東大と役人の世界でいう価値感では、運輸省が相応だったのだろう。
しかし、このひとは、係長時代に国鉄改革を担当している。

「係長」だったことが幸いしたのではないかともかんがえられるが、「JR」になる歴史的事業の渦中にいたことはまちがいない。
当時、日本一腐っていた会社をしっている。
その後観光庁総務課長もやっている。

新潟県の副知事時代、新潟空港にLCCを呼び込んで、その後知事の不祥事から知事になっているから、どことなく石川県と似ているが、なかみがちがう。

県庁のしごとをどんどんなくして、新潟県人の「役所依存」を治療できたら、後世に語り継がれる知事になるだろう。

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