『La Tex』といってもゴムのことではない。
「Tex」は、「テック」とか、「テフ」と読む。
『R』は、そのまま「アール」と読む。
これらは、知る人ぞ知る、超有名かつ超便利で、しかも、「無料」のサービスとして、おもに研究者に提供されている。
しかしながら、「無料」だからといってまったく侮れないのも共通している。
文書を作成する、というなら、だれでも思い浮かべるのが「ワープロ」だ。
パソコンの普及よりも、ずっと普及していたのが「日本語ワープロ専用機」だった。
それまでは、「和文タイプライター」という機械で、漢字もふくめた一字一字を選んで打刻(タイプ)するしか、その場での活字文書作りはできなかった。
だから、日本語ワープロ専用機の機能とセットの印字能力が価格決定と機種選びの決め手だった。
パソコンがいまいちだったのは、パソコンに搭載するワープロ・ソフトの完成度が、専用機に比して相手にならなかったからである。
この弱点をパソコンが克服した瞬間に、世の中からワープロ専用機が消滅した。
しかし、こんどは「ワープロソフト」の機能充実で、大量の文書となると動作が「重く」なったのである。
そこで、ほんらいはプログラムを書くための「エディタ」が、「軽い」という理由から重宝されるようになった。
編集機能がほとんどない代わりに、文字入力と置換などの機能が充実しているのは、まずは原稿を書くだけの目的に合致したのである。
けれども、書きおわった大量のテキストを、ワープロに流し込んで編集しようとすれば、やっぱり「重い」のである。
それに、たとえば数式や化学式などの記号を多用する「理系」の場合、複雑な式でもワープロで表現ができないと困る。
また、「文系」でも、参考文献の引用などにネットのデータベースができてきたから、そこから直接リンクさせれば、脚注番号も振り出しだけでなく修正も自動化できる。
そんなことから、便利で軽い、『La Tex』が普及してきた。
さいきんの大学では、学生に提出させる「レポート」や、「卒業論文」も、この『La Tex』記述での提出を条件にする学校当局と教授たちがいる。
これはけっして「いじめ」ではなく、入学時からスペックの低いパソコンを使っている学生のためでもある。
ワープロソフトがすぐにフリーズしてしまうので、その被害に泣く学生が絶えないのを見かねてもいる。
「修士論文」や「博士論文」では、すでに世界標準化されているから、学者が発表する論文も、論文集の編集サイドから、『La Tex』での入稿が要求されている。
すると、企業でも気が利いた新入社員は、『La Tex』での文章作成に慣れている可能性がある。
出力は、おもにPDFとなるので、若い部下の作成した社内文書は、とっくに『La Tex』になっているかもしれない。
とくに、見た目が「美文」なら、可能性は高い。
知らぬは上司ばかりなり、もありえるのだ。
また、『La Tex』の仕組みは、マルチ・プラットフォームなので、スマホでも文書作成ができる。
もちろん、データをクラウド管理とすれば、電車の中でも決裁書などの社内文書が規定書式どおり起案できるのだ。
これが、「無料」で提供されている。
ただし、一貫性のある「解説書」はそれなりの有料での提供だ。
『R』は、オープン・ソースの「統計ソフト」である。
こちらは、世界中の統計学者が開発と利用でいじっているソフトであるから、もともと信頼性が高い。
いまや、社会人なら「データ」をあつかうことが必須となったので、「文系」だからといって回避できない。
もう、この意味でも、学校制度における「文系」「理系」という、開発独裁型の、まったく日本独自の変な区分となっている。
すぐに廃止すべきだ。
現代を生きる子どもには、ちょっと気の毒な気がするけども、どうせ社会に出たら、データをあつかわざるをえないのだから、学校で訓練を受けておくべきだ。
理系はその逆で、人文学をしらないではすまされない。
しょせん、いつかは「上司」になるなら、人間をしらずに管理職はできない。
わが国で「統計の学習」には、たいがい「独習」の試練がやってくる。
それは、何度も書くが、30年間も統計を学校で教えなかったからである。
「ゆとり」の美文に酔いしれて、「ゆとり」を失ってしまった。
先進国で唯一、統計を教えない。
それでも、先進国なのは、「老害」と嫌う、高齢のひとたちが支えていたのだけれども、そんなことすら「データ」で理解できないでいたら、いよいよお尻に火がついたのだ。
あわてて、「中央教育審議会(中教審)」のえらいひとたちが、現場の事情(データ)を無視して、統計を授業に復活させた。
すると、30年間の空白で、肝心の「現役」数学教師たちが、統計を習っていなかった、というオチである。
なので、きっと教室では、おそろしくつまらない統計の授業がおこなわれているはずで、生徒たちはあくびをかみ殺すか、熟睡していることだろう。
不思議と「大学入試にでない」のだ。
「Excelで。。。」というタイトルの教科書がたくさんあるけど、じつは表計算ソフトは「統計専門」ではないので、あつかいが面倒くさいのだ。
「独習」には、専用ソフトが役に立つし、その後も、もっと役に立つ。