お困りのドイツが、久しぶりに思い出したのが旧同盟国の日本なのであった。
しかし、ヒトラーが「黄色い猿」呼ばわりしていたから、ドイツ人はあんがいと「親日」ではない。
ただし、イタリア人に裏切られて、自分も力尽きたのに、最後まで頑張った日本はなんなんだ、という「思い」だけはあるようだ。
もちろん、戦後の「復興」と、「高度成長」は、日独の独壇場となった共通はある。
「空襲と地上戦」で徹底的に破壊されたドイツと、「大空襲」で焼き尽くされた日本は、「最新鋭の工場」をもって再興したのだった。
ドイツ同様に破壊された東ヨーロッパは、ソ連圏になって「化石化する」ことになったのも、ドイツにはラッキーだった皮肉がある。
わが国は、朝鮮動乱というラッキーで復興するから、両国共に他人の不幸が自分の幸福になったのである。
シュルツ首相を支える、連立する政党はかつてなく「幅広」だ。
ドイツでは昔から「極右」とされた、「自由民主党」と、当然に「極左」に分類される、「緑の党」が、ありえないことにおなじ内閣にはいっている。
ドイツと日本のちがいの決定的な点は、東ドイツと再統合をしたことだ。
「経済だけ」をみれば、あたかも、西ドイツが東ドイツを吸収したように思えるけれど、文化的・政治的には、東ドイツに西ドイツが吸収された。
それが、長期メルケル政権の本質だった。
環境ファシズムに堕ちたメルケル政権は、フクシマ・ショックから、原発廃止を決めた。
代替エネルギーは、ロシア依存だったけど、これを、「持続可能」といって誤魔化したのであった。
しかし、ドイツ人は誤魔化されたとはかんがえずに、「正しい」と決め込んだのである。
それが、「旧東ドイツ」のひとたちだったのではないかと疑う。
エネルギーを大量に必要とする産業は、旧西ドイツの側にあるはずだから、これらの産業にたずさわるひとたちは、「環境左翼」にはなり得ないからである。
それでも、ドイツはエネルギー源をシフトして、電気代が往時の4~6倍になったところでの、ウクライナ危機で、「6割上昇した」とのニュースがあったので、結局のところ「10倍」になったのである。
それを、日本人駐在員たちの「妻」が、「ぼやき」としてつぶやいたら、ヨーロッパ各地での「実態が報告される」に至り、プロの報道機関を、信頼性で凌駕したのであった。
わたしもかつて、35年前のエジプト・カイロにおける、「物価調査」を、日本人婦人会に頼んで調べてもらったことがある。
もちろん、現地人が買う「お店」ではなくて、裕福な外国人が買う「高級店」の実態だ。
しかし、これはこれで「足で稼いだ」数字なので、どこの「調査機関」の調査よりも、「正確さ」では負けなかった。
なお、日本人は「値段交渉」や「値切り」をしない、ということも承知の「数字」だから、現地人の評価として比較したのではないので念のため。
そんなわけで、ドイツはにっちもさっちもいかない状況に自分たちで追いこんでしまった。
ロシアにつきたいのに、アメリカ・バイデン政権がこれを許さない。
トランプ氏の再選を望むは、アメリカ人よりもドイツ人かもしれない。
これをふつう、「失政」というのである。
さらに、世界を「スクラップ・アンド・ビルド」したいひとたちがいる。
ヨーロッパの中心は、何度も書くが、「世界経済フォーラム:ダボス会議」だ。
そのアメリカ支部ともいえるのが、「外交評議会」である。
こちらも、「グレートリセットが目標」だと、公表している。
そして、このひとたちが、バイデン政権の「ブレーン」なのだ。
また、アメリカの有名大学も、ほとんどが「民主党支持」なので、学内における「多様性」は禁じられ、共和党的「異見」は無視されることになった。
すると、バイデン政権のおぞましい「失政」は、われわれがイメージするアメリカの「知性」がしでかしたお粗末だと、改めてわかるのである。
改めて、とは、ソ連が崩壊したときにアメリカのこれら知性たちがやった、ロシアの資源利権を、エリツィン政権と貪った事実があったからである。
その小型コピーが、ウクライナの資源利権なのだ。
さてはドイツは、アメリカからもロシアからも「股裂き」にされて、胴体が縦に割れそうなことになっている。
日本にきて、何をしたいのか知らないが、日本はこれに中国が加わって、三分割の状態だ。
すると、もっと酷い国を視察して、自身の不幸を和らげようとしているのだろう。
なぜならば、岸田文雄政権の「エネルギー戦略」を、国民すら聞いたことがないからである。
この「ノーアイデア」に、シュルツ首相が思うのは、最悪の「メルケルよりまし」という評価なら、それはそれでよかったね「岸田君」といいたい。
しかし、日独共に、国民がかわいそうなのである。