絶大な金融制裁の効果

特定の組織と、その組織にいる個人を相手におこなうという「金融制裁」とは、歴史的なスタンダードになりつつある。
つまり、これまでは「やってなかった」から歴史的なのだけれども、いったんこれをやったら、その後は「ふつう」になる、という意味である。

これまで「やってなかった」のは、国家どうしのことは、国家と国家のレベルという対象に対称性があったからである。
けれども、この対称性についてコンニャクのように効かない国家が相手の場合どうするのか?

近代は、国民国家という概念が常識となっている。
これは、国民が国家の主人だという考えを基本にしている。
しかし、国民が国家の主人ではなくて、一部の国民による支配体制ができている、となると話がちがう。

それが本稿冒頭の、組織と組織の構成員を指すのである。

たとえば、わが国の場合は、政府と役人が主にこれにあたる。
けれども、これに与党や与党の議員も含まれて、さらに、マスコミ各社とその社員というひとたちもいる。
ある意味、与党に対してまったく無力な野党も、与党を援護しているようなものだから、仲間である。

いまさらだけど、これをカレル・ヴァン・ウォルフレンが、『日本/権力構造の謎』で、「中心がない」と指摘している。

 

まぁ、中心がないという指摘は、なんとなくわかる。
誰が首相をやっても、なんにも変わらない。
だったら、誰でもいいくせに、長期政権のいまの首相に代わるものがいない、という不思議なことになっている。

なんにせよ、わが国は、いわゆる近代国家としての国民国家ではないことは明確だから、いわゆる近代国家ではないのである。
それを、いわゆる近代国家だと国民みんなで思い込んでいるから、いつでも何度でも欺されるのだ。

それで、なぜかまた矛先を、政府だったり政治家だったりに向けるから、肝心の、いわゆる近代国家ではない、という肝にいつまでたってもたどりつかない。
要は、国民が阿呆なのである。

しかし、それでもなんとかなってきたのは、二度とアメリカに逆らわさせないという占領政策が効いて、これを自ら70年もやってきたから、いまや単なる神経反射になってしまった。
従順な羊たちを、アメリカの牧師さんたちが率いているのである。

ところが、なにを勘違いしたのか、従順な羊のようだった面積だけは大きな国が、突如自分たちは狼だったと思い込んで、ロシアの後釜としての世界タイトルマッチに乗り出した。
もしや、西側マスコミのおだてにまんまと乗ってしまったごとくである。

ふつうのリングとちがうのは、はいているパンツの色、つまり挑戦者が赤いことだけでなく、場外乱闘をチャンピオンが想定していることだった。
情報戦と軍事力のパンチで自信満々リングにあがった挑戦者だったが、近代総力戦に経験豊富なチャンピオンを舐めていた節がある。

チャンピオンは、挑戦者の情報戦のパンチを作れなくする、サプライチェーンマネジメントを実行したのを皮切りに、とりあえず空母を2隻挑戦者の喉元に突きつけつつ、わが国の島嶼防衛にもバックアップを開始した。
でもこれらは、挑戦者とリング上での試合風景でしかない。

国際基軸通貨の発行元という自分の最大の強みを、チャンピオンは熟知している。
およそ世界の金融機関で、アメリカドルを取り扱えないなら、ほとんど相手にされないのが、この世のグローバル経済である。

すなわち、金融機関として国際決済機能をどうかんがえるか?ということなのだけれど、そんなもんなくなったら店をたたむしか選択肢はない。
チャンピオンのセコンドをやっているイギリスは、阿片戦争で香港を得たけれど、それで大儲けした銀行がHSBCだった。

H:香港、S:上海なので、むかしは「香港上海銀行」といっていた。
なんと、香港の騒動で、この銀行は挑戦者側のセコンドに就任したのだ。
いま、チャンピオンとチャンピオンのセコンドが、トイレの裏に呼びつけてボコボコにしているところだろう。

突如、マイクを握ったチャンピオンがひとりでリングにあがって、挑戦者の背後にいる組織とその構成員もボコボコにしてやると雄叫びをあげて、名指しした。
家族も含めた入国禁止・出国命令もあるけれど、なんといっても銀行口座の凍結が痛いだろう。

香港の行政長官は、「あたしには関係ない」とリング脇から嘲りながら野次ったけれど、チャンピオンはにやりと歯をみせて、イギリスにある彼女の夫と子ども二人の口座を凍結するはずだ。チャンピオンのセコンドが親指を立ててうなずいている。

ついでながら、チャンピオンはヨーロッパ・アルプスの国にも連絡して、ボコボコにされたくなかったらわかっているよな?といったら、先ずはスイスの外務大臣が「おまかせあれ」と返答した。
もうすぐ、スイス銀行が5000ほどある構成員の口座を凍結するだろう。

予想される金額は、数百兆円?
いやもっとあるはずだというから、はんぱない。
このおカネは、国家から盗んだものだ。

くわばら、くわばら。

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