緊急事態だから、アルコール消毒液がなくなった。
それで、緊急事態だから酒造メーカーが高アルコール度数のスピリッツを製造して、消毒液の代用品にと提供している。
アメリカなどの外国では、緊急事態だから、政府が酒税を免除するばかりか製造を支援するけど、わが国はしっかり課税していて製造の支援もなにもしない。
どこが、緊急事態なのか?
買い物で使い回しをする「エコバッグ」などでは、ウィルスが付着しているかもしれない。それで、緊急事態だから、衛生的なレジ袋を積極的に配付することにしたのはアメリカのスーパーマーケットだ。
わが国では、緊急事態なのにレジ袋の有料化の普及が着々とすすんでいる。
どこが、緊急事態なのか?
横浜市の役人は、保育園の保育士に症状が出て、検査をしたら感染していたことを「隠蔽」しようとしたという。
保育士は、症状がでた時点から園を休んでいるが、これを発表しようとしたら「やめるように強く指導された」として、市内保育園園長会が書面で市に対して抗議したことがニュースになって、ネットでは大炎上している。
さて、この「事件」は、なにが問題なのだろう?
登場するのは、横浜市の担当者。厚生労働省の「ガイドライン」と、本件発覚後の厚労省の対応。それに、横浜市長が行政側。
保育園側は、当該保育園の園長と園長会である。
そもそもの発端は、園から連絡した横浜市の担当者が、厚労省の「ガイドライン」にしたがって、保護者に連絡する必要なしとしたのは、症状があってからの欠勤と検査で陽性がでるまでの間が10日間あるための判断だとかんがえられる。
それと、もう一つは、保健所の確認が必要だということがある。
アメリカでも、ウィルス検査にあたって当初、保健所でのチェックが義務づけられていたが、「遅い」という問題と、検査キットの新旧問題がかさなって、結局は民間病院でも検査が認められ、一気に検査をうけるひとが増えた。
実際には、このことが「感染者」が「ふえた」大きな理由でもある。
そんなわけで、わが国は、保健所という役所で「確認」しないと、認められない、ということが、今日でも起きていたということである。ただし、この場合の「確認」とは、感染者の行動経路などのことをいう。
だから、保護者に説明する内容について、丁寧な指導が必要だったものが、横柄ゆえに「隠蔽指示」にとられたのである。
しかし、報道各社が一斉に報じるということから、肝心の厚生労働省が、はしごをはずした。
それで、横浜市長も、対応のまずさを認めた、ということである。
さて、本稿冒頭の事例から、横浜市の「事件」まで、どれもこれも「はぁ?」というものなのだけれど、もっとも重要な問題が隠れていて、ぜんぜん表に出てきていないことにお気づきか?
「政治家の不在」である。
もっといえば、「議員」と「議会」に、ぜんぜん「存在感がない」のである。
「酒税」とは、字にあるとおり「税」のことだから、酒税法で決められた徴収しか役人にはできない。
ならば、議員が議会で、大急ぎ酒税法の改正を仕上げなければならないのになにもしないのは、議員が法案を書けないからできないのだ。
わが国における、「レジ袋の有料化」の強制は、前にも書いたとおり、「法がない」状態で実施を決めた。
誰が?役人たちが、である。
つまり、「税」に匹敵する負担を国民に押しつけるものを、「省令等の改正だけ」でやる、のである。
これを、止める合理的な方法が、ない、という国にわれわれは住んでいる。
横浜市の「事件」は、前述の通りだが、ここにも議員や議会の陰もない。
これはいったいどうしたことか?
議員や議会が、なにもできないようになっているからである。
だから、なにもしない、のではない。
あくまでも、蚊帳の外、なのである。
それで、定数は86人いる。
さてそれならそれで、どこから手を着ければいいのか?
残念ながら、横浜市の条例なんて関係ない。
中央政府の「省令」から「通達」までの、命令の仕組みを変えるしかない。
どうやって?
じつは、国会も、国会議員も、おなじ構図のなかにいる。
これが、わが国の「仕組み」なのである。
おもに、自民党と社会党がつくってきた仕組みである。
だが、ほんとうは、歴代の役人たちが、連綿として緻密につくりあげた「迷宮」である。
三十年前の、ほとんどバブル期に東欧で起きていた「他人事」が、ようやくにしてわが国を蝕んでいることに気づくのだが、どうやっていまの東欧諸国のようになれるのか?
「秩序の崩壊」をただ待つのか?
それとも?
ようやくにしてわが国の、追求すべき「価値」がみえてきたような気がする。
ただし、今回の保育園の園長さんたち(約700施設)には、今後、当該役人からの嫌がらせがずっと続く懸念がある。
ここに「エネルギー」がたまるのも、覚悟して「よし」とすれば、よい世の中になるきっかけになる。
民主主義だからである。