2日、歴史が動いた。
もちろん、アメリカ連邦下院議長ペロシ女史の台湾電撃訪問のことだ。
同時進行で、夫のペロシ氏は、自らの飲酒運転に関する裁判を受けていた。
この奇妙なカップルの、奇妙な動きは夫人の行動にだけ注目が集まるようになっている。
ここが、幼稚な日本のマスコミとちがう。
日本の衆議院議長の伴侶が、複数回目(常習)の飲酒運転で裁判を受けてしまうとなれば、一体どんな報道がされるものか?
それで、その夫婦の一方である衆議院議長が、同時期に台湾を訪問したら?
アメリカのマスコミは、飲酒運転よりも重要な印象操作をもって、議長一行の訪台をとにかく「歴史的だ」と伝えているのである。
ところで、ペロシ女史の台湾電撃訪問の「目的」はなにか?を問えば、「よくわからない」のである。
そもそも、「米中国交正常化」のときに、「一つの中国」を押しつけられて、日露戦争以来の大陸利権を欲したアメリカ人は、欲にくらんで鵜呑みにしたことを発端とする、といわれている。
一方で、あたかも台湾が独立国家のように振る舞うことは、中共として「核心的利益」を踏みにじる大問題にしているのは、共産主義・全体主義者の勝手な自己主張に過ぎない。
彼らが他人を批判するときの常套手段、「歴史的事実」を無視するからである。
もちろん、日露戦争で日本が得た利権は、日清戦争にまでさかのぼる「血の報酬」というかんがえが主流で、それが「欧米流の発想」の真似っこだったから、それをそのまま日本が主張して、「生意気いうな」とボコボコにされたのが第二次大戦だった。
この意味で、わが国側の有名なスローガン、「鬼畜米英」はただしいし、先のヨーロッパでの「大戦」が、極東のわが国の産業形成にも役立って、「戦争は儲かる」という非道を日本人が修得してしまった原因にもなった。
そしてこのヨーロッパでの大戦を、「第一次世界大戦」と後にいう。
なお、昨日4日、ガルーシン駐日ロシア大使主催の「原爆投下に関するアメリカのジェノザイド」についての会合があった。
実戦で2回も、しかも実験的に2種類の核を用いたのは、ルーズベルトやトルーマンが日本人を「猿」だと認識していたからで、以降、どの国もつかっていない。
本来であれば、平和時に締結した条約に基づけば、北の「千島樺太交換条約」をもってするから、「北方領土」になるし、「下関条約(台湾割譲条約)」をもってしたのが「台湾領有」だった。
このときの清国政府全権代表は、ずる賢くも調印後のパーティーで台湾を、「化外の地」だと発言したのだった。
つまり、だれの領土かわからない台湾島を、あたかも清国のものとして日本へ「くれてやった」ので、痛くも痒くもない、という意味だ。
日本側は唖然とするような話だけれど、「してやられて」しまったことは間違いない。
この「腐っても中華思想」こそが、世界支配を当然とするおそるべき思想なのである。
その台湾を、敗戦によって失ったことになっているけど、国際法でいえば、蒋介石の国民党に「占有」されたのを、戦勝国たるアメリカ民主党政権が「放置」したので、いまだに「帰属問題」としてはっきりしないままにある。
戦後の日本人も、なんだか蒋介石は「偉人」ということにした。
大陸で帝国陸軍はだれと戦っていたのか?を忘却して、中華民国が日本への戦時賠償請求を「放棄した」ことに、感謝するという倒錯ができたのは、GHQの宣伝工作だといえる。
横浜の一宮、伊勢山皇大神宮の境内にも、蒋介石を顕彰する大きな石碑があるけれど、なんだか穢されているような気がするのはわたしだけか?
ホテル事業に失敗して、神社が破産する事態になったときに、仲間と「厄払い」をしたのだった。
もちろん、蒋介石の国民党は、台湾にあった日本資産(公的資産だけでなく、個人家屋やら民間資産もぜんぶ)を「没収」したから、賠償を放棄するもなにもない濡れ手に粟の利益を得て、これを大陸から引き連れてきた国民党員にだけ分配したのである。
そんな掠奪をやった国民党のなかにあって、臥薪嘗胆を貫いてとうとう「総統」にまでなった、岩里政男(李登輝)氏が、晩年の名著『台湾の主張』(1999年)で、台湾は日本領であると主張したのは、荒唐無稽の与太話ではなくてれっきとした国際法に基づく話なのである。
なお、この書籍の「新版」である文庫本には、櫻井よしこ氏の推薦と門田隆将氏の解説があるけれど、どうしてPHP研究所がこのような「ビジネス保守」のひとたちを必要とするのかがわからない。
岩里政男氏は、一貫して日本人であって、けっして「旧日本人」ではない、と主張されているのに。
そんなわけで、ペロシ女史の台湾電撃訪問は、ホワイトハウスが顔をしかめて、アメリカ(政府)の都合ともいえないし、議会の都合ともいえない。
ならばなんの都合かと問えば、中間選挙のための民主党の都合と、「人権派」を主張したい個人の都合しか当てはまらない。
もちろん、日本の都合は関係なく、その気がぜんぜんない岸田首相はアメリカを訪問中という、中共に忖度する態度を貫いて、どこにも岩里氏が主張した「正論」がないのである。
台湾がよってたかっておもちゃにされている。
これぞ、「台湾の悲哀」の現在の姿なのである。