自民党の分裂を促す

「総量規制」の実施でバブルを崩壊させた宮澤喜一内閣から30年。
やっとこさで宏池会が政権を奪取して、岸田文雄内閣ができた。
つまり、一世代まるごと非主流派だった人たちの恨み辛みが詰まっている政権だ。

改めて政権の流れを書き出すと、次のようになっている。
1991年~1993年 宮沢喜一  宏池会 大蔵官僚
1993年~1994年 細川護熙  日本新党 記者
1994年~1994年 羽田孜   田中派→竹下派(経世会)会社員
1994年~1996年 村山富市  日本社会党 県議
1996年~1998年 橋本龍太郎 竹下派(橋本派) 会社員
1998年~2000年 小渕恵三  竹下派(小渕派) 大学院
2000年~2001年 森喜朗   三塚派(清和会) 記者
2001年~2006年 小泉純一郎 森派(清和会)→無 福田赳夫秘書
2006年~2007年 安倍晋三  町村派(清和会) 会社員
2007年~2008年 福田康夫  町村派(清和会) 会社員
2008年~2009年 麻生太郎  宏池会→麻生派   経営者
2009年~2012年 民主党政権
2012年~2020年 安倍晋三  細田派(清和会)
2020年~2021年 菅義偉   無        会社員
2021年~     岸田文雄  岸田派(宏池会) 銀行員

ついこないだまでの、安倍長期政権があったから、なんだかわが国は安定政権が続いていたかのような錯覚があるけれど、ぜんぜんそんなことはない。
むしろ、コロコロと内閣が変わるのは、戦争前の状況に似ている。

ただし、戦争中までは、いっぱしの独立国だったばかりか、アジアで最強だったので、腹黒い欧米諸国(「列強」とも言った)と対等の立場であったから、逆に戦争ができたともいえる。

大名が合戦をしたのは、武士の身分をもって闘うという形式だったから、住民には他人事ではあったけど、兵粮の調達で掠奪されるのは不幸だった。
これが、国民国家に再編されると、職業軍人だけでなく「兵隊も国民」になる。

だから、戦争も他人事ではなくなった。

それだけに、国民は世界情勢に敏感になるのは当然だ。
なので、政府はマスコミを統制して、情報コントールをあからさまに実行した。
集会の弁士が逮捕されたり、新聞が発禁処分されたのである。

その代表格が、宮武外骨で、入獄4回、罰金15回、発禁14回という「記録」がある。

いまの政府は巧妙なやり方でマスコミを統制しているけれど、国民が他人事になったから、世界情勢に疎くても気にしないで人生をほしいままにして生きていける。
このことを、平和ボケという。
あるいは、愚か者の平和ともいう。

そんなわけで、どちらの国民政府も国民を巧妙に支配することを旨とする。
特にわが国の明治維新では、萩藩のDS(ディープステート:闇の政府)だった「撫育局」をコアに据えた、政府のための政府を作る活動だったので、強固な日本的DSがいまだに君臨しているのである。

それゆえに、国内の「表向き」をどうするのかが、常に問題になって、DSの存在を国民に知らしめないことが最優先される。
だから、いかなる政権交代があっても、政府が国民を支配するという構図に変化はない。

DSにとっては、仮面を付け替えるだけのことに過ぎないからである。

もっと言えば、DSに都合の良い政権が望ましい。
それで、DSに都合が良過ぎて、国民が不満なら、好きなように政権交代させればそれで済む。
DSが譲らない一線とは、予算編成権であり、その奥深くにある、特別会計の独占なのだ。

だから、吉田茂の系統である宏池会だろうが、岸信介の系統である清和会(安倍派)であろうと、どうでもいい。
ちなみに、かつて田中派→竹下派経世会がキングメーカーだったのは、DSたちを優遇したからである。
それが衰退したのは、DS優遇をし過ぎて、自分たちの取り分がなくなったからだ。

萩藩とは、毛利家のことだ。毛利が最初に得た領地は、新潟(越後)と広島(安芸)だ。
つまるところ、広島出身の宮澤氏や岸田氏とは、実質毛利内閣なのである。

それに、宏池会が「保守本流」というのだって、読売新聞記者だった戸川猪佐武が書いた、グローバリストの吉田茂を戦後のヒーローに仕立てた『小説吉田学校』であった。

宏池会が「何を保守している」のか?について語らないのが、暗黙のルールになったのは、わが国のDSにも都合のいい「占領政策」に歯向かうことになるからである。
それと同様に、宏池会が、「藩内」で、安倍派と一線を画するという表向きは、逆にDSには都合がいい。

そんなことから、国民の不人気をわざとやらされる岸田短命内閣に、哀れさすら感じてしまう。
たとえば、18才以下への「配分」を二回に分ける「愚」とか、ガソリン高騰の「対策」に、補助金を充てるとか。

何のための2回で、しかも二度目が「クーポン」なのか?
それに、ガソリン税の消費税との「(憲法違反の)二重課税是正」を言わないし、税額の「53.8円/リットル」のたったの1割=5円とするケチ臭さは、政権がDSのコントロール下にあることを自白している。

だから、もっとDSに都合がいい理由から、党を割って独立する安倍派に、またまた次の内閣を作らせて、あたかも保守合同「前」に戻るようになると予想するのである。
いまの「野党」では、演技が下手すぎてDSの存在がバレるからだ。

もちろん、なにがあっても国民に都合が良いことがあるわけではない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください