お調子者だが、アメリカ連邦上院議員で、しかも、「有力者」のひとりとして有名なのが、リンゼイ・グラム氏だ。
もうひとつ、彼が「有名」なのは、RINOだからである。
このひとは、最終階級がアメリカ空軍大佐という立場にあった。
それでも、コウモリ君のように、フラフラと立場を変える癖があることだ。
つまり、信用ならない人物なのである。
そんなグラム氏が、インタビューで例によってイスラエル側に全面擁護の立場をとるから、これに、「パレスチナ民間人へのジェノサイドは止めさせるべきでは?」と質問されたら、第二次大戦中の日本とドイツを引き合いにして、「民間人を殺すことに歯止めはなかった」と発言した。
これに、日本政府あるいは、ワシントン駐箚日本大使が抗議をした報道がない。
さっそく反応して、憤慨しているのは、ほぼワクチン注射で癌を発症して目覚めた?原口一博氏だけである。
幸いにも、原口氏の癌は回復しているようである。
口の軽い人物の口から、ついうっかり本音が漏れたのだが、これぞ、アメリカ・エスタブリッシュメントたちのいつわざる認識なのである。
つまり、日本人にだけあの戦争を反省せよと強要し、これにすっかり従っているのが、「とにかく反戦思想」のひとたちで、なんとこれが、「サヨクばかり」なのである。
すなわち、日本のサヨクこそが、対米追従の急先鋒のやからだといえる。
「勝てば官軍」は、国際間でも共通で、これが敗者を奴隷にした歴史があるヨーロッパであったから、たとえ勝者といえども、敗者の最終権利(=人権)は犯してはならないと、「国際戦争法規」で決めていた。
それを、堂々と破って恥じないのが、英・米の伝統的指導者層(エスタブリッシュメント)なのだ。
なぜか?
彼らは、他人が死んで儲かる、「戦争屋」だからである。
そして、戦争屋たちは、「正義をかざして憎しみをあおる」ことをする。
このとき、必ず、「恐怖」も誇張して誘導するのである。
まったくもって、「牧羊犬」とおなじことを、羊たる一般人におこなう。
しかして、この牧羊犬の飼い主こそが、真の支配者層(エスタブリッシュメント)なのである。
だから、リンゼイ・グラム氏やらは、その飼い犬だ。
『チキチキマシン猛レース』(ワーナー・ブラザーズ製作のテレビアニメ、日本での放送は1970年)で、悪役で不正ばかりするレーサーの相棒が、「ケンケン」という名の犬だったことを思い出す。
ちょっとケンケンに似ているのが、リンゼイ・グラム氏だ。
このひとの暴言は、ときにトランプ氏を批判したと思ったら、トランプ人気にあやかろうと、突如、ゴマすりをはじめたりとめまぐるしい。
2022年に、ウクライナ戦争がはじまると、「あの男(ウラジーミル・プーチン)を殺すしかない」と公言して、今年の5月にもロシアを挑発する発言を、ゼレンスキー氏との対談で言い、「やれるモノなら私を逮捕してみろ」とも吐いたので、同月29日付けで、ロシアは、お望み通り、グラム氏に対する逮捕状を出している。
戦争は、軍人(兵)同士の闘いだったのが、「国民国家」の誕生から、「総力戦」の時代へとエスカレートした。
なかでも、「物量戦」というのは、国家経済力(資源と生産力)に依存する当然がある。
貧しかったわが国が、初の人的物量戦に臨んだのが、日清・日露の闘いだった。
主に消耗したのは、兵だった。
それが、第一次大戦の、青島攻略では、兵に代わって兵器の本格的物量戦を試したのである。
しかしながら、そのあまりの財力の消耗に、国家財政が追いつかないことに気がついた。
兵の消耗は激減したが、かんたんにいえば、割に合わない、のであった。
そんな中で、いまはポーランド領の、「タンネンベルクの闘い」では、50万のロシア陸軍を、28万のドイツ陸軍が、殲滅するという、戦史上の驚愕があった。
帝政ロシアは、日本海で海軍が殲滅され、陸でも同じことになったのである。
以来、わが国は、少数精鋭による敵殲滅を理想とするようになったのである。
もちろん、ロシア軍はこれ以来、えらく慎重な行動を旨とすることになっている。
ところが、何度も書くが、人類史上初の、無差別爆撃をフランコと手を組んだドイツ空軍が、内戦中のスペイン・ゲルニカ市を標的にして実施した。
このときの悲惨を、渾身を込めて描いたのがピカソ代表作の大作、『ゲルニカ』である。
どういうわけか、東京丸の内北口の、「丸の内オアゾ」にこの絵のレプリカが展示されている。
東京大空襲の抗議をしたい、ということしかかんがえられないけれど、そんな抗議を生きてきたなかで一度も考慮したことがないことを、奇しくもこのインタビューで、しかも、「空軍大佐」のグラム氏は披露したのである。
いまのイスラエル政権幹部が口にする、パレスチナ人への、「人間の格好をした動物」という感覚は、いまも日本人やドイツ人にも向けられているのだ。
そんなわけで、戦後、腑抜けにされたのはなにも日本人だけでなく、ドイツ人も同様だった。
ロシアからのガス供給パイプライン、「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」が爆破されたことの、原因追及は、国連でも否決されて、被害当事者のドイツ政府は無言を貫いているのである。
この、国際的隠蔽の決定が意味するのは、ドイツ人が国際的に、「人間の格好をした動物」だと宣言されたも同然だし、おそらく、このグラム氏の発言に、日独両政府は、しらなかったことにするのであろう。
それが、羊としての身の安全だからである。