サービスが気持ちよくて,とてもおいしい食事をだいなしにするのが,「割り勘」のレジである.全額を平均したほんとうの「割り勘」ならまだしも,バラバラの注文にたいして個別に支払うとなると,「面倒」さもひとしおだろう.
レジ横の「個別会計お断り」という張り紙
たまにみかける「危険信号」である.この張り紙をみたら,リピーターになってはいけない.逆に,個別会計がらくにできるレジを導入している店がある.こんなシステムにお金をかけても,直接は売上につながらないからムダだとかんがえる店主がいる.しかし,そうではないのは,自分が客になればわかる.店の最後の印象がまるでちがうから,「気が利いている」と評価される投資はムダではない.
だいたい,平日の日中なら,ビジネス街でなければ主要顧客は主婦か老人である.どちらもグループ行動であることが特徴だ.そして,もちろんお会計は個別払いに決まっている.
アルバイトやパートさんを主戦力にする飲食店のばあい,レジでのもたつきは釣り銭間違いも誘発するから,らくにできるレジが店にも得である.最近のお客はおおらかさに欠けるから,相手がアルバイトやパートとわかっても容赦ない.
「一括でレジ打ちしました」といわれても
「個別にレジ打ちますか?それとも一括で?」ときかれても,客にとってはどうでもよい.それで,だれかが「一括でいいよ」というと,とたんに「個別会計」に金切り声でパニックるかかりのひとがいた.総勢8人だが,注文したメニューは3種類で,6人が同じメニュー,残りの2人がそれぞれ別のメニューだった.金額では2種類.1000円のメニューが7人,750円が1人だ.くわえて,この店は内税だというから,なにがパニックの原因か,支払う立場からはわからない.要領のわるいひとはいるものだが,このかかりがパートさんだとしたら,やはりわるいのは経営者だ.
どんな「研修」「訓練」をしているのか?
スムースな会計は,あたりまえのサービスだ.客はどんなにひどい食事でも,たいがい最後はちゃんと支払う意思をもっている.来店時の案内からはじまるサービスの流れで,どんなにおいしい料理を提供しても,最後の支払でつまずくと,店全体のイメージがいちじるしく傷つく.個人客がメインの客層なら,個別会計はあたりまえの要望になる.
お金をあつかうレジは,簡単な仕事ではないし,「事故」という危険もともなう.だから,レジのあつかいについては訓練がいる.そこで,想定される場面設定での接客研修は重要な業務である.釣り銭元金の管理など,内向きの研修も必要だ.また,レジによってはさまざまなデータを収集する機能もあるが,これらの機能が機能するためには,操作が必要だ.売り上げ高だけでなく,経営情報が拾えるのはたいへん重要なことなのは誰にでもわかる.
ほしい経営情報がなにかを理解しているか?
自分の店の経営にとって,どんな情報が役立つのか?なにが必要でなにが余計なのか?をつきつめてかんがえる経営者はすくない.なぜなら,事業で「成功」している経営者がすくないからだ.
ぜひとも,自分の店のレジからわかる情報を確認してほしい.そして,想定客の要求にらくに応じられることとは何か?をかんがえてほしい.