アメリカを壊している、という意見とか、バイデン政権の「中東外交大失敗」とかという話がある。
この延長線にある、デフォルトについては、書いた。
もちろん、ヨーロッパを破壊しているのが、ウクライナ戦争で、アメリカ民主党とEU双方の軍産複合体が仕掛けている。
それでも不思議なのは、EUで、自分たちの生活基盤を自分たちで破壊する「自滅」をやっていることだ。
しかし、EUを仕切る「EU委員会」とは、選挙で選ばれない「官僚組織」という設計に発足のはじめからなっているのである。
選挙で議員を選ぶ、「EU議会」には、ほとんど権限がない、という詐欺のような制度設計なのだ。
しかし、こんな設計になったのは、EECからECになる当時、世界経済を席巻していた、わが国の「日本モデル:国会よりも官僚が優先してなんでも決める制度」を研究した成果でもあったので、日本人にはしらないところで、多大な影響をヨーロッパ人に与えたのである。
だから、日本人は、日本モデルの究極が、生活者に君臨・支配することになったEUなのだと見ぬかないといけないのだけれど、西側はひどいことになるぞと予言して亡くなった、大碩学、フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエクを無視してはばからない。
当然だが、EU委員会そのものが、アメリカ民主党とおなじ、軍産複合体の配下にあることは上にも書いたとおりだ。
さらに、軍産複合体は、ビルダーバーグ倶楽部の配下にある、世界経済フォーラムをフロントの司令塔にして、これに従うのが、国連・事務局という、入れ子状態になっているのである。
むろん、このひとたちをつき動かしているのは、カネと権力へのあくなき欲求である。
その国連も、アメリカ、英国、フランス、それに事務総長以下の事務局が世界経済フォーラムのコントロール下にあるのに対して、ロシアと中国が、これに従わないから、独裁体制を好むくせに、「反露」・「反中」をいうひとの言葉の背景にはこんな事情がひかえている。
プーチン氏は、自らダボス会議に出席して、堂々と敵陣で正面から「反グローバリズム論」をぶち上げたし、国内グローバル勢力の牙城だった、江沢民派を壊滅させた習氏(共産党なのにナショナリスト)の中国は、最初から敵対勢力である。
だから、反グローバルをいう、アメリカ共和党トランプ派は、プーチン氏と緊密だし、習氏と微妙なのは、そもそもグローバリズムの共産主義者が習氏だからであって、民主党のバイデンが習氏に敵意を見せるのは、ビジネス仲間の江沢民派を葬ったことへの報復(一種の「内紛:内ゲバ」)なのである。
なんにせよ、グローバル全体主義を仕切りたい、ヨーロッパ貴族系の、ビルダーバーグ倶楽部や配下の世界経済フォーラムは、「習氏の中国」の台頭を許さないだけで、「江氏の中国」は大好きだった。
これが、台湾防衛という形になっている。
台湾は宿敵・岩里政男(通名が李登輝)亡き後、「超限戦」でとっくに江派に与した(民進党はただの「見かけ」だとおもわれる)のだけれども、その後は、習氏一派に経済支配されてしまって、にっちもさっちもいかない。
単純図式にすれば、江派が民進党、習派が国民党なのだから、習氏がいう、台湾奪還とは、国民党の台湾にする、という意味で、江派の民進党(「親日・親米」を装う:じつはグローバリスト)を排除するといっているのである。
だから、台湾の親日も、すでにプロパガンダになっているとわたしは解釈しているし、台湾(=岩里政男)からのラブコールを徹底無視した、「ツケ」がこのざまなのである。
こんなことも含めて、ヨーロッパの金持ちたちが世界をもてあそんでいるうちに、習氏の中国とロシアとが、BRICsを抱き込むばかりか、アラブ湾岸諸国をリードするサウジまで取り込んで、とうとうアラブの石油決済で、「ドルの独占」を廃止するに至った。
サウジをBRICsに「寄せた」のは、バイデン政権の「追い込み」が成功したからである。
そんなわけで、「踏み絵」となった、ウクライナ支援をしているのは、世界のわずかで、日本人には驚きの圧倒的多数の国々は、「中立」を維持している。
「国連」が、全く役立たずなのは、常任理事国が割れているからだけでなく、総会で投票したら西側が世界をリードしてきた従前の秩序が崩壊するからである。
けれども、とっくに「崩壊」しているために、世界中が「中立」という状態になっているのである。
すなわち、あろうことか、民主党バイデン政権やEUは、戦後秩序そのものを自分たちで壊してしまった愚か者たちだ。
世界は、これに呆れて、ウクライナを傍観している。
まもなく、ロシアが作戦を終了するのは、ウクライナ政府がその前に崩壊するからだけど、それはまた、軍産複合体のアメリカとEU支配の終わりなのである。
残念ながら、わが国は、こやつらの最後の「エサ」として、食い尽くされるまでになっているから、あとの希(のぞみ)は、日本人が自分で決めることになったのだけど、先鋭的売国の「維新が躍進」する統一地方選を見るかぎり、ぜんぜん気づかない日本人が、なんだか哀れなのであった。
せっかく、アメリカ民主党が自己崩壊している、大チャンスなのに。