2019年に放送されていたらしい、『BS1スペシャル「独占告白 渡辺恒雄~戦後政治はこうして作られた 昭和編」』の再放送が、7日(月)午後6:00~午後7:50(1時間50分)にあって、これをとある居酒屋のテレビで音声なしの字幕でチラ見していた。
わが家はテレビを観ないので、こんな放送があったこともしらなかったけど、チラ見だけでも、なんだが酷いプロパガンダであると断言したいから書いておく。
よい子は観てはいけないけれど、だまされるおとなが多数いるにちがいない。
調べてみたら、「昭和編」と「平成編」があるらしく、商魂たくましいNHKは子会社を通じてビデオ販売もしているし、ちゃっかり新潮社から書籍も出版(2023年1月)していた。
なお、アマゾンで書籍の方には、「帯」の「裏」も掲載されていて、「だましてだまされての世界、だまされる方が悪い」と大書されている。
このフレーズは、この本と番組のことでもあるから、なんだか、言い得て妙なのだ。
書籍のレビュー欄に、渡辺氏のことやら読売新聞社のことに「注意」を促す、まっとうな文もあったが、それなりに意識の高いおとなたちが、コロッとだまされて「良書」だと書いているのは、まったくもっていただけない。
この手のおとなたちが、世の中を壊すのであるけれど、NHKの目的通りに加担していることも自覚できない単細胞なのだ。
第一に、渡辺恒雄氏が君臨し、拠り所としている「読売新聞社」とは、明治7年(1874年)11月2日の設立とあることからして、ウソである。
大正13年(1924年)1月に、正力松太郎が瀕死の読売新聞社を役人風情が一括購入できる投げ売りで買収して、社長になっている。
この時点で、「新旧」を分けてかんがえないといけない。
念のため、正力松太郎は、内務官僚にして特別高等警察の大幹部だった。
戦後は、CIAのコードネーム付きスパイであることが、2007年にアメリカ機密文書の公開(機密解除)で明らかになった事実である。
渡辺氏は、そんな怪しい「新聞社」にまだ占領中の昭和25年に入社しているけれど、東大学生時代には共産党員だったとこの番組でも言っている。
本人は自分から辞めたと言っているけど、党は「除名」と言っている。
あの党が、自主的で自由意思の離党を許すはずもないから、党の言い分の方が正しいにちがいない。
辞めたほんとうの理由も本人がちゃんと別に述べていて、おなじ東大の宮本顕治とソリが合わなかったからだというのは、有名な「独白」だ。
このとき、宮本がいるかぎり、トップになれないことが最大の理由だと言っていた。
このひとは、正力ソックリで、あくなき、上昇志向の持主なのだ。
なので、正力に続いて、このひともCIAのエージェントだとわたしはおもっている。
まだ、アメリカで情報公開されるのを待つしかないけど。
あくまでもチラ見だけど、NHKの番組作りのまずさは、こんな人物が語る話を、ぜんぶ真実だという前提でつくっていることにある。
なので、書籍も、基本的に「音声の原稿起こし」しているだけだ。
すなわち、反証をとる、という、ジャーナリズムとしての責を放棄した、たんなる、たれ流し番組・書籍なのだ。
どんな台詞や筋書きが事前に用意されているのか?はわからないが、インタビューアーは、大越健介氏だ。
このひとが看板ニュース番組のキャスター(編集長もやった)に抜擢された理由もしらないけれど、「東大出」の学歴にだまされてはいけない。
あの弱小、野球部の出なのだ。
だから、受験勉強はやったけど、卒業までちゃんと勉強したことはないだろう。
それで、ステレオタイプしか脳内にないので、その筋の方面からは、ぜったいに踏み外さない安心感がこのひとの発言にはある。
逆にいえば、もっともジャーナリストとして向かない人物なのだ。
しかるに、平然と(まちがっていようがなんであろうが)旧来の「常識」しかいわないのは、それ以上の知識もなくていえないからだろうが、やっぱり、CIAエージェントの匂いがする。
役に立つ白痴だからだ。
もっとも残念なのは、かつて、「NHKの母」といわれた、加賀美幸子アナウンサーがナレーションをやっているので、見事にプロパガンダに加担してしまっていることなのである。
誰かが書いた原稿を読む、というのが仕事のアナウンサーの宿命だ。
しかし、視聴者は、この名アナウンサーの絶対的安定の語り口に、だまされるのだ。
加賀美アナがウソをつくはずはない、と。
ここにも、大越氏を採用したのとおなじ制作者の意図がみえてくる。
世の中は、あらゆる勘違いが織りなしているともいえるので、いまどき、こんなプロパガンダを流すのは、やっぱり、戦争反対物シーズンの8月だからだろう。
だますよりだまされる方が悪いとは、しごくごもっともなれど、まったくもって道徳的ではない。
つまり、不道徳なのであって、渡辺恒雄氏の告白が、ウソであろうが真実・誠であろうが、この番組の製作目的にとっては、どうでもいいことなのである。
そんなわけで、情報の受け手(視聴者)として、テレビを真に受けるということが、マヌケの極地なのだと知らしめてくれるだけが、この番組の唯一無二の価値である。
ちなみに、わざわざゴミを買うための金銭的余裕はないので、横浜市立図書館で書籍の貸し出しを受けようかと検索したら、20名以上の「予約」が入っていた。
やっぱり、ゴミを買いたくないひとが多数いるのだと、勝手に感心したのである。
それでわたしは、ゴミの予約を断念したのだった。