GERRYのモックシューズ7足目

足と靴の話である。

直してでも履き続けるのは、ドイツ製のビジネスシューズで、なんだかんだともう20年以上も履いている。
一足だけではなくて、別のメーカーのを加えれば、主に3メーカーの靴を直しながら履いているのである。

わたしの足は、「だんびろ甲高」という、典型的な日本人だ。
ずっと畳の生活で、家を建て替えるまで、ふつうに正座をしてきた。

なので、いまだに胡座が苦手で、よその家で、「楽にしてください」とか、「あしを崩して」といわれても、胡座の方がずっときつかった。

なにかのときに、わたしの足を見たひとが、「甲に座りたこがある」と指摘して、それがなんだったのかわからなかったが、「良家のお坊ちゃんですか?」といわれて驚いた。
当然にそんなことはないが、なぜかいつも正座をしていた。

エジプトで仕事をすることになったとき、革のビジネスシューズを一足しかもっていなかったけど、さすがに現地調達できるだろうから、予備は不要だとおもって行ったら、なかなか気に入る靴がない。

それで、無性に食べたくなる「トンカツ」を求めて、月一回ぐらいのペースで、地中海を越えてアテネに通っていた。
ギリシャはEC加盟国だったので、イタリア製だろうがなんだろうが、域内価格で購入できて安かった。

アテネのデパートで、いろいろ買い物をしたなかに、靴もあった。
揃っていたのはイタリア製の高級シューズであったが、どうしてもだんびろ甲高の足にはあわず、半年ももたなかった。

ドイツ製のコンフォート・シューズをしったのは、はるか先の30代も終わりになってからである。

帰国して社会人となって、給料日に買ったのが、日本製の頑丈で有名なメーカーの靴だったけど、どうも伸びるはずの幅革が伸びず、靴は裂けたがわたしの足も気がつけば外反母趾になっていた。
それから、靴選びの行脚がはじまったのである。

家内も酷い外反母趾なので、あるとき、デパートの婦人靴コーナーで、ドイツ製コンフォート・シューズというものをしった。
そのとき、おなじ棚に、紳士用のビジネスシューズもあったのである。

それが、上に書いた、3つのメーカー品だった。

以来、わたしのビジネスシューズは、デパートの婦人靴コーナーでの買い物になった。
あるとき、別のフロアの紳士靴売り場に行ったら、ご要望のお品は婦人靴コーナーでの扱いだけになります、といわれたからである。

職場が東京の銀座に近かったし、少し残業しての時間帯だったので、いつもの横浜のデパートではなくて、銀座三越に修理依頼と交換で新品を買いに行ったことがある。
そちらの商品でしたらご用意がありますと、紳士靴売り場でいうから、さすがとおもって試しに履いたら、見た目はおなじなのにぜんぜん履き心地がちがう。

あれ?なんかちがいますというと、お客様のお履きになっているのは、ドイツ本社製のものですね。こちらは日本製のもので、ドイツ製ですと残念ながら日本橋店にしかありません、と。
デパートだから、日本橋店に連絡してくれて、やっぱり婦人靴売り場だというから、地下鉄に乗ったのだった。

げた箱には同種類の靴があるけど、みんな直しながら履いているものだ。
最初の購入単価はそれなりだけど、気がつけばえらく安い買い物になっている。

ときに、何の気なしに静岡県は御殿場市の、カバンと靴の店に入った。
いま流行の、アウトレットではない。

いまどきの横浜にもめったにない、センスがいい品揃えで、自分でも意外とここで買い物をしている。
そこに、GERRYのモックシューズがあったのである。

スニーカーがイマイチの履き心地だったので、ほんとうに何気なしに試し履きしたのだが、なんだか軽くてピッタリする。
普段履きにいいだろうと購入したのだった。

それから、6足を履きつぶした。

軽くて丁度いいけど、ソールに難があって、半年もすると割れて水が入ってくるのだ。
ドイツ製のコンフォート・シューズの12分の1ほどの値段だから、仕方ないとはいえ、修理して履こうというほどのものでもない。

ただ、寿命が短すぎる。

それでも、日常が普段履きばかりとなったので、ドイツ製のコンフォート・シューズを履く機会の方が珍しくなった。

これら以外に別の靴を履くのは、雨の日となっている。

そんなわけで、御殿場に用事があると、この店にいって予備を購入している。
ところが、先月には、一足もなかった。
それで、注文した、というわけだ。

そうして、7足目になったのである。

予約した商品確認で、店員さんに「底に問題があるんだよね」といいながら、靴底をみたら、なんとぜんぜんちがうソールが採用されていた。

進化している!

これが、在庫がなかった理由だったのかはしらないが、耐久性に期待がかかる。
ちなみに、お値段は変わらなかった。

諸物価高騰の折、進化ではなく退化だったら?ともおもったが、それではファンはいなくなる。

さてどんなものか?は、これからのお楽しみなのである。

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