たまたま食事をしていた隣席に、たまたま母娘がすわった。
食事時だから、なんのことはなく、この母娘も静かに料理を食べていた。
食器がさがって飲み物に移ると、娘がおもむろに中学の参考書をとりだした。
へー、こんなところで勉強するのか?と思っていたら、なにやら母親がはなしはじめた。
どうやら「社会科」の話題らしい。
あんがい、聞耳を立てたから、以下はかなり正確に書いたものだ。
いきなり「現政権の経済政策」について、かなり「適確」な批判がはじまった。
「アベノミクス」がいう「景気対策」とは、日銀による「ゼロ金利・マイナス金利」という「無謀」でしかなく、株式をもつ一部の投資家にだけの恩恵なのに、消費税は「増税」して、その対策が「2%」のキャッシュレス決済における「返金」という無意味になっている、と。
すると、娘は、「そんなこと解答にできないよ」といったけど、母親は意に介せず「自由に述べよ、なんだから、いいじゃない」という。
「それに、お母さんがいっていることのどこがちがうの?」
「う~ん。その通りだとおもう」
「どこがその通りなの?」
「日銀の金利と消費増税」
「なら、それでいいでしょう?」
「うん」
「あと、おおきな問題は親中の外交ね」
「ああ、それね」
「大問題でしょ?国家の存亡にかかわることよ。お母さんの時代よりあんたたちの時代になったら、日本が占領されちゃうから。そうなったら、みんな奴隷になるのよ」
「やばいよね」
「でも、学校でこういうこというと、どうなのかな?」
「なにが?あんた、なにを気にしているの?先生?」
「っていうか、雰囲気」
「なに?親が右翼だからって文句いうの?」
「そうじゃなくて、あんまりこういうこと、いうひとがいないとおもうから」
「だから、自由意見でいっておきなさい。すこしは目を覚ませって」
「だれに?」
「みんなによ」
「あんた、ほんとうはどうおもっているの?」
「え?。。。やっぱり、この国やばくない?っておもうけど」
「どうやばいのよ?」
「民主主義じゃないし」
「どうして民主主義じゃないっていえるの?」
「だって、アメリカの大統領選挙みればわかるじゃん」
「なにがわかるの?」
「立候補者から選ぶんだよ。大騒ぎして」
「それで?」
「それに、議会が予算編成するんだよ」
「その意味は?」
「行政が予算案をつくらないってこと」
「こないだの弾劾裁判と一般教書演説がおもしろかったわね」
「上院が多数だから、否決されるのわかってるのに。学校でも話題だったよ」
「あれって、民主党の党内でのバイデン降ろしでしょ?」
「たぶん。日本のニュースはいわないね」
「それに、おどろいたのが、大統領は議会に入れないことね」
「えーっと、議長から招待状をもらって議会に入るのが許可されるんだよね」
「そうよ、それが三権分立。大統領が議事堂に勝手に入れない国」
「これ、日本でかんがえたらどうなるの?」
「総理大臣は国会に入れない?」
「総理は国会議員から選ばれるのよ」
「そうか。そうなると、、、あれ?わかんない」
「イギリス式なのよ」
「あっそうか」
「あんた、イギリスのこと勉強しないとダメね。それに、女王陛下と天皇陛下はちがうのよ」
「ちがうの?」
「なにいってるの?あたりまえでしょう?」
「えっ、どうちがうの?」
「天皇陛下のほうがえらいにきまってるでしょう?」
「なんで?」
「ばかね、歴史がちがうのよ」
「ああ、長いんだ、天皇家の方が」
「世界最古よ。エリザベス女王のウインザー朝は1917年からだから、たったの百年、まだ4代目なんだから」
「古いってだけ?」
「あのね、これが伝統っていうの。古いだけっていうけど、二千年以上続いてるってことがすごいのよ。あんたの子孫が千年も続くの?」
「。。。。。」
「でも天皇制っていろいろいうけど」
「あんた、その天皇制ってやめなさい。共産党用語なんだから」
「そうなの?みんないってるけど」
「だから、日本人がおかしくなるの。それが共産党の作戦よ」
「でね、ウインザー朝ってドイツの王朝からの流れなのよ」
「そうなの?」
「それに、エリザベス女王には、ウインザーって苗字があるのよ」
「あれ?苗字?」
「イギリス歴代でも苗字があるのは、ウインザー家が最初よ。それまでなかったんだから。どのくらい天皇家からして格下か、わかる?」
「へー、そうなんだ。なんか、すごいね」
「あたりまえでしょ」
「お母さんがすごいみたい」
「だから、日本人はちゃんとしなきゃいけないの。その辺の普通の国とちがうって。差別とかじゃなくて、じぶんたちの誇りとしてしっかりしないといけないのよ」
「そのわりに反日されるよね」
「それは、日本人としてシャンとしなかったからでしょう?自民党の売国奴たちが日和ったからバカにされるのよ」
「じゃあ軍事力もいるの?」
「なにいってるの?あたりまえじゃないの?軍隊がない国なんて国じゃないでしょ?」
「それって過激だよ」
「あんた、それ学校でならったの?」
「わかんないけど、なんとなく」
「もうだめね。留学しなさい」
「どこに?」
「海外ならどこでもいいわ、東アジアを除けば」
「じゃあドイツがいい」
「だったらドイツ語勉強しなさい」
「やるやる」
女、子どもの話とは、むかしなら相手にされないが、時代はおおきくかわっている。