中韓同盟と米朝同盟という激変

韓国の文政権は左派政権といわれていて、学生時代に染まった左翼思想からいっさい転向していないひとたちによって運営されているという。
ただし、染まってしまった思想の中心に「北」の主体思想があるというから、「親北政権」ともいわれている。

はたして「主体思想」というものが「左翼思想」なのか?よくわからない。
いわゆる「金王朝」をささえる思想であっても、それが、社会主義や共産主義思想の本筋とどこまで一致しているのか?

日本の若者たちが、社会主義や共産主義思想の本筋にかぶれて、とうとう「過激派」ができた。
そのなかの一派に日本赤軍があって、日航よど号乗っ取り事件、というわが国で最初のハイジャック事件を実行したのは1970年だった。

かれらのその後は、高沢 皓司『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作-』にくわしい。

このなかで、無事、北に「亡命」した実行犯たちは、北の思想教育によって「改造」されるわけだが、その過程における葛藤は、まさに日本における社会主義や共産主義思想の本筋にかぶれたことが邪魔をして、なかなか馴染めないことにあった。

「血筋」で革命が遂行されるという思想は、「血筋」で宗教のリーダーを選ぶこととしたイスラム教シーア派とつうじるものがある。
それで、イランと北の関係は深いのだろうから、核開発という現代的価値感だけではないはずだ。

日本における「天皇・皇室」の位置づけは、「日本教」という宗教的価値観を利用して封建的身分制度から近代化の中心をなす「自由・平等」を具現化し、もって資本主義を普及させることにあったと何度か書いた。最高権威の存在が、それ以外の身分を平坦にする機能の応用だ。

しかし、「主上」とか「現人神」の「いいまわし」だけをみれば、北の体制とは戦前・戦中期の日本における「国体護持」をコピーしたようにもみえる。
したがって、主体思想とは、日本の国体の単純なる「純化」ともかんがえられる。

すなわち、金王朝をささえるため「だけ」の全体主義思想だから、これは社会主義や共産主義とはけっして相容れないはずである。
このことが、よど号犯たちの葛藤だったにちがいない。
もちろん、明治政府が目論んだ資本主義導入のための方便でもない。

すると、韓国の左派政権における主体思想「かぶれ」が、いつ本筋の社会主義や共産主義に先祖帰りするやもしれない。
それが、どんなに他者から「浅はか」にみえようが、本人たちの正統性は中国の改革・開放政策の成果から、中国共産党親派に変容してもおかしくはない。

なぜなら、巷間にいわれる北による南の「併呑」などありえないからである。それは、金王朝のトップの気持ちになればかんたんだ。

文政権の支持率は50%。
まだ半分もある、とおもいがちだが、不支持すなわち反対者が半分もいるのだ。

香港のデモをみれば、北が南を併呑したら、南がどんな事態になるか?バカでもわかる。なにより、そんな「運動」が北本国に移植されたら、ばあいによってはチャウシェスクのようにイチコロではないか。

主体思想の正体が上述のとおりだから、中国と北はほんとうは不仲だ。
また、アメリカには「国体護持」にこだわって、戦争の終結判断が遅れた日本を、いかにしてコントロールできたかという成功体験がある。
イラクでは通じなかったが、体制が表面上似ている北には通じるかもしれないという期待感は、魅力にみちている。

こたびのG20後、電撃的に板門店におもむいたトランプは、北の首領様と握手したが、その後北は南に「余計なことはするな」といっている。
つまり、北はあくまでも南に冷たいのだが、これは本音だろう。
すると、片思いが敗れた側は、ふと目が覚めて、北京に向く可能性があるのだ。

どちらにころんでも、反日キャンペーンは都合がいいからやめられない。

「不正輸出」にからんで、北が輸入した品目リストに、マイバッハまでが掲載されていた。
日本では、千葉県の市原市長がテスラに乗りたいといって騒ぎになったが、この高級乗用車がだれ用のものかは子どもにもわかる。

太陽の黒点が姿を消して、一カ所もない状態がつづいている。
そのせいか、今夏の日照不足は低温にもなって、江戸時代なら飢饉の予兆すらする天候不順だ。

こんなとき、日本の天皇は「祈り」に体力をつかい、自ら贅沢をいましめる。
けれども、体制の表面しか似ていない国では、ずっと「飢饉」なのにマイバッハに乗りたがる。

しかして「大国の意向」で、小国の当事者が無視されたように、アメリカと北が同盟を結べば、日本はやっかいな韓国と手を切れる。
もちろん、韓国は北京と同盟するだろうが、半島の逆転は圧倒的に韓国に不利となる。

米中の代理戦争が、南北を逆転させて勃発するかもしれない。

これにイランが絶望してホルムズ海峡が封鎖でもされれば、もはや「第三次世界大戦」の危機である。

わが国には悪夢のような状況になっている。
けだし、韓国へのはじめての経済制裁が、「送金停止」なら、あんがいはやく韓国がギブアップして、一応の秩序は維持される可能性もある。

韓国の金融機関の信用保証をしているのが、世界で日本のメガバンク「だけ」だからだ。これは、貿易にぜったいひつような「信用状」を、韓国の銀行は単独で発行できない、という意味で、日本のメガバンクの後ろ盾をうしなえば、韓国の輸出入はとまる。

かれらは、自国の造船業に巨大貸し付けをして、これが不良債権化し、資金調達すらままならない状態になったのを、なぜか日本のメガバンクが支援しているのだ。
ついでに、中国の銀行の一部はすでにニューヨークでドル換金の停止処分を受けている。あちら側にいっても、韓国にいいことはなにもない。

このあたり、シナリオを書いているのはやっぱりトランプ政権か?
日本の政治家・官僚に、金融まで武器にするこんなダイナミックなシナリオが描けるはずもないからだ。
日本政府は、このシナリオを実行する能力「だけ」はある。

激変の徴候は、すぐそこにある。

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