10月3日の日経朝刊
優先処理してほしい政策を複数回答で聞くと「年金・福祉など社会保障改革」が53%でトップ,続いて,「消費税など税制改革」と「景気対策」が35%だから,なんと88%もの人々が「政府」にこれらをおねだりしているのだ.
多少割り引きできるのは,税制改革を望むことか.アメリカのトランプ政権が大幅な法人税減税を打ち出して実効税率でアメリカが日本より低くなるから,日本の財界が「空洞化」懸念であわてているらしい.日本が追随しようにも,かわる財源がないと,民間人が政府の財源を心配している.
政府には日銀券発行と国債の日銀引き受けという,打ち出の小槌があるじゃいないか!と,いいたいのではない.むしろ,まともな財源のなかでしかまずは活動を制限しろといいたいのだ.
そんなことをしたら,年金支給がなくなって生活できない老人がたくさんでる.これまでの政府の嘘を信じたのがわるいのだが,路頭に迷うのは気の毒だ.そこで,一刻も早く,政府には,万歳宣言をしてほしいのだ.
もはや子孫も,ましてや他人を頼れない
人口が減るのが決まっているこの国で,政府に依存し続けることは,自殺行為である.その威力と無残さは,われわれも戦後の経済混乱で「戦時国債」が紙切れになる経験をし,インフレによる「新円切替」では「預金封鎖」も経験したが,その記憶がある世代ももはや風前の灯火となっている.インフレでは,政府の借金が消えるのであるが,その負担はすべて国民がかぶることになる.
厚生年金危機は,戦中につくられた「積立式」が,敗戦によって崩壊し,「賦課方式」に転換されたことによる.賦課方式は積立ではなく,いま給付を受ける人に,いま働いているひとが差し出す方式だ.わが国の社会保障制度は昭和36年に完成している.この当時は定年が55歳だったから,昭和36年時点で定年退職した明治39年生まれより前の世代は,「掛金」という負担なしで年金を手にしているのだ.
つまり,いまの年金危機の重要なポイントは,我々の祖父以前の世代が先取りした分を忘れて「権利」になってしまったことである.しかし,わずか数年先には,年金原資を払い込む若い現役世代の人口がいなくなるのである.それでも欲しいというのは単なる強欲である.だから,政府は早く年金制度をやめる方法を検討しなければならない.
企業の依存体質も
今朝の記事では,財務省と経産省は来年度に,賃上げした企業と事業継承した企業に税優遇するという.国家がなんでこのような介入をするのか不思議だ.つまり,国家権力が民間企業をコントロールしようという魂胆なのだ.財界は,法人税減税についての財源など余計な心配をせずに,このような国家の介入にこそ懸念を表明すべきだ.国への依存が平常であるということ自体が,日本経済のダイナミックさを奪う元凶である.