トランプは「ヨーロッパ沼」から独立したい

トランプが掲げる、「アメリカファースト」の国内的な意味は、ヨーロッパ支配からの独立である。

独立戦争によって、大英帝国からの独立をした、というのはあくまでも「表向き」のことで、実質はいまもってヨーロッパ(金融貴族)支配から独立してはいない。

それが証拠に、FRB(連邦準備銀行)の大株主は誰か?をみればすぐにわかる。
なんだ、アメリカの大手銀行ばかりじゃないかとおもったら、そのまた大株主をみればわかるのである。

あの一族たちが名前を連ねているからである。

だが、まだFRBは株主(所有者)を調べたらわかるようになっているが、わが国の中央銀行たる日本銀行は上場企業であるにもかかわらず、一度も株主構成を公表したことがなく、なんとなく、日本政府が半分を所有していると「いわれている」状態で、それを誰が「いっている」のかさえも不明な不気味さにあふれているのである。

ただし、令和3年10月26日の「官報」(603号)を調べると、ルクセンブルクやらイタリアに居住するあの一族たちの名前がでてくる。

じっさいに、FRBの運営を仕切る理事職や、トップの議長・副議長は、ときの大統領が任命することになっているから、あたかも政権と密接な関係があるように繕ってはいるけれど、その実は、「(政府からの)完全なる独立組織」である。

なので、大統領がする「任命」も、FRBが提示したリスト内の人物からの「選択」であって、リスト外の人物を政権が挙げることはできず、また、大統領といえども「解任」する権限すらない。

つまり、これらの人物たちは、自分から辞任するか死亡する以外に、退任することはないのである。

しかして、アメリカ政府=財務省は、国債を発行してこれをFRBに購入してもらうことでの、新規ドルの発行を事実上依頼している。
これを、一般的にはFRBがドル紙幣を印刷すると表現しているが、現実には、FRBにある政府口座に対応するドルの表示がふえるだけなのである。

国債には政府が支払う「金利」としての「利回り」がついているから、FRBは、アメリカ国債の利回りをもらう側にいる。
これによって、ドル発行利益(額面と発行コストの差)と受け取り利回りのふたつの理由からの「利益」を得ていて、絶対に損をすることがない、驚くほど貪欲な組織構造になっている。

このような意味で、FRBの役員になるということこそが、「勝ち組」という区分にふさわしいのである。

さて、トランプ氏は不動産事業をやってきて富豪となった人物であるから、不動産投資に必須の資金繰りにおける金融の仕組みについては、プロといっていい知識があるはずだ。
それゆえに、銀行の銀行たる中央銀行の「あるべき姿」に関するイメージも、ビジネスを回す側からの視点になることは当然だ。

ここに、FRBの絶対的な利益体制と相反する、経済実務の側の言い分が登場する。

すると、FRBの上位にあるのは、IMFと世界銀行、それにBISとなることぐらい、素人でも分かる。
IMFは、アメリカ政府の出資がおおきいから、アメリカ政府のコントロール下にあるかといえば、これもぜんぜんそうなっていない。

むしろ、FRBとおなじく、ヨーロッパの金融貴族の支配があからさまで、これを隠すために、トップの専務理事の下に置かれるナンバー2の副専務理事が「日本人枠」になっていて、歴代、大蔵省・財務省から人材が提供されているのである。

ちなみに専務理事をやっていたクリスティーヌ・マドレーヌ・オデット・ラガルド女史は、退任後にECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁となって、フォン・デア・ライエン体制を支えている。

もちろん、スイスのバーゼルにあるBISこそは、ヨーロッパの金融貴族の牙城である。

この銀行は、第一次大戦後のベルサイユ条約によるドイツへの賠償金を分配・決済するために設立されたし、戦勝国だったわが国は、日本銀行から理事を、中枢にあたる国債決済課長のポストを横浜正金銀行から迎えていたのである。

IMF体制の走りがここにある。

ちなみに、支払義務を課せられたヒトラーのドイツからも理事がでていて、なんとナチスドイツは、毎月キッチリ滞ることなく、第二次大戦の敗戦まで約定を遵守していた。
逆にいえば、約定を破ることがナチスといえども「不可能」なほど、ヨーロッパの金融貴族の締付けが厳しかったのである。

こうしてみると、トランプが挑む「コモン・センス革命」の、反革命勢力(=DS)がどれほど強大かつヤバイかがわかる。

第二次大戦の敗戦でDSに征服されたわが国は、マトリョーシカ人形でいうこの一つ下のレベルで、おなじ構造下にある。
FRBに匹敵する日本銀行の上位に、アジア開発銀行があるのだ。

なお、日銀を政府の配下にあると定めていた「旧日銀法」が、FRBを真似て、政府からの独立を果たしたのが、1997年(平成9年)の第二次橋本龍太郎内閣でのことだった。

さて、この時代のアメリカ大統領は、民主党のビル・クリントンで、拓銀、三洋証券、山一証券が破綻し、ノーパンしゃぶしゃぶ事件で、大蔵省が財務省になる原因ともなったのである。

考えようによっては、トランプが選挙勝利前に、政策失敗の事例研究をするとしたら、上のようにクリントン政権が何をやらかしたのか?を中心に、ヨーロッパの金融貴族を相手にした対策を立てるのであろう。

いま、「ザイム真理教」なる煽動で、財務省を攻撃するように仕掛けられているけれど、よくよく注意すると、怪しいのは「新日銀法」によって好き放題やっている日本銀行も忘れてはならないのではないか?

トランプ政権2.0による、マトリョーシカ人形の上位レベルの闘いの成果が、日本に自動的にやってくることを期待したいのである。

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