ウクライナへの、「特別軍事作戦」で、西側諸国(米・英・EU・日本)から経済制裁を受けているロシアは、急激なインフレにみまわれてロシア中央銀行は、17%という高率の金利設定をしている。
当然ながら、景気を冷え込ませる効果があるが、問題なのは、通貨ルーブルの価値なのである。
もちろん、インフレというのは通貨価値の下落のことだ。
しかし、一方で、ロシア・ルーブルは、現在の世界で唯一、「金本位制」の通貨なのである。
つまり、金(GOLD)との交換(5000ルーブル/1g)が保証されていることが、わざとか知らないが我われはすっかり気に留めたこともないほどに隠されている。
じっさいにこれが実施されたのは、ウクライナ侵攻後だったので、大幅下落したルーブルが、これで侵攻前の為替水準に戻ったのである。
日本で、円だけの生活をしていると、金価格は上昇一辺倒で、いまは、1グラム1万500円程度にまでなっている。
コロナ前では、ざっと7000円程度だった。
つまり、たった3年余りで、金は5割も価値を上げたように見えるけど、円の価値が下がったのである。
円ドル相場も、1ドル100円換算していたのが懐かしいほどで、今は150円と、金価格と同様に、円の価値が半減した。
日本経済の急速な衰退が、通貨価値として表現されているのであって、日本人の生活水準も一緒になって落ち込んでいるのである。
これは、こないだビッグマックを例に、スイスとの比較を書いたので、繰り返しになってしまう。
さて、金(GOLD)という金属は、人類史上でも最もメジャーな「貴金属」だけど、これ自体で金利はつかない。
ただ、安全資産ということになっている。
なので、金利の上昇局面で金を買うのは嫌われるから、金の取引価格は下落するものだ。
わが国の物価上昇率は、すでに目標としていた2%を大きく超えているために、日銀もようやくおっとり刀で、ゼロ金利からの「正常化」を画策しているようだけど、なんだか焦ったいのはきっとどこかから犬のように「待て」と命じられているのではないかと疑う。
結局のところ、財政赤字と日本人の個人金融資産とのバランスがだんだんとイーブンになるほどに、政府は予算をいろいろ使いまくっているけど、もう30年以上経っても経済が好転しないのは、アルゼンチンが経験した貧乏のスパイラルにあるからである。
この意味で、高度成長期の日本政府にはまだ敗戦の貧乏を引きずっていて自由に使えるカネがなかったから、却って民間経済が大成長したのである。
そんな民間事業者を代表して、経営の神様、松下幸之助翁は、「無税国家」を夢見ていたのは有名な話であったが、いまや江戸幕府も青くなる、「五公五民」をも超えて「六公四民」の重税国家に成り果てた。
わが家に子供はいないけど、これから就職するのに、公務員になれそうもないならば特殊法人の正規職員になるのが最も安定しそうではある。
ただし、人生の夢は諦めるという、『ファウスト』状態になると、親として本人に告げたら酷というものかもしれない。
とはいえ、子供が公務員になって歓喜する親は世の中にたくさんいる。
これはこれで、ひとつのリアリティだ。
そんなわけで、「分散投資」を試みるなら、金と交換できるロシア・ルーブルが欲しいけど、日本にいたら手にすることは不可能(交換停止)になってしまった。
こちらからの「制裁」という意味が先にあるような勘違いをさせられているが、相手方からも「敵国認定」されて、向こうからだって制裁されているのである。
それで、共同開発していたサハリンとかの石油も、とうとう来なくなった。
いま、ロシア政府が「友好国」として認定しているのは、30カ国である。
日本人がルーブルを得るには、こうした国に出かけて行って、ロシア・ルーブルを購入するしかないので、旅行会社には、「ロシア・ルーブル交換ツアー」を企画して欲しいのである。
できれば、現地に銀行口座を開設したい。
おそらくこれをまた、国土交通省が旅行免許がらみで嫌がらせするだろうから、商品化に当たっては、当該国の子会社にやらせるなどの工夫がいるだろう。
すると、このツアーは、大手にしかできないのか?
中小だからこそ、なんとかなるのではないか?ともおもうのであるが、どうなのか?
ことごとく、面倒な国に住んでいるのである。