派閥解消とは党の解散のこと

波乱の2024年は、「裏金問題」をきっかけに、政界に「大地震」がおきている。

この問題の本質は、「政治資金規正法」という、国会議員たちが「お手盛り」でつくった、へんな法律が、「妙に効いている」ことにある。

要は、「ザル法」のザルに引っかかるという、「間抜け問題」なのである。

これだけの「疑獄」状態でかつ、自民党の議席が、「絶対安定多数」なのに、検察への法務大臣による「指揮権発動」をしていないのも、摩訶不思議ではある。

もちろん、そんなことをしたら、次期総選挙で大敗する、という論があるのだろうけど、現状野党の状況は、かつてのような緊張状態をつくれるようなものではなく、また、自民党がそれなりに「大敗する」ことは確実だから、この議論には重みもない。

ただし、「B層」に狙いを定めるように、大手広告代理店の系統にある調査会社が、統計的手法で小泉政権時の自民党にアドバイスして、郵政民営化選挙で大勝している実績があるから、いまの自民党もなんらかの統計的理由を持っているかもしれない。

それでも、かんたんにいえば、末期症状なのである。

そんな症状を見事に露呈して、国民に披露したのは、二階俊博氏の、「二階派解散の弁」であった。
もう、原稿を読んでいても何を言っているのかわからない、そのお姿は、なんだか気の毒にみえたものだ。

二階派解散ではなくて、議員をお辞めになるべきところ、それはぜったいにないのは、バイデン一家の惨状と似ていて、「やめたら逮捕される」ことへの恐怖なのだろうか?

どちらにせよ、この御仁も死して名を残しながら、それが「汚名」だという決まりごとがあるので、生きているうちに見聞きしないですむ事だけが、お慰みになっている。
子孫がどうなるのかは、師匠、田中角栄の子孫をみればわかるだろうに。

カネでつなげて大勢力になったのが田中派だったので、この二階氏と小沢一郎氏のように、中身のない政局だけの「大物」がはびこることができたのは、政界と地元への予算還元というだけの政治力であった。

彼らのカネ蔓は、基本が特殊法人で、これに息のかかった役人を天下りさせて好きにコントロールする構造を作り上げたのである。
だから、天下りする役人を責めても、役人は自分の意志で天下っているのではなく、「人事」からいわれるままに従っているのである。

そもそも、自由民主党という政党がなぜに「水と油」だった、吉田茂の自由党と、鳩山一郎・岸信介の日本民主党が「合同」して誕生したのか?をかんがえないといけない。

一般的にいわれている「説明」は、その多くがプロパガンダなので信用できない。

念のため書けば、自由民主党ができる前に、社会党の右派と左派が合同していた。
これに、「保守政党が対抗するため」というお話になっている。

しかして、「公職追放」という、大事件がわが国にはあって、主犯はGHQである。
これで、鳩山らが追放されて、徹底的にGHQに従った吉田茂の天下になるのである。

つまり、自民党は、最初から「二大派閥」からできていた。

銀行が対等合併するときは、その後の人事を「対等=順番=輪番」とする。
けれども、権謀術数うずめく政界ともなれば、まずは「政策」である。
それで「政敵」が生まれるが、吉田は追放解除になった鳩山に、当初約束した「順番」を渡さなかったから、「私怨」をも生み、「水と油」になったのである。

「政策」を、「数」に変換して、その財源を「カネ」とした田中角栄が、原初の二大派閥をも、「田中派=金権政治」に染め上げたのである。

そんなわけで、自民党の派閥は、元を辿れば、かならず「自由党(宏池会)」と「日本民主党(清和会)」とに行くつくことになっている。

興味深いのは「安倍派」という、故人の名前をまだつかう「派閥」があることで、安倍氏亡き後、「会長職が不在」という、およそ組織として不思議な状態になっていることだ。
あたかも、「トロイカ体制」ということなのだろうけど、なんのこっちゃ?なのである。

また、派閥を脱退したはずの岸田氏も、「宏池会を解散する」といったけど、これも組織としては、元メンバーが口出しできるはずもない重大決断を、脱退者の指示に従う、という妙ちくりんになっている。
なお、宏池会も岸田氏脱会の後、会長を選出していないで解散を決めた、ことになる。

宏池会の佐藤栄作から別れた田中派は、二階派と茂木派になっていて、二階派解散に茂木氏は維持を画策している。

おなじく、吉田茂の「血脈」をつぐ、あたかもイスラム教シーア派のような麻生派も、維持を画策しつつ、吉田自由党への回帰「大宏池会」を夢見ているらしいが、国民には醒めない夢であってほしい。

そんなわけで、派閥のコングロマリットが自民党という政党だから、国民が党名として比例区に「自民党」と投票しても、「右から左まで」どちら様が当選するかは確率論の世界になってる。

これが、わが国の政治の最大の欺瞞なのである。

すると、派閥解消などと変なことではなくて、派閥ごとに強制独立政党化を促進させるべきであろう。

これで、自民党は解党される。

国民には、わかりやすい選択肢が提示されるから、よきかなよきかな、なのである。
落ち目になったイタリア・モデルとなるのは、小政党が乱立している状態も似てくるからだ。

それでも、メローニ女史のような人物が首相になれるのは、わが国よりよほど柔軟で健全というものだ。

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