2024年、こどもの日に寄せて。
人口動態から、市町村レベルでの「消滅予想」が、道府県レベルに問題波及して、わが神奈川県の黒岩知事は、先月30日の定例会見で、「危機感を市町村と共有し」とかと、選挙公約からずっと同じことをいっている。
なにもこんな愚劣な神奈川県知事を擁護するつもりは毛頭ないが、政府による少子化対策のはじまりは、1994年の「エンゼルプラン」もって嚆矢とする、と内閣有が書いている。
ちなみに、この年の内閣は、細川護熙、羽田孜、村山富市とめまぐるしくも、わが国の「左傾化」が顕著になった記念すべき年だった。
とはいえ、内閣がかわったからすぐさま指示がでて、これに事務方が即応するなんてことは、できそうでできないものだ。
「エンゼルプラン」がいつから練られていたていたのかは、よくわからない。
内閣府は、1990年のいわゆる「1.57ショック」で、とトリガーとなった理由を告白しているので、海部俊樹、宮沢喜一、そして細川護熙という順になる。
最新の2023年6月発表の人口動態統計で、特殊出生率は、1.26で過去最低となり、「エンゼルプラン」の有効性について大いに疑問があるところだが、政府からしたらもっと酷いことになるにちがいない、と弁明するしかないが、これを信じるか信じないかは国民次第なのである。
ところで、政府がもっている「手段」とは、下記の三つしかない。
・法律の制定・改定
・予算(カネ付け)
・予算がついたら、このカネの「効率的(=専門的:排他的)」運用をさせるための機構(組織:たいがいが特殊法人やNPO)の新設・支援(カネと人材としての役人出向)
自衛隊も道路公団もなにもかもが、この土台の上にたつ構築物にすぎない。
ちゃんとした民間企業がやることに、「事前の評価基準の設定」がある。
これを、「民間の知恵」といいたがる阿呆が「専門家」という「ゴロつき」たちで、結局は、予算(カネ)欲しさの強欲な者たちをさす。
つまり、「民間の知恵」が役人にないことを、専門家(これを「審議会」という)が役人にいわされている。
もちろん、役人はそんな基準を設定しないで放置する「方便」のための批判を甘んじて受け入れているようにみせて、なにもしないのである。
これを、役人用語で「前広に検討する」という。
ゆえに、上述のような、プランがなかったらもっと酷いことになる、と「なんとなく」いえるようにして、国民(国会議員)をごまかすのだ。
しかし、上手の手から水が漏れるように、数字だけをみれば、「1.57ショック」がえらくマイルドに見えるのが、「1.26」という政府が自分から発表している数字なので、累積で兆円単位をつかった予算(カネ)ばかりか、立法的にも失敗していると評価するのがふつうなのである。
これは、ハイエクのいう「新自由主義」(グローバル全体主義がいう悪の「新自由主義」ではない)からすれば、「悪手」の典型的な事例なのだと気がつけば、なんのことはないのである。
まず、第一に、政府が個人の生活に直接介入することの「愚」は、『アンネの日記』でわかるだろう。
この例は、ユダヤ人だから、という理由「だけ」で、隠し部屋の生活を余儀なくされ、とうとう発見されて強制収容所へ送られ、その後劣悪な環境で病死する。
だれもが涙するこの話の類似発展形が、政府の個人生活への介入を許すとどうなるか?であって、そのために民主国家の国民が政府に命じたことになっている、「憲法」があるのである。
もちろん、初期の「エンゼルプラン」から、少子化対策なのに、女性の社会進出という名目で、「女性も会社で定年まで働くよう」に促したのだ。
それまでの日本人女性は、短大を出て、就職しても数年で結婚退社し、「主婦」になるのがふつうだったのだ。
家事労働について、GDPの算出根拠にしていない欺瞞が、家事労働を「無価値」とかんがえる阿呆なエリート官僚たちの、先生のいう通りしかない絶対的なGDP信仰と産業優先思想であって、「よかれ」としてとうとうソ連(スターリン)的家庭の破壊政策をやったのである。
これを、ハンナ・アーレントが、『エルサレムのアイヒマン』で、小役人根性による「悪の陳腐さ」をえぐり出してみせたのである。
どうして若い世代のひとたちが子供を得ようとしないのか?
この原因をかんたんにいえば、将来不安である。
それで、政府は絶対的なGDP信仰と産業優先思想をまだ貫いているけれど、その施策はぜんぶ「ケインズ(社会主義=政府が唯一の富の分配をする)」に依存されることが世界革命となると、鋭いトロツキー派が発見したのである。
マルクスは、共産主義から演繹して社会主義を描いたが、国富の分配を政府に依存する社会主義をやると、かならず共産主義が実現する。
教育費の無償化も、子供は社会で育てる(親から分離させる)のも、みな『共産党宣言』に明記されているのに、「共産党宣言」を読ませずに学生を洗脳するから、質が悪いのである。
もう、一旦廃れた「優生思想」が、欧米の富豪の間で復活していて、自分の「優秀な遺伝子」を残すことと、他人(ヨーロッパ的「平民=百姓」)の「根絶やし」をすることが同時に実施されている。
トロツキー派に乗っ取られたアメリカ民主党の命令で、おそらく、日本政府も役人がひそかに準備をすすめている(管轄は「内閣府」だろう)にちがいないと疑うのである。
どんなにかGDPを信仰し、必死に産業優先策をやればやるほど、どんどん社会主義の不効率の「沼」にはまって、とうとうインドにもGDPで抜かれることになった。
日本人(未成年でも)は、いまいちど冷静にハイエクの主張を傾聴するべきときがきているのである。
こどもの日が泣いている。