米中新冷戦がエスカレートして、いつ「熱戦」になっても不思議ではない状態になってきた。
香港に適用された法律について、各国政府の支持数をみたら、反対と賛成に2倍ほどの開きがあって、あたかも世界は「賛成多数」にみえたところが「ミソ」になった。
外国から多額のODA(政府開発援助)を受け取りながら、これを流用(横流し)して、より貧しい国への「援助資金」にしていた効果が現れたのだから、上の法律の適用を強行した政権党のひとたちは、これまでの流用が「正しかった」と安堵したにちがいない。
一方で、流用されているのを承知しながら、「見なかったことにする」と見てみぬ振りをしながら、多額の資金提供を続けるのは、どんな了見なのか?と疑われても、知らんぷりを貫く根性が、わが日本政府と政権与党にはある。
ふつうなら、野党が厳しく追及して、政権交代をねらうのだけれど、わが国には「もっと援助すべし」というのが野党だから、政府も安心して見てみぬ振りができるのである。
国民から集めたカネをどう分配するのか?
政治の本質はここにある。
なので、民主主義ならこれを委ねるのが選挙であるはずだけど、分配を仕切るのが国会ではなくて財務省という行政機関なので、もともとわが国には「政治の本質がない」のである。
だから、「政治不信」という言葉は間違っている。
「ないものねだり」にすぎないからだ。
本質がないのだから、不信になることはない。
むしろ、戦前のわが国の方が、よほど国会が機能していたことを羨ましく思うことしかできないことを嘆くだけである。
さて、アメリカの本気度があがってきて、過去のやり方の変更を開始している。
わが国は、政治の本質がないからこの意味が理解しにくい。
すべてを仕切る行政官僚が発想することは、古来から「有職故実」、すなわち「前例主義」になるからである。
果たして、香港の法律に反対したグループにわが国も入ってはいるけど、わが国の本気度が冷めているのは、わが国以外の積極性をみればだれにだってわかるものだ。
特に今回は、香港だからもあるけれど、「英連邦」という、かつての大英帝国が積極的で、英国が抜けたEUもこれに続いている。
それは、「感染症」の初期における「隠蔽」がまとわりついているからで、「ひと・ひと感染しない」という虚偽情報を流した責任論があるからである。
世界は、損害賠償の請求計算をしだして、その額は数百兆円規模になっている。
もちろん、「支払方法」も検討している。
請求先が拒否しても、「差し押さえ」という手法をかんがえている。
対象は、金融資産はもとより、不動産も含むけれど、個人名義でも可能とするところが過去にない方法になっている。
それが、アメリカで検討されている「党員」の入国拒否と国外退去にリンクしている。
つまり、国家が国家に請求するのではなくて、国を支配している「党」と構成員である「党員」に請求するというのである。
このニュースによって、グーグルの漢字検索で「脱党」が急速にヒット数を上げている。
党員名簿をアメリカが把握しているという情報戦も加わっている。
そんなわけで、アメリカ側の本気と苛立ちは、わが国にも飛んできて、アメリカ政府系の研究所の日本研究レポートで、「親中派」を名指しした。
現役官僚の首相補佐官と与党の幹事長、それに連立している片方の与党である。
これに対して、わが国の報道に、内閣官房と与党内の動きの情報がぜんぜんない。
しかしながら、アメリカの本気がわかるのは、与党の幹事長の前に現職官僚の名前を出したことである。
官僚国家であることを、よくしっているぞという意味だけど、占領中に官僚体制をいじらなかったことを思いだせといっているように思える。
かつてのアメリカは、こんな露骨なことはしなかった。
ロッキード事件だって、田中角栄を失脚させるための複雑な方法だった。
すなわち、「平時ではない」という意味であって、「コウモリ君」を許さないぞと平手打ちしたのである。
すでに東南アジアの海にも空母が配置されている。
これに、海上自衛隊の護衛艦も訓練に参加はしたけれど、たったの一隻だ。
しかも、わが方は、敵に向かって「撃てるのか?」という大問題がある。
さては、アメリカは日本国憲法をどういじるのか?
ありうる手は、「事情変更の原則」を使って9条を無効にするのではないのか?
その前哨戦が、「名指し」なのだろう。
「個人を狙う」というのは、わが国も彼の国と同じあつかいを受けているということでもある。
これで、内閣法制局の役人と最高裁の判事がどのくらい「怯え」ているのか。
彼の国の国民が歓喜しているように、わが国の国民にも悦ばしいことになっている哀しさがある。
アメリカ合衆国が、外国に対しても国民のためにならない「党」と「官僚」を、これからも「名指しする」というのは、個人的破滅を意味する。
すなわち、内政干渉を超えた攻撃が、わが国の支配層にもはじまったのだ。
その意味で、恐ろしい国ではある。
【訃報】30日、岩里政男(李登輝)氏が逝去された。各社の報道に、「親日家で、流ちょうな日本語」などというバカげた表記を散見するのは、「コウモリ君」を自称しているようなものだ。本人がしきりに発言していた「22歳まで日本人だった」から、「元日本人」なのではない。「ずっと日本人だ」という意味である。「旧制高校と旧帝大」で、武士としての教育を受けた最後の「哲人政治家」は、明治の元勲をも超えて、自らは長期政権を率いずに引退し、なによりも後身の育成に心血を注いだことは、簡単にできることではない。現代の偉人が歴史になった。享年97歳。ご冥福をお祈りいたします。