「手土産」を何にしようか?とかんがえだすと、素直に決まらないのが横浜の弱みなのである。
ふだん観ないテレビだけれど、食堂とかでつけっぱなしにしていることがあって、観たくなくとも聞こえてくる、ということはある。
今回の旅では、関東ではやっていない関西の番組が流しっぱなしにされていて、たまたま視聴者からのお困り相談コーナーをやっていた。
お盆で実家に帰るのに、手土産を持っていく必要があるものか?と、娘からの「お困り相談」が採りあげられていた。
これに、「マナー専門家」が回答して曰く、「必要です」。
目もくらむような、愚問に、目もくらむような直球の回答だ。
これだから、節電要請を受けるなら、まっ先にテレビを消せと皮肉られるのは、ぜんぜん皮肉ではなくて、正しい判断だし、そのまま一生消していていい。
むかしは、実家であろうがどこであろうが、ひとの家を訪問するなら、かならず手土産を用意したものだ。
なので、何にするのか?は、TPO(T:Time:時間、P:Place:場所、O:Occasion:場合)によって使い分けた。
娘がお盆で実家に帰るのに、手土産が必要か?をテレビ局に問い合わせたという話の真偽はしらないけれど、これはもう「育ち」の問題で、親がどこかの家を訪問するときに、「手土産」を持参する習慣がなかった、ということを示唆するものだ。
こんな嫁をもらった家は、どんな家庭なのか?の方がよほど気になる。
夫や姑にきけないから、テレビ局に問い合わせたのか?それとも、テレビ局の作りばなしなのか?
後者の方だと思えてならない。
すると、テレビ局のひとの「育ち」の問題になって、この愚問を採用した理由が、当該番組の視聴者は愚民だという確信があるにちがいない。
その愚民への回答を要求された専門家先生は、もっともわかりやすい直球の回答をしたのだろう。
まったくどうでもいい話を耳にしたばかりに、どうでもいいことをかんがえるはめになった。
そこで、横浜の手土産をどうしようか?に戻ると、スッキリしないのである。
なぜならば、まっ先に浮かぶのが「中華系」で、「肉まん」とか「シウマイ」なれど、「日持ち」の問題がある。
シウマイには、真空パックという技がある。
しかし、これを買って食べてみたら、ふつうのと味がちがうという不満がある。
「月餅」とかの中華菓子は、こんどは好き嫌いが分かれるので、あんがい万人受けしない。
すると、「洋菓子」となるのだが、「横浜」とか、「横濱」が入ると今度は「高単価」になる。
「気持」だけを伝えるためのものだから、高いからよい、とか、安いからよい、という単純さではない。
むかし、高級ホテルの売店商品を「見直し」したとき、どうしてこうなったのか不思議だったのが、商品別販売単価と販売数のチグハグだった。
単純化していえば、「売り手の都合」で構成されていただけだったのである。
売り手の都合とは、仕入れからの販売価格設定をする、という意味で、販売価格設定から仕入れ値や商品内容の工夫がなかったことをいう。
これが結果的に、買い手のTPOと一致しないので、チグハグになるとおもわれたのだ。
すると、売り手が先に買い手の手土産としてのTPOをさまざまな角度から検討して、商品構成を決定するという手順が必要になる。
「見直し」をせよという責任者に、以上のことを伝えたら、「そんな面倒くさいことはしない」というので、なんのための見直しかがわからなかった。
こうした目線からみると、「横濱」がついた商品が、買い手のTPOをどこまで意識しているのか微妙なのである。
それに、市内のひとにわざわざ「横濱」がついたものは渡さないので、「市外」か「県外」向きの意味合いがある。
今回の需要は、旅先の旅館やら案内をお願いした方への「気持」なので、完全に「県外」だ。
しかも、あまりに高価やボリューミーだと、かえって気をつかわせてしまう。
だから、なるべく「軽い」ものがいい。
ならばせいぜい1000円が目安になる。
そんなこんなで、観光地として横浜よりも一歩上をいく「鎌倉」で物色することにしたのである。
この手の商品開発に、なにかと行政が介入して、あたらしい名物誕生とかいうキャンペーンをやれば、観光政策の実施をしている、というアリバイになる便利さがあるから、全国どこでも行政の役人が民間人を叱咤しながらアリバイ工作をやっている。
そんな「名物」が大ヒットした実績を聞いたことがないのは、作り手だけの自己満足だからである。
なので、有名デザイナーの包装紙が、内容物と一致しないで予算消化の対象になるのである。
ようやく選んだ商品を、久しぶりにデパートで購入したら、その店オリジナルの紙袋は、1000円単位の買い上げで一枚という「規定」になっているけど、デパートの紙袋なら無料ですといわれた。
800円の商品2個を入れるオリジナル紙袋に、デパートの紙袋を2枚つけてくれた。
なるほど、デパートが儲からないわけである。