「スーパークレイジー君」の登場

昨年の都知事選で物議をかもしたけども落選したのが、歌手で「スーパークレイジー君」こと西本誠氏(34歳)である。

彼の、元暴走族だったことや、複数の逮捕歴、それに全身刺青も話題にはなったけど、都知事選以降の「スーパークレイジー君」としての活動もあって、『2021年埼玉県戸田市議会議員選挙』への立候補にあたっては、市の選挙管理委員会から、「通称」の使用が認められた。

そして、26人中25位で「初当選」(912票)したのだった。
なお、36人が立候補したので、「激戦」である。

これには、地元小学生を中心にした、熱い支持があったためともいわれ、子どもが親に投票を促すという、滅多にないことが起きたようだ。
ただし、おとなの親が子どもに従う、というのは、あんがい外国にはない、わが国独自の「伝統文化」なのである。

それが、「選挙での投票行動」にあらわれた。
そういえば、世間の「しがらみ」がまったくない子どもの方が、よほど正確に政治を観察していて、「正論」もちゃんとしっている。

高学年のとき、授業中にやってきた選挙カーの大音量での名前の連呼に、クラス中の生徒が窓から、「うるさーい!」と叫んだのを、先生はオロオロと後からみていたことを思いだす。
すると、隣のクラスも連動してこだまのようになった。

どの党の街宣車が、静かに通過したか、音量を絞ったか、無視するかをノートにつけた同級生は、「◯◯党の✕✕さん」は、教育問題をかかげているけど、小学校の生徒に気をつかわないからこいつは嘘つきだ、と結論づけたのをみんなで感心して聞いていた。

それを、家に帰って親にいったのを覚えている。
かたちは多少ちがっても、戸田市の小学生の心持ちは理解できるというものだ。

晴れて当選したのに、急速に雲行きが怪しくなって、「当選辞退」を市選管の事務局長に迫られた旨の発言を記者にした。
この様子が動画になっている。
「嫌疑」は、戸田市での3ヶ月以上の居住の事実で、これが証明できないと、立候補が無効になる。

しかし、彼は、都知事選での経験やらで、立候補資格についての法の定めをしっていたから、立候補前から居住事実について選管に相談していて、「問題ない」とのことだったから立候補できたのだ、と説明している。
つまり、本人からしたら、手のひら返しに見えると主張しているのだ。

注目なのは、彼の当選によって落選の憂き目をみて改選前から議席を減らしたのが、公明党と共産党であることだ。
選挙後、住民からの「異議申し立て」がありそうだという事態になった。
さらにこの「申し立てる」ことの事前話が、ベテラン議員から漏れて、煽っているのか?ということに発展したのである。

つまり、彼が「当選辞退」あるいは、「無資格」となれば、「次点」が繰り上がり当選する、ということになるから、異議申し立てをする住人とは何者なのか?ということで、いきなり「きな臭い」話になったのだ。
ちなみに、次点は公明党の前職であるという。

このことが今後どうなるのか?は、いったん横にして、彼の「異質さ」が、どうにも「トランプ氏」に重なって見えるのである。
すなわち、アンチ既得権だ。
さすれば、既得権の側は、全力をあげて排除の行動にでると予想がつく。

しかし、彼の「異質さ」は、確信をもった異質だから、曲げても曲がらず折れもしなかった、というのが実情だろう。
曲げる係に指名されたのは、選挙管理委員会の事務局長というのもわかりやすいし、本件で更迭されはしたけれど、「クビ」ではなくて、市民医療センター次長に異動した。

また、後任の選管事務局長には、総務部次長という、これまた議会対策としてわかりやすい、人事をしている。
市長としては、火の粉をかぶりたくない、という自身の既得権維持があると告白したも同然だから、ものすごくわかりやすい。

はからずも、昨年「民主主義の学校ではない地方自治」を書いたけど、みごとな「異質」の登場で、「もしや」と期待がふくらむ。

彼の経歴には、「ケンカ慣れ」という、わが国エリートが喪失してひさしい「異能」もある。
これぞ、政治家の資質なのだ。
政治とは、ケンカと妥協のことをいう。

政治家が死んで、有能な行政マンが仕切ったのは安定社会があったからである。
しかし、「偽病(にせやまい)」もふくめて、その安定社会を行政がみずから破壊した。

ようやく、わが国に、「政治家の需要」がでてきたのである。

彼の「敵」とは、「同質」のなかよしたちである。
学校エリートばかりの、同質集団が役所にほかならない。
自身の発言に、「国政に行った方が東大出身の政治家より政治を身近に感じられると思う」とは、同質への宣戦布告なのである。

これを、「小学生」が見抜いたのだ。
侮れないのは、これらの子どもたちだって、あと数年で18歳だから「選挙権」をえる。
地方議会4年の任期なら、あと2回の選挙で投票する側になる。

同質の既得権者たちが、どんな汚い手で「つぶし」にかかるのか?
じっと観察している子どもを忘れてはいけない。

そして、かつての西ドイツにおける大宰相、ヘルムート・シュミット氏の言葉、「政府の愚かさを決して過小評価してはいけない」が心にしみる。
地方の市だって、地方政府なのである。

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