「トランプ影の内閣」発足

シャドウキャビネット(Shadow Cabinet)は、英国議会における野党第一党(「女王陛下の野党」とか「公式野党」という)が、与党の内閣に対して、代案を提示するために議会内に「影の閣議室」をもち、予算も配分される「正規の組織(公職)」をいう。

つまりは、野党第一党は、反対のための反対をするのではなく、「代案提出義務」を厳しく課すことで、次期政権を担うだけの準備も同時にすすめろ、という意味の仕組みになっているということだ。
二大政党制「ならでは」の制度なので、わが国では定着していない。

「影の首相」や「影の厚生労働大臣」といった、表の内閣とおなじ「影の閣僚」がいて、担当する各役所には、現職と同様の調査権限をもっている。
そうしないと、代案がつくれないからだ。
そして、「影の」=「次期」という意味と同義になっている。

選挙で野党が勝てば、ほぼ影の内閣のメンバーが全員、表の内閣でおなじ担当の閣僚に就任する。
負けた旧与党では、あらたに「影の内閣」のメンバーを選ぶこともあるし、そのままのこともある。

だから、新内閣が発足して、「初入閣」したひとが、「これから勉強します」ということはまずない。
野党時代に、影の内閣のメンバーとして「初入閣」しているからである。
こうして、議会における大臣質問・答弁も、表と影の大臣が直接火花を散らすことになっている。

これを、有権者たる国民がみているのだ。

さてそれで、アメリカ合衆国にも「影の内閣」はこれまでなかったのが不思議である。
あったのは、官僚の側の「猟官制」だった。
けれども、前に書いたように、政権が交代するたびに数千人の高級官僚が入れ替わることで「事務の連続性」が失われることの不利に気がついた。

日本の発展めざましい、カーター政権のときであった。
裏返せば、アメリカの凋落がめざましい時代であった。
そして、日米の比較をすれば、日本には強力な官僚制があったのである。
このことが、強調されすぎた。

それで、本気で焦ったアメリカは、SES(Senior Executive Service)という「猟官制の官僚に指示をくだす高級官僚制」をつくったのである。
そして、オバマ氏時代にSESメンバーを大量に情実採用したのだった。
よって、これからの「SES」が、「DS(ディープステート)の正体」だ。

すると、オリジナルの「わが国官僚制」とは、とっくに「日本型DS」になっていると想像できて、事実も実態も真実だと合点がいくのである。

これが、国民と政府の乖離が明確になってきた昨今のはっきりした状況の理由で、政権与党の及ばぬ政府となってもいる。
すると、官僚政府打倒をいう政党が、国民から強力に支持されないかぎり、わが国民生活に明るい未来はない、ということが理解できるのだ。

それでアメリカをながめると、トランプ氏というかつてないキャラクターの人物が、「前職」となったら「引退する」という慣例を完全無視して、さらに、その「財力」を背景に、自身の事務所をフロリダの別荘に設立したのは退任直後のことであった。

もちろん、このことの背景に、選挙で負けたはずがない、という信念がある。

それからすぐに、連邦議会下院小数派院内総務という有力議員が、この事務所に詣でて、来年の中間選挙にあたってのトランプ氏の共和党支持を要請し、これを快諾したばかりか、共和党が勝利して下院での過半数を奪取する旨の宣言をした。

驚くことに、大統領就任式日をこえたら、テレビの視聴率が軒並み半減し、トランプ氏の話題がないテレビの経営を直撃している。
それで、過去のひとにしたいはずのテレビが、いまだにトランプ氏の動向を報道するという、およそ「引退」とはいえない状況にもなっている。

いったんは、共和党をでて、トランプ新党発足か?という憶測が出回ったけど、ビジネスマンなりの損得勘定から、共和党をトランプ党に変容させることのメリットを選択したようである。
それで、中間選挙に向けて、各州知事と州議会へのテコ入れを急いでいる。

大統領選挙の勝敗は、州レベルでの協力が欠かせないことに痛感したからだ。

そして、とうとう、4月14日、トランプ政権の閣僚たちを招聘したあたらしい組織を立ち上げた。
その組織名は、「AFPI(アメリカ・ファスト・政策研究所)」。
予算は、2000万ドル。来年は4000万ドルにする予定だという。

本部はアーリントンだが、今後はワシントンD.C.に移転する。

かつての本国、英国の影の内閣が政府予算をえるのとちがって、トランプ氏の影の内閣は「手弁当」なのである。
研究所代表は、トランプ政権で国内政策委員会主席だった人物だし、各専門委員会の長にも閣僚たちが就任している。

いまのバイデン政権でのこのポストは、スーザン・ライス元国連大使、オバマ政権での大統領補佐官(国家安保担当)だ。
しかも、彼女が現在の「真の大統領」といわれている。

表と影の、一対一の対決構造ができあがったのである。

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