「塩」はどこまでブランドになるか?

「塩化ナトリウム:NaCl」を主成分にした食品を、「塩:しお」という。

地球の生命が「海」で生まれて、両生類から陸上生物へと「進化」したので、動物としての人間の身体も「海」での名残があって、「塩」がないと生きていけない。

それがわかるのは、熱中症や日射病になったとき、水分とともに塩を摂取することで「回復」するからである。

むかしエジプトにいたとき、よくピラミッド周辺で、顔を赤くして休んでいる日本人観光客をみかけた。
「同胞」として、ホテルの朝食テーブルにある塩が入った紙袋をわたしてあげたことが何度かある。

もっとも「効く」のは、貴重な「フリーズドライの梅干しタブレット」で、これを差し出したら、「わたし梅干しが嫌いなんです」といわれて、呆れたことがあった。

ただし、帰国後「初版」の執筆をしたのが、『地球の歩き方』だったので、この当時の日本人観光客のほとんどは、『ブルーガイド』を手にしていて、遺跡の情報は豊富だけど、「過ごし方」を知らなかったのである。

日本人は、島国の住人だから、「塩」は海から汲んだ海水からつくるのだと思いこんでいる。
しかし、あんがいと大陸では、陸で掘った「岩塩」が一般的なのだ。

もっとも、その岩塩が、塩の岩になったのは、太古の海が干上がったのと地面が隆起したのとが重なってできたものだ。
それでまた、さまざまなミネラル分を含有することになって、それが「色」にも反映されている。

ミネラル分とは、もちろんミネラルウォーターにも入っているミネラルのことで、なんだか「貴重な成分」に感じるけれど、ミネラルとは、「無機物」のことをいう。
つまり、「炭素」がない物質のことをいう。

「炭素」があると、「有機物」になって、われわれの身体の構成物質となる。
もちろん、「無機物」も、ないと生きていけない。
それは、金属、塩(えん)類、水、水素、酸素、窒素などだからである。

要は、「炭素:C」の有無で、物質を二分しているのである。

水(H2O)とは、「純水」のことだ。
これは、「飲んでうまい」ものではない。
なぜかスパーに「純水サーバー」があって、容器代はとるけれど中身は「無料」となっている。

掃除用に使っているのだろうか?
洗車に適しているけど、量がたりない。

「うまい水」には、大雑把にいえば、ふたつの特徴がある。
・適度な不純物(ミネラル)が含有している
・分子クラスタが細かい

「山の清水」がうまいのは、このふたつが満たされているからだ。

ちなみに、水の分子クラスタは、「のどごし」に影響する。
グビグビ飲んだとき、のどに水が引っかかって痛いことがあるのは、その水の分子クラスタが「大きい」とおもわれる。

「水」自体も、じつは不思議な物質だけど、「塩」もありふれていながら特徴がある。
いわゆる「塩化ナトリウム」は、よくある電子の「共有結合」ではなくて、「イオン結合」によってできているので、水にふれると、共有結合している水分子の電子による電気作用で「結合」がはずれてしまう。

それで、塩はかんたんに水に「溶ける」のである。

しかしながら、「純水」と同様に、塩化ナトリウム「だけ」の塩は、人工的・工業的な製品だから、「自然塩」となると、他のミネラルを含有しているのがふつうだ。

なかでも、マグネシウムは、「にがり」成分であるから、海水塩の自然塩ほど、なめるとやや苦いのである。
塩なのに「甘い」ことがあるのは、カルシウムのはたらきで、もしも「酸味」があったら、カリウムのはたらきだ。

1㎏100円の塩は、ほぼ塩化ナトリウムだから、とにかくしょっぱい。
むかしは「専売」だったから、日本人の生活では、これしかなかった。
いま、たくさんの塩が販売されているのは、「専売廃止」による、自由化のおかげだが、選ぶための知識を学校で教えないから、戸惑うのである。

しかも、販売価格も「ピンキリ」なのである。

生活が豊かになるとは、「選択の自由が増す」という意味があるけれど、選択肢が多すぎるとひとはその品への興味もなくしてしまう。
これは、心理的に追いつめられることでの、「欲求不満行動」なのである。

「塩なんかどれでもいいや」となる。

いってみれば、塩化ナトリウムと各種ミネラルの配合具合は、無限大の組合せになるけれど、塩の産地は限られている。
それで、それをどうやって「売るのか?」となれば、どうしても「成分の話」になるものだ。

しかし、受け手側の「化学知識」が欠けていたら、それが何なの?となって、心の琴線に届かない。
ゆえに、「教育」をしかけないといけない、ということになる。

一方で、難しいことはどうでもいい、「美味いが一番」ということになると、またまた厄介なのが、料理に合わせた「塩の種類」を用意しないといけない。

これは、産地からしたら「一択」なので、他の産地のものとの「比較」とか、用途についての紹介が欠かせないのだが面倒である。
そんなわけで、知る人ぞ知るはあっても、なかなか「ブランド化しない」のだ。

長野県大鹿村は、村立中央構造線博物館と中央構造線の真上にある。
ここの「鹿塩温泉」の湯は、世にも不思議な、山中の「塩水」で、その成分が「絶妙」という。
マグネシウムが「適度」な含有だという。

おそらく、太平洋プレートが沈み込んで、プレート中や海底を移動中に堆積した物質が、大陸プレートの強烈な圧力で「搾られて」、岩石内のもとの海水が出てきているとかんがえられている。

「岩にしみいる」のではなくて、岩からしみだすのである。
こうした岩石は、分子レベルまで粉砕される、おそるべき圧力なのだ。

それで、「塩畑」が復活されて、つくるのに1ヶ月かかる「塩」が販売されている。
1㎏、2000円。
安いのか高いのか?

そこは、まずは「お試し」が、困難なわが国屈指の「秘境」にあるのだった。

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