「沈黙の艦隊」は実現するか?

かわぐちかいじ原作『沈黙の艦隊』(1988年から1996年まで『モーニング』連載)は、その後アニメ化もされた。
当然ながら、「架空の物語」ではあるけれど、よく現実を描いた作品として「名作」のひとつとされている。

極秘開発したわが国の「悲願」の原潜が、処女航海で「反乱」を起こして、「独立宣言」をしてしまう。
果たして、通常兵器を使いつくしたあとに、「残る一発」は?
艦長は、「通常にあらず」と宣言したのだが、嘘か真実か?

 

この「物語」は、「日・米」と「国連」という枠組みに集約させて設定している。
よりリアルに描いたら、物語として複雑化しすぎるから、このことは批判に当たらない。

「潜水艦もの」の傑作は、このほかに『眼下の敵』(1957年)や、『レッドオクトーバーを追え』(1990年)がある。

 

  

『レッドオクトーバーを追え』は、ソ連の最新鋭原潜を舞台にした「亡命劇」であったけど、ソ連の方が先になくなってしまった。
アメリカ最強=世界最強、ともいわれる「第七艦隊:母港は横須賀」に対抗した、ソ連太平洋艦隊は、母港をウラジオストク(「東方を支配する町」という意味)に置いていた。

この街は、軍事拠点としてソ連解体後もしばらくは「閉鎖都市」であった。
「閉鎖都市」とは、文字どおりこの都市への出入りには、住民であっても厳重な「許可」が必要であって、およそ「許可されない」ことで有名だったという。

つまり、一般市民は他の町に行けないし、他の町から来る者もいない。

そして、港の最奥には、太平洋艦隊司令部のビルがそびえ立っているのだが、真横から見ると、嘘みたいに「薄い」ビルなのである。
周辺の水域には、原子力潜水艦が錆びたまま「放置」されていて、岸壁には釣り人が糸を垂らしている。

残念ながらウラジオストク港は、「不凍港」ではない。
冬は氷によって、夏にはフェリーで行く島まで自動車で行くことができる。
なお、近年、この島には橋が架かった。
「別荘」の島なのだ。

旧ソ連には「別荘文化」があって、市民の半分は別荘(「ダーチャ」という)を保有していたというけれど、贅沢どころか庭先で自家農園をやって食料確保して生きてきた。
いまでは、大規模農園経営に姿を変えているというけれど、労働者は主に(脱北した)朝鮮民族である。

こないだ突然できた、「AUKUS(オーストラリア、UK、US)」の三国同盟とは、原子力潜水艦の保有同盟のことである。
通常型潜水艦の購入で、日仏が争ったけど、フランスと契約したのがオーストラリアであった。

その契約を突如破棄して、英米の原子力潜水艦を購入することにして、さらに英米の原子力潜水艦隊と共同運用するということを決めたのだ。
これに激怒したフランスは、オーストラリアをはじめとして「大使召還」という策に出た。

三国はフランスのパフォーマンスだと高をくくっていたけれど、どうやら「本気で怒っている」らしい。
とうとうEUに訴え出て、オーストラリアと米国に対する報復措置の検討に入った。

フランス人にとって、英国は元来から敵なので、EUから抜けた英国には別途の報復をするはずである。
それでもって、アフガンで大失態を冒したバイデン政権に、EUはこれ見よがしの制裁を用意しそうなのである。

「高みの見物」をしているのが、ロシアのプーチン氏だ。

いろいろ忙しくなってきたのは、習氏で、土地バブルの問題がアメリカの利上げと連動して、「元安」から「元不安」になりそうだ。
もちろん、わが国にもドル高がやってきた。

バイデン政権が、政権発足時にやった「シェール革命の中止」で、原油価格が高騰して、ガソリン価格の値上げが止まらないでいる。
アメリカでは5割増しを超えて、インフレ懸念が高まっているのも金利上昇の理由だ。

わが国の「新政権」も、新エネルギーというムダに手を染める方針を変えていないから、今後の電気代が上がりそうである。
ドイツは電気代が4倍になって競争力を大幅に落した。
自業自得をわが国もやりたい理由はなにか?

地球はいつでも持続可能だけれども、人間の暮らしは息切れしてしまう。
政治的な目標でしかない、「環境対策」によって国民生活を痛めつけるのは、かつてのソ連と同じだから、亡命したくもなるけど、なんと「行き先がない」という追い込まれ方をしている。

そんなわけで、西側諸国の内輪もめは、これを喜ぶ人たちがいるから、収めないといけない。
そこで、高橋洋一氏がごもっともかつ愉快な提案をした。

オーストラリアは、フランスとの契約を元に戻して、通常型潜水艦を購入すべし。
その代わり、わが国が米英の原潜を買いましょう、と。

親中のひとたちや、左巻きのひとたちは、きっと金切り声を上げて反対するだろうけど、「総選挙前」のこのタイミングで表明したら、「保守層」は歓喜して自民党を支持するかもしれない。
ついでにいえば、公明党とも縁切りしたら「最高」なのに。

少なくとも、今回の総選挙で、自民党は議席を「減らす」こと確実なのだ。

わが国初の原潜は、なにも「新造船」でなくてもいい。
中古でもいいし、現役をレンタルするのもありだ。
すると、搭載する魚雷やミサイルは?
一発ぐらい「通常にあらず」となったら、なおよし。

だんだんと、「劇画チック」に現実が近づいている。
ただし、「撃てない」という問題が最後に残っている。

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