「締付け」しか効かない金融政策

「異次元の金融緩和」という、「異次元」な発言をしてから何年経とうが、わが国の経済は成長しないし、デフレだって止まらない。
インフレ目標「2%」は、絶望的に達成見込みがたっていない。

マネジメントの鉄則「科学的アプローチ」という基本にあてて、第二段階の「事実をつかむ」と最終第六段階の「確かめる」からすれば、異次元の金融緩和は「効かない」ということになる。

このことは、アベノミクスが実行されてすぐの、かなり前から野口悠紀雄氏が指摘している。
当時の政府経済顧問をつとめた、浜田宏一イェール大学名誉教授の提唱だったことも暗に批判していた。

その浜田氏もとうとう「変節」の発言をしたけれど、いったん決まった「政策方針」は滅多なことで「変更されない」のが、わが国の官僚体制だから、鳴り物入りで日銀総裁になった黒田財務官は、2年でデフレ退治するといってはみたが、史上最長政権とおなじ時間をかけても達成できていない。

むかしなら、これだけの時間をかけずとも、日銀批判がかまびすしいことになりそうなものだけど、いまだにこれだけの時間をかけても日銀批判がメジャーにならないのはなぜなのだろう?

もしかしたら、恐ろしい「経済オンチ」ばかりが政権周辺にいて、それが国会に及んでいるし、マスコミにも浸透しているからではないのか?

アメリカ人は、あんまり優秀ではない、といってなんだかバカにする傾向がわが国にはあるけれど、当たっているときと外れているときとがある。
アメリカという国の複雑さは、万華鏡のようなもので、ちょっと角度をかえるとぜんぜんちがう模様になることを意識しないといけない。

『サイエンス』という有名雑誌を発行しているのは、「アメリカ科学振興協会」で、この協会が1989年に発表した『すべてのアメリカ人のための科学』という文書がある。
ちゃんと日本語版もあってPDFをダウンロードできるから、「日本人のため」と読み替えるといいだろう。

世界の文明圏で、学生を「文系」と「理系」にわけることをしているのは、わが国しかないし、それで学生の就職募集もやっている。
テクノロジーを基礎として文明生活をしているのだから、日本的にいえば「文理」を教育の基本方針にするのが「ふつう」なのである。

このわが国「だけ」ということで、わが国が目を見張る成功しているのなら文句はないし、ならば世界がこれを真似るはずである。
しかし、そんな真似をする国や地域もないのは、この30年間で経済成長しないどころか衰退しているのが、わが国「だけ」だからである。

すると、冷静にかんがえれば、世界はわが国のやり方を、「反面教師」としているにちがいない、ということしか浮かばない。
だから、テレビの「日本スゴイだろ」という自画自賛番組は、世界からの視線を国民に気づかせないためのプロパガンダであるといえる。

さて、金融緩和政策について、上述の野口氏は「糸で押すようなもの」と表現していた。
対して、金融締付けは、「糸で引っぱるもの」というから、わかりやすい。

アメリカの態度が一変した原因をつくったのは、ウィルスをばらまいたというだけでなく、「国内」といっている異民族の区域での凄まじい人権弾圧とか、香港でのことだから、「おいおい、なにしてるんだ」という立場がでてきて、それが「敵の特定」ということになった。

こうしたいきさつを時系列化すれば、議会と現政権は、科学的アプローチという基本を守っているのである。
さすれば、日本人なら、80年前にわが国がやられた方法と、どこがどうちがうのか?をかんがえることが必要になる。

状況と価値観のちがい、ということが大きな変数になっていることに注目すると、わが国は「同盟国だから」アメリカを支持するしかないとかんがんえる以前に、なにがどうなってこうなったかということに注視すべきだろう。
原因があって結果となる。これが「因果関係」というものだ。

しかし、なんだかわが国の財界は、「果因」という逆文字の熟語を発明したらしい。
これは、「埋没原価(費用)」の間違った判断がされている、ということがあってのことだろう。

大きな投資をした国があって、そこから「撤退」するには、過去の投資を「棄てる」覚悟が求められて、その覚悟ができない経営者ばかりがわが国の企業だということなのだ。
しかし、経営者だけが問題ではなく、株主が理解できないかもしれない、という不安こそ、経営者のこうした判断を助長しているとかんがえるべきだろう。

さて、アメリカ人は科学的に、議会で法律を制定し、これを政権が実行する。
人権弾圧に関わった個人と家族の資産を凍結するならまだしも、こうした人々を顧客に持つ金融機関にも制裁をすると決めたのだ。

その方法は、「ドル決済の禁止」である。

彼の国の金融機関のおおどころのほとんどが、この「締付け」の対象となる。
つまり、わが国企業も事業における「決済」ができなくなるのに、どうして新規投資をしようとするのか?

これこそが、株主が注目すべきことだろう。

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