「自動車工業会550万人」CM

テレビを「持たない」「観ない」をやっているので、「気づかない」となった。

とつぜん、ネット動画に現れたので驚いたのがこの「CM」である。
しらべたら、正月の「箱根駅伝中継」の合間が最初に放映されたものだという。

それから1月8日に、自動車工業会の豊田会長がおなじ主旨での「年頭メッセージ」を発表した。

この「作品」を観た駅伝の視聴者には、「感動した」というコメントをあげるひともいるなかで、「何をいいたいのかわからない」というひともいる。
おそらく、「情弱」だとおもわれる。

まず、「自動車」について、象徴的なことをメッセージとしている。
これは、トヨタ自動車の「社是」からともおもわれるけど、「ヒトとクルマの生活」がイメージされる。
現代社会の「あたりまえ」のことである。

それから、自動車をつくるひとたちが表現されるけど、さらに、自動車にかかわる仕事をするのは、つくり手だけではなくもっとほかにもいる、というメッセージになっている。
たとえば、サービス分野でいえば、自動車保険とか、自動車ローンとかだ。

こうして、550万人が関与しているのだ、と。
わが国の「総労働人口」は、ざっと6000万人だから、およそ1割ものひとが、自動車にかかわる何らかの仕事で生計を立てている。

これは、まぎれもない「事実」である。

当然ながら、「金額」にすれば、巨額になる。
人数とおなじ自動車関連産業で算出すれば、わが国全体の「2割」となるのだ。
1割弱のひとたちが、倍の数字をたたきだしている。

これも、まぎれもない「事実」だ。

ではいったい、自動車関連産業とは何者か?
かんたんにいえば、わが国産業における「最後の砦」なのである。

第一の砦だった、鉄鋼と造船は、造船から先に陥落して、自動車がこけたら鉄鋼もこけるのは子どもにもわかるだろう。

第二の砦は、家電だった。
エースはテレビ事業で、これを、「白物(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)」あるいは、「生活家電」が脇を固めていたのだが、ご存じの「陥落」をした。

第三の砦は、パソコンと半導体だ。
「産業のコメ」といわれた半導体は、かつて世界シェアで圧倒したし、それをつかったパソコンも、家電メーカーのほとんどが参入して淘汰された。NECも富士通も東芝も、すでに「日本製」のパソコンメーカーではない。

第四の砦は、携帯電話と後続のスマホである。
携帯電話が、「ガラパゴス化」して、「ガラケー」が一般名詞になったことで、世界市場から完全離脱した。

いわば、わが国産業の盛衰というレベルのはなしではなくて、「死屍累々の敗残状態」なのである。
気がつけば、自動車関連産業「しか」残っていない。
これが、「わが国の現実」だ。

そこにきて、「2030年までにEV化(内燃機関の自動車販売禁止)」を、とつじょ都知事がぶちまけた。
これに、あろうことか、経産省や環境省が大のり気だし、とっくにヨーロッパ(EU)も推進を開始した。

さらには、アメリカの新政権は、「脱石油」を政権公約にしているから、かつての三極(日米欧)の足並みがそろったのである。
そして、中東にちょっかいをだして、石油価格を上昇させている。

自動車関連産業とはちがう産業だから、じぶんのところは関係ない、にはならない。
ピラミッドのような建造物をイメージすれば、土台のようなものだから、それに乗っかる他の産業もみなこける構造なのである。

四つの砦に、自動車関連産業をくわえた「砦の厚み」こそが、わが国経済の「強み」であったから、なんという衰退かと嘆くのがふつうだろう。
家電大メーカーは、学生の採用すらやめて、主な就職先ではなくなった。では、若者はどこに就職するのか?

アメリカでは、大統領令第一号で、万人単位の雇用が失われることになって、民主党を強力に支持した全米労働組合が、いきなり窮地にたたされた、と書いた。
労働者より地球環境を大切にした、という建て付けになっている。

けれども、ヨーロッパもアメリカ大統領も、重要なのは「中国市場」なのである。
とっくに中国政府は、「EV化」を宣言しているからである。

では、どうして「EV」なのか?
もちろん、地球環境は「隠れ蓑」で、本音はそこにはない。
最先端の内燃機関自動車を、つくる技術が「ない」からなのだ。
すなわち、「ワープ戦略」である。

たとえば電話。
かつての三極は、電信の時代から全土に電信・電話のための固定回線を張り巡らせて、莫大な資本投資をしてきたのだ。
新興国はみんな、これを、「ワープ」して、無線電話網を安価に構築した「成功体験」がある。

つまり、「EVへの道」とは、かつての先進国の「自滅の道」なのである。

さらに、わが国の陥落した産業の砦たちをながめれば、その陥落が、政府による政策が致命的だったとわかるのだ。
民間の産業に「介入」して、これをかならず「衰退」させるのが、全部のパターンにあてはまる。

なぜ「ガラケー」が生まれたのか?
なぜ、半導体がダメになったのか?
家電事業を破壊した、「家電リサイクル法」とは何か?
などなど、政府の甘言に乗っかった経営者「だけ」が悪いのか?

まったく、「コロナ災害」とそっくりの、政府による産業破壊工作がある。
これに、反旗をひるがえしたのが、「最後の砦」なのだ。

それにくらべて、外食産業や宿泊産業などの、あくまでも政府への「従順さ」は、記憶にのこしておきたい。
「自滅」を道議とする、「狂気」すら感じるのは、従業員の生活や顧客の需要というリアルがなく、無難かつトップダウンの快感こそが優先だからだろう。

こんな産業に就職しても、「従業員のうち」はいいことはないと、世の中に示している。

自動車工業会の運動は、もちろん政府主導ではないけれど、全産業の労使で「国民運動」にしないといけない。

そんなに遠くない、日本人の生活の将来がかかっている。

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