「3本」の将来計画策定セオリー

年度末も近づいて、おおくの企業は「経営計画」の新年度版を策定して、そろそろ「社内発表」する時期になっていることだろう。
それから、6月末の株主総会向け発表版に「焼き直す」ということもあるだろう。

経営計画の策定には、いろんな教科書(ノウハウ本)が出ているので、好きなタイプを選べばいいのだけれども、経営者が劣化して、経営者の好みではなくて、担当スタッフの好みになることが多い。

つまり、経営計画を社員=従業員に「丸投げ」する、という「ふつう」が大企業を中心に浸透している。
まぁ、経営者が「元社員」だから、そうなる、ということになるのは、日本企業の社内キャリア構成上のことだから、もう珍しくはない。

けれども、昭和30年~40年代を思い出せば、いまの大企業の多くは「創業社長」が健在だった。
それがときに、「ワンマン体制」だったのは、良くも悪くも「社長」の責任が「重かった」からである。

また一方で、新興企業ではなくて、戦前からの企業、特に「財閥系」では、多くがトップの「公職追放」で、二番三番手が「トップになる」という「強制的下剋上」があった。
それで、「自信がないひと」は、かえって威張るから、ほんとうは創業社長とは別次元の「ワンマン体制」が、一緒くたにいえる時代でもあった。

いまさらだけど、創業社長は自分の会社の株式を「たっぷり」所有している。
だから、「大株主」が「社長」をやっていることになっていた。
いまの社長たちは、自社株を一単位かそこらしか所有していないで、社外の株主が「大株主」なのであるから、「ビクビク」しているのだ。

一種の、「下剋上」が継続していて、あたらしい「権威主義」となっている。

それで、会社の経費とは、株主資本を使うことに他ならないのに、「貸借対照表」をイメージしないで「損益計算書」しか意識しないから、まさか自分が裁可した経費が、株主資本との「交換」であるとは夢にも思えないようになった。

そんな無様を、社員スタッフはもとより顧問弁護士が支えていられるのは、株主資本を浪費しても気がつかない株主ばかりになったからなのである。
そこで、外国人投資家が「意見」を言ったら、「ものを言う株主」という評価になった。

そんな評価をされて最初は外国人投資家も驚いたけど、なんだか「英雄的」だから、どんどん意見を言って、とうとう我が儘を平然と通せるのが「日本企業=市場」と思えてきて増長した。

それで、日本企業ごと「奴隷化」しようと目論むようになって、東京証券市場の制度も変わるのである。
わが国に「資本がない」のではなくて、「資本を活用する」金融機能が「ない」のに、外資を導入しようと目論んでいるのは「経済学者」も含まれる。

こんなやり方は、アメリカやヨーロッパの企業には通じない。
逆に、やり込められる可能性だってあるのは、「株主利益」は、特定株主に「限定されない」からである。

その典型が、ロイヤル・ダッチ・シェルがやっている「シナリオ・プランニング」だ。

世界の動向を3つのシナリオにして、自社の対応能力を「的確さ」と同時に「即座に」できることを目的としている。
いまや、「的確さ」だけではグローバル競争の勝利者とはなれない。

ここに、昔ながらとはいえ真理である、「時は金なり」が必須なのである。

昔とちがうのは、いまの「即座」には、「コンマ以下の秒」の場合だってある。
それが、インターネット社会としての常識なのだ。

シェルにとっては、いまのところ、グローバリストたちが設定した、「SDGs」の方向が「本線」としてのシナリオである。
しかし、ここから「脱線」して、世界経済はもっと速く「悪化する」こともあるから、これを「第二シナリオ」とする。

けれども、これらに「反攻・反撃する」シナリオもかんがえられるので、これを、「第三シナリオ」とするのである。
すると、それぞれのシナリオで、自社が優位を得る方策はなにか?
これをあらかじめかんがえておくことが、企業の存続に影響する。

簡単に言えば「想定外」という状況になる「確率」を、「極小化させる」ための準備である。

以上のことを、キャノングローバル戦略研究所の研究主幹、杉山大志氏が説明してくれている。
なお、杉山氏はIPCC第4次評価報告書(2007年)から第6次(2022年)までの「主執筆者」でもある気候変動の専門家だ。

氏が提示する過去の観測データから、「異変」は発見されていない。

これはあたかも、「異変を強調する」ことの「インチキ」の曝露であるけど、第一のシナリオはこれを「無視し続ける」というものだ。
すると、第二のシナリオとは、無視し続けることができなくなった場合の「脱線」で、もっといえば「暴走」を指す。

人類の一般人が賢いなら、第三のシナリオが、もっとも可能性としてありえるけれども、これを許さないひとたちが、「SDGs」で儲かるひとたちなのである。

さては、「ミンスク(停戦)合意」を無視して、停戦しなかったのはウクライナであることを一言も説明しない報道がまかり通って、「専門家」もこれを言わない状況とは、SDGsで「儲かるひとたち」と同じ穴のムジナだとバレるのである。

そこで、組織的には「別チームの設置」という方法も、欧米企業は志向している。
メイン・シナリオに反する第三シナリオをもって、理論武装させて準備する。

「ディベート」の習慣があるからできる手法だ。

日本では、必ず組織間の「対立」を生むので、なじまないにちがいない。
ビジネスでの議論と人格を別けてかんがえることができないのは、「言霊信仰」があるからである。

ならば、テレビや新聞は、もう「雑音:ノイズ」でしかないと割り切ることだ。
これが、ちゃんとしたシナリオを描くのに必須となったことは確実である。

企業内のシナリオライターは、テレビと新聞をみてはいけない。
第一の「セオリー」が、これだ。

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