人災の「エネルギー・インフレ」である。
1970年代に起きた、石油ショックも「人災」である。
石油が地下からでなくなったのではない。
産油国が「意図的に価格を上げた」ということになっている。
「ということになっている」というのも意味がある。
当時、産油国に石油に関する権限はなかった。
なんと、「セブン・シスターズ」という欧米石油資本(「国際石油資本」ともいう)の、たった「7社」が世界の石油を独占していたからである。
人類には「戦略物資」というものがある。
最初の戦略物資は、「胡椒(コショウ)」だった。
この植物は、インドと東南アジアにあって、その「タネ」が金(ゴールド)と等価とされるほどの需要があった。
航海技術がなかった初期には、インドからペルシャ、アラブのラクダによる隊商が地中海まで運んで、そこから船でヨーロッパに持ち込まれた。
商人の手を経る度に手数料が加算されて、「末端価格」が金と等価になったのである。
それは、現代の「麻薬」とおなじだ。
胡椒の「習慣性」は、想像してみればすぐに理解できる。
高緯度のため作物が育たないヨーロッパでは、肉を中心とした食生活だった。
これを調理するにも、保存するにも、胡椒があるとないとでは話がちがうのは、味の話だけではない。
そんなわけで、胡椒を求めて、船と航海技術ができると、たちまちにインドと東南アジアが、ヨーロッパに侵略されたのである。
そして、次の戦略物資が石油になった。
同じように、中東の砂漠地帯がヨーロッパに侵略されたのである。
しかし、砂漠だから人口が少なくて、しかも遊牧民の部族社会で定住していない。
それで、適度に部族対立をさせて、石油だけを奪取していたのである。
「内部対立」させるという手法は、インドで大成功したやり方だ。
だから、わずかな地上の「土地利用料」だけしか払っていなかった。
このことの「損」に気づいたアラブ人達が、目覚めた、といえばそうでもなくて、大幅値上げを図って濡れ手に粟をたくらんだ欧米石油資本が結託してやった茶番劇が「石油戦略の発動」だった。
ところが、とんだ人物が現れて、その利益をよこせと主張したのが、サウジアラビアのファイサル国王だったのである。
日本人には、なんだか、平清盛と後白河法皇のような関係なのだ。
ヨーロッパ人はこれを知らないので、今度は欧米石油資本が翻弄されて、「OPEC」を創設させられたのである。
その背景には、中東戦争のための「武器商売」があって、全面的にアメリカ製のイスラエルと、各国ミックスのアラブへのセールスがあった。
ちなみに、当時のアラブの盟主は人口が最大のエジプトで、カイロ市内の地下鉄1号線と引き替えに、フランスはミラージュ戦闘機の売却に成功した。
こうして、わが国のエジプトへの鉄道輸出は、いったん頓挫したのだった。
それから半世紀。
誰が考えだしたのか、地球温暖化という詐欺に、なんだかみんなで欺されているのは、ダイオキシンの猛毒とかと同じで、コロナもそうだった。
アメリカが驚く技術で勝ち取った、シェールオイルとガスのお陰で「石油純輸出国」の栄光をつかんだのに、これを「人為」でやめさせて、一気に供給不足という状態を、政権が創りだしたのだった。
そのバイデン政権の前、民主党のヒラリー・クリントンが敗れトランプ氏が勝利したときから、「ロシアゲート疑惑」を仕掛けたけれど、トランプ政権が終了してからの今年、いよいよ「大ブーメラン」となって、今度は民主党に「ロシアゲート疑惑」が反ってきた。
それが、「でっち上げ」の証拠であって、すでに民主党関係者の3人が逮捕されている。
まさかヒラリー・クリントン本人にまで司直の手が届くのかはわからないけど、「本命」であることに間違いないと、多くのアメリカ人が事件の行方を注視している。
それに、この半世紀で「産油国の構成」にも大きな変化があって、いまや世界最大の産油国はロシアになっていて、サウジアラビアではない。
それで、「OPEC+」の「+」がロシアやメキシコになったのである。
バイデン政権がやって社会問題になった不法移民の「国境」とは、メキシコとの境界線のことで、メキシコ大統領は自国が通過点になる「大迷惑」を表明している。
さらに、ウクライナでNATOを使ってロシアに圧力をかけているのもバイデン政権だ。
こうやって、トランプ氏が撤退しようとした中東依存から、見事に「中東回帰」をやっているのは、従来型の石油利権と武器商売の「両立」が目的だとすれば「わかりやすい」のである。
アメリカのインフレはすでに「歴史的」な水準にまでなったけど、日本は例外状態になっているように見える。
しかし、すでにわが国の「卸売り物価(今では「企業物価」という)」は、もう歴史的に「高騰」していて、日銀が発表した先月11月の指数は、昨年同期比で「9%」も上がっている。
消費者物価に転嫁できない、ということだろうけど、そろそろ限界だ。
なお、電気代とガス代の値上がりは、とっくに起きている。
ますます、原子力発電の「再開」という、国民の要望が強くなるようにもなっている。
それに、ガソリン価格が300円になったら、電気自動車へのシフトに加速がつくという「メリット」が政府にある。
「世界貧乏化」の実現が、アメリカ発信で世界を巻きこむことになったのである。
コンテナが来ないための「マックフライポテトの販売中止」も、その経過過程のひとつに過ぎない。