アマゾン・レンディングの威力

古いタイプの金融商品を、古いタイプの売りかたをしたのが「簡保」だった。
金融庁さまが罰をくだすかも、という話があるが、それよりも被害をうけた契約者が、集団訴訟を起こすのがもっともうまいやり方だろう。

基本的に、報道されていることが事実なら、あきらかに「詐欺」だからである。
しかし、あんがいバブル後の生命保険会社はどちらさまもおなじ手口で、契約更改をしてきたから、金融庁さまも悩ましいだろう。

生命保険は、基本的に長い期間の契約になる。
それで、保険料率の計算につかう「金利」は、ふつう契約時点の金利が採用されて、その後変更されることはない。
つまり、「固定金利」での契約になる。

これとはちがって、金利が変動するのを「変額保険」といって区別する。
金利が上昇局面なら「変額保険」が契約者に有利になるが、契約時点がもともと高金利のときならば、ふつうの保険がだんぜん有利になる。

いまはなき公定歩合でみても、二度の石油ショックでは9%、30年前のバブル時は6%ほどだったから、いまではかんがえられない高金利だった。

このときの契約は、平成の低金利時代になって、保険会社の経営を圧迫する、とんでもないお荷物になったのだ。すなわち、契約者にとっては、いまでは夢のような金利がつく状態だった。

そんなわけで、保険会社の経営を安定させるには、高金利の契約を低金利の契約に更改させることが、もっともうまいやり方になる。
で、いろんな「特典」をつけたようにして、とにかく低金利商品に切りかえた経緯がある。

民営化されたから、いまどき日本郵政を国営だと信じているひとはいないだろうが、なんとなく国営の匂いがするのは否めない。
それで、(民間の)保険会社ではなく「かんぽ生命」という保険会社に加入するひとがまだいるのだろうが、今回の「事件」はなんだかものすごく「遅い」のだ。

この「遅さ」こそが、むかしの「国営」のあかしであろう。
つまり、民営化されたから、いまどきになって契約更改に積極的になったのではあるまいか?

もちろん、「産業優先」というわが国政府の立ち位置は戦前からまったくかわっていないから、ぜったいに生命保険会社を破綻させたくない金融当局は、これを容認したか積極的に「やれ」と命令したかしたはずである。

こうした経緯からすれば、まったくもっても今さら感がするのだが、上述のように「国営」だったから、民間が焦ってやった危ない橋を渡らなかった。
だから、「かんぽ生命」も、ようやくふつうの生命保険会社になった、ということではある。

かんぽの有利性をしっているひとはたくさんいたから、その分社会的な「事件」になったのだろう。

「犬猿の仲」というほど仲がわるかった千葉銀行と横浜銀行が、なんと「提携」するというのも、金利が低すぎて(というより)「マイナス金利」という、人類史上初体験状態がつづいて、もうガマンの限界になったということだ。

マイナス金利をやっているのが、日銀で、これをやらせているのが「アベノミクス」といわれる政府の「政策」だ。
もともと、低金利政策実施に抵抗した白川総裁を、バブルの反省で政府からの独立を明文化した日銀法を元に戻すぞと脅して辞職させ、言うことをきく「財務官」だった官僚を後任とした人事も、一貫した「政策」であった。

横浜銀行は、歴代の頭取が大蔵省・財務省のOBが天下ってくる銀行だったから、こちらもいまさら国を相手に裁判を起こしたくても起こせない。
それで、巨大化するしかない、という恐竜のような生き残り戦略になってしまうのだ。

もっとも、この国の「三権分立」はとっくに絵にかいた餅だから、訴えたところで裁判所は政府にへつらうだけである。
マイナス金利は、憲法にある国民の財産権侵害だと、最高裁がいわない理屈を考えだすだけになる。

そんなわけで、銀行という経済の心臓機能が、まさに「不全」になっているのが日本経済で、おカネを貸してくれるのは「政府系金融機関」だけになってしまった。

ところが、アマゾンという別口の巨人が、ネット出店している人たち向けに「レンディング(貸出)」サービスをやっているのだ。
どのくらい売れているのかは、アマゾンがよく知るところで、さらに誰に売れているのかまで把握できるのが、ネットでの取り引きである。

ここに「信用」がうまれる。
融資というのは、借りるがわからすると「スピード」(時は金なり)が重要だ。
最短で申込みから三営業日で実行される。

アマゾン内の取り引き実績が基準になるから、融資枠は画面上で都度表示されるようになっていて最大5,000万円までである。
金利は、高めの設定で、返済は元利均等方式である。

銀行から借りるのが一番金利が安いのだが、スピードと提出書類、それに担保というハードルが高いため、アマゾンに出店している事業主は、銀行から借りない。

つまり、あたらしい銀行が生まれているのである。

古い銀行の生き残りは?
(-)×(-)=(+)だが、このばあいは掛け算ではない。
似たものどうしの足し算だから、(-)+(-)=(-)となって、マイナスは大きくなる。

恐竜のように絶滅する可能性がある。

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