ソドムとゴモラ消滅の衝撃

『旧約聖書』の「創世記」にある、背徳の都市を指す。

日本人の伝統的な価値観のひとつに、「性へのおおらかさ」があることを、日本人がしらない状態になった。
歴史や民族の文化を、戦勝した外国人によって「忘却させる」というのは、あきらかに「国際法違反」であるけど、これもしらない状態にある。

この「おおらかさ」が結実したのが、『万葉集』であり、『源氏物語』ともいえるけど、「記紀」の神話にもあるから、かなり日本人の「原点」にある心情だといえる。

とくに「最古」といわれる『万葉集』の「最古」の意味は、「日本最古の和歌集」という言い方ではおさまらないと、ドナルド・キーン氏が指摘している。

キーン氏といえば、言わずとしれた日本文化研究の世界的大家で、2012年(平成24年)に帰化した、日本人だ。
わたしはキーン氏と直接の親交はなかったけれど、コロンビア大学での弟子にあたる加藤アイリーン(愛琳)女史にはずいぶんとお世話になった。

アイリーンさんはアイルランド人で、ソルボンヌ大学留学中に、外交官補だった、加藤吉彌氏とアイルランド国籍を棄てて結婚され、後のエジプト駐箚特命全権大使の夫人として外交団の間でも有名な、「日本人」であった。

夫婦間の会話は日本語を基調としていたが、折いった話になるとフランス語であった。

毛筆をとればご夫妻で、日展入賞、の「書」の達人でもあり、フランス大使に内定して検査入院した病院で、不運にも院内感染して亡くなられて「未亡人」となってからは、聖心女子大学などで、「源氏物語」の教鞭をとられていた。

なので、エジプト以来、ずっとお世話になり続けた恩人である。
そしていつも「古典を勉強なさい」と叱られていたのである。

そんなわけで、『万葉集』についてのキーン氏の話とは、「世界最古にして最大の選詩集」だと断言されていることだ。
その特徴も、世界に類例がない、天皇から庶民の歌が一緒に掲載されていて、4516首にのぼる。

この「平等性」は、いかにギリシャ・ローマ以来の伝統を誇示しようとも、欧米人がいかんともしがたい「歴史的快挙」なのであって、「恋の歌」から「生活の歌」など、その「先進性」は現代にも通じているのである。

最近では、「食生活と脳機能」とが研究されてきて、「小麦と肉食」に対する「米と魚食」のちがいが、脳への影響をさせて、強い欲求を制御できるかできないかという比較にもなっている。

それが、欧米人の貪欲さをつくりだして、ソドムとゴモラの話になったのかもしれない。
「創世記」は、「原罪」から、「カインとアベル」の殺人、「モーゼ5書」でのどんちゃん騒ぎが先にあって、何度も「過ち」が繰り返されている。

そこで、創造主たる神が、怒りの鉄拳として二つの町を「天からの硫黄と火」によって滅ぼされたという話になっている。

前にも書いたが、「聖書学」という学問があって、考古学も含めた学際的な研究がさかんにされている。
いわば、聖書の事実関係を洗い出す学問で、宗教的解釈とは一線を画している。

ほとんど40年前になるけれど、エジプトからの帰国を前にもらった休暇で、イスラエルをひとり旅した。
前半はバスで、後半はレンタカーで各地を廻ったのであるが、わたしの聖書への知識が浅かったために、聖書学的旅行とはいかなかったのが残念だ。

「死海」では、どうにも沈まない不思議な海水浴をしたけれど、舐めてみたら「しょっぱい」のではなくて、「苦かった」ことを覚えている。
それに、すぐさま真水のシャワーを浴びないと、皮膚がヒリヒリしてくるのは、表層が溶け出しているからだった。

その死海の南には、天然の凝固した「塩」が岩のようにゴロゴロしていて、柱のように立っている場所もある。
この近くに「ロトの妻」といわれる巨大な塩柱がある。
ソドムが滅亡するときに、後を見てはいけないという忠告があったのに振り向いてしまったからだと。

一方で、塩ばかりでなく、自然湧出している「アスファルト」が見られる場所もあって、それがまた、「荒野」の中なのである。
ここまでくると、放置された都市遺跡がいくつもある。
発掘調査でわかるのは、「火災」によって壊滅したらしい。

じつは、塩(塩化ナトリウム)とイオウは化学的に反応する。
そしてこのあたりは、アフリカ大陸とシナイ半島が引き裂かれている、「大断層帯」なのである。

だから、地震によって地層から噴出したイオウとアスファルトが塩と反応して大火災を起こしたとかんがえられていた。

しかし、近年になって、1600度以上の高温にさらされて溶解した陶器の破片が、死海の北の都市遺跡で発見されると、従来の説では説明がつかなくなったのである。

隕石の空中爆発。

いま、もっとも有力視されている。
すると、聖書の記述にある「天からの硫黄と火」によって滅ぼされたという話とも合致するのである。

残念ながら、小麦と肉食で脳をやられたひとたちの飽くなき欲望は、大惨事をもってしてもなくならないで今に至っている。
そうやってかんがえると、万葉集の日本文明と、いま、西洋の悪徳の文明が衝突しているように見えてくるのである。

この二つの文明を熟知していたドナルド・キーンさんは、もっと日本人にしられていい。

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