ドイツ人は目覚めるのか?

バラバラで戦争ばかりしていたヨーロッパがEUになって、最大の利益を享受してきたのがドイツだ。

結局のところ、EUとは「統一通貨ユーロ」を介した「通貨同盟」に過ぎないのだけれども、この「経済体制」を上から抑えつけるための政治組織が「EU委員会」だ。

これも、「イリュージョン」を仕込んでいて、「EU議会」とか、「EU大統領」を選出して、あたかも民主主義を装うけれど、実態は日本の官僚制を真似てブラッシュアップした、「官僚独裁制」となっている、と繰り返し書いてきた。

しかし、「通貨同盟」という本質からしたら、「ヨーロッパ中央銀行:ECB」こそが中核的な統一体なのである。
とはいえ、ECBが設立される「前」に、ハイエクはとっくにお見通しで、この通貨同盟の「ムリ」を説いていた。

バラバラだったヨーロッパ各国が発行していた通貨を、どうやって統一するのか?を考えれば、加盟各国の同意なしには果たせないことは、子供にもわかる。

すると、どの国も「自国有利」を図るのが「政治」にもなるので、通貨価値に「政治バイアス」がかかるのである。
つまり、統一前の「相場」をそのまま受け入れることはしないで、相場を「考慮」することにする。

よって、人為的な相場を「妥協」することで、とにかく「統一する」ことを優先させるのである。
もはや、目的が実体経済を反映するのではなくて、単なる「政治」になる。

もちろん、相場そのものも、あらゆる思惑がからんで形成される。
それで、「統一通貨ができる」という情報だけでも、「市場操作」される可能性があるから、なにが本当の「相場」なのかは誰にもわからないことになるのである。

そうやってとにかく「決まった」それぞれの国の通貨価値を、統一通貨の交換レートにした。

そして、この「瞬間」に、ヨーロッパは加盟各国のそれぞれの経済情報を、通貨価値で表現していた「機能を喪失した」のだった。
つまり、決めた瞬間から時間が経過しても、各国経済状態を瞬時に見分ける指標としての通貨相場を失ったのである。

その矛盾が噴出したのが、ギリシャ危機であり、同時に起きたイタリアやスペインの、いわゆるラテン系の国に波及した危機だった。

要は、経済の強い国(たとえばドイツ)と、経済の弱い国(たとえばギリシャ)の通貨が、おなじなのだから、ギリシャ人がユーロを使うこととは、何を意味するのか?

ドラクマがなくなって、自国経済の実力を上回る価値のおカネしかない、という状態になれば、まず国内的にはデフレになる。
しかし、域内貿易の視点では、ドラクマ時代よりも有利にヨーロッパ製品を買えるのである。

その、ヨーロッパ製品がドイツ製だったから、強いドイツにすれば、マルクよりも安いユーロが「輸出」を促進して儲かるのである。
つまり、ギリシャのような弱い国は、域内において「植民地」に成り下がったのだった。

ギリシャ国内で、安いヨーロッパ製品=ドイツ製品が買えるひとたちは、国内のデフレで優雅な暮らしになって、そうでないひとたちはデフレが生活を圧迫した。
「高く売れない」からである。

それで、社会主義的(といっても日本ほどではない)ギリシャ政府が、補助金をばらまいて、政府財政が破綻したのだった。

もちろん、ギリシャを救うにはカネが要るけど、この拠出をドイツが渋ったから、ギリシャ人の恨みが募ったのである。
自分たちから富を搾り取ったのは「どいつだ」と。

この「富」の移転が、ユーロを介して行われたので、ドイツ人の生活がえらく向上したから、「環境対応」という「贅沢の極み」に国をあげて走りだすことができた。

おそらく、生真面目なドイツ人気質からして、想像以上に生活が豊かになってしまったことへの「不安」が、地球環境保護という集団詐欺に引っかかる精神状態をつくったのだと推測するのである。

一方で、このドイツの一人勝ちが気に入らないのがアメリカ民主党だ。
しかもあろうことか、旧東ドイツ出身のメルケル首相は、ロシアとの蜜月を画策し、なお、習近平の中共とも連携している。

アメリカ民主党が中共を叩くのは、江沢民派を復権させたいが故であって、決して「反中」という国レベルの話ではない。
もちろん、プーチンを叩くのは、エリツィンがもたらした特権を剥奪したからである。

さてそれで、日本の新首相がアメリカ訪問できないなかで、ドイツの新首相がアメリカ訪問し、バイデンと一緒に記者会見したのは、ロシアがウクライナに侵攻する「前」であった。

ここで、バイデンは「もしもロシアがウクライナに侵攻したら、ノルドストリームを使えなくする」と突如発言した。
驚いた記者が、「具体的には?」と質問したが、バイデンは「使えない」というだけだった。

それがこないだ、ほんとうに使えなくなった
北欧各国が調査した結果として、ヨーロッパの報道では、「水中ドローン」による「爆破」という結論に「騒然」としているのが、ドイツ人だ。

2兆円をかけて作った、パイプラインは、ドイツの「民間施設」なので、ロシアのものでもないし、火力と原子力両方の発電所を止めたドイツ人には「命の絆」であった。

このことと連関して、ドイツのエネルギー危機は、中小企業の半数を廃業と倒産に追い込むとの試算も発表された。
これはもう、ドイツ経済の崩壊であるし、EUも維持できるのか?

状況証拠は、犯人がアメリカによる「国家テロ」を濃厚に匂わせている。

そんなわけで、ドイツでは「反米(反民主党)」の気運が高まっているのである。
この破壊工作が、大ブーメランとなって「反米・親ロ」になりかねない情勢になってきた。

EU委員会は、どうするのか?
もちろん、わが国も?

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