パソコンメーカーからの電話

購入者への意見聴取というふれこみで、昨年秋に購入したパソコンのメーカーからの電話があった。

本音は、年度末決算の値引き販売の案内をしたかったらしい。
けれども、ついこの前に新品を購入したばかりなのだから、当分の間、購入予定はないと告げると、いろいろと遣い勝手の質問に切り替わった。

顧客への電話において、「販売」と「情報収集」という二つの目的をもたせるとは、「さすが」とおもった。
こういう「技」を、日本企業はできなくなっている。
「電話調査」という分野で一日の長がある、「外資ならでは」だとおもいながら、それに回答することにした。

ちなみに、「電話調査」で成功したのはアメリカだ。
アメリカ人の陽気さが、いきなりかかってくる他人からの電話でも、あんがい気まずくさせないのだ。
それで、紙を送りつけるアンケート調査より、電話調査の方が主流になった。

ただし、質問は「二問までが原則」だから、今回の電話も、このルールにしたがっているのである。
おそらく、初期のころ、三問も四問も質問して、さすがに怒りをかった経験があっての「ルール」になったはずだ。

アメリカ人の経験則なので、日本人に適用できるのか?ということは十分に検討されたはずでもある。
医薬品だと、アメリカ人の一回分の半分がおおよそ日本人向けになっているのは体格のちがいだが、生活習慣すなわち文化のちがいは、みえない分、難易度がたかい。

わが国の人的サービス業すなわち「接客業」で、この「難易度の高さ」が議論されない。
その「安易さ」が、収益や生産性の低さになってあらわれているのである。

「サービスの難易度」のことではない。
相手の文化や習慣についての研究のことである。

世界的にみて「貧乏国」だったわが国は、ヨーロッパ人からすれば、身分の差はあったけど、めったに所得の差があったようにはみえなかった。
それは、日露戦争勃発前の駐日フランス公使がのこした文章にもみられる。

高貴なる日本人が、ロシアという大国と戦ったら、滅亡してしまうだろうと嘆いたのである。
それは、国民全体が「高貴」であったが、国全体が「貧しい」からであった。

けれども、国民の側は視点がミクロになるので、フランス公使のようなマクロの比較対象をもっているわけではない。

そんななか、当時の「接客業」におけるサービスの「粒度」をかんがえると、だいたい「おなじ」すなわち「一律」なのである。
つまり、相手の身分によって一定の変化をさせれば、それでよかった。

かつての「文豪」たちの小説をそれぞれ読めば、主人公たちが接客業者にどう扱われたのか?がよくわかる。
つまり、ワンパターンなのである。

高度成長期の「一億総中流」時代こそ、もっとも「一律」が優先されて、全国の有名旅館やホテルも、だいたい「おなじ」なのであった。
これが、総崩れになったのは、直接的にはバブルの崩壊ではあったけど、その底辺には、高度成長の産物としての「多様化」があった。

それでいま、ようやく宿の形態も「多様化」してきてはいるが、むかしからの宿が、「多様化」の研究をしっかりしているといえるのか?
と問えば、なかなか「肯定」できないのである。
これが、衰退の主たる原因なのだ。

そんなわけで、購入したパソコンについての感想をきかれたので、大不満の「キーボード」について語ることにした。

「軽さ」を強調するのはいいが、「薄さ」はいかがか?
そのために、キーボードが貧弱になる。
これは、「入力機能」として致命的で、遣い勝手評価の8割ぐらいにあたらないか?と。

それがため、古いノート・パソコンをサブ・マシンとしていまでも愛用しているのは、頑丈なゆえに重いけど、キーボードの打ち心地について、他の追随をゆるさないからである。
しかも、このメーカーさえも、いまではこんな丁寧なキーボードを装備した機種を販売してはいない。

つまり、全メーカー全滅という状態になったので、快適なキーボードを持ち歩くことにした。
すると、ノート・パソコンのキーボードが不要になる。
しかし、タブレットPCのスペックにおける「貧弱」と、立てかけるときの不便は、がまんできない。

つまり、キーボード・レスだが、画面の角度調整ができて、二画面の携帯パソコンがほしいという意見をのべたのである。

どういうふうに、企画設計につながって、どういうふうに議論されて、それが採用あるいは却下されるのか、知る由もない。
けれども、日本メーカーのパソコンがたった数社で、事実上ほとんどなくなったいま、アメリカの老舗に期待したいのは本音である。

しかも、このメーカーは、「東京生産」をうたっていて、都下の工場で組み立てている。
日本人が働く場所があるから、いいたいことをいわせてもらった。

こんなことを、消費者がかんがえる時代になった。

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