中学生学習塾のPCR

中学生向け無料学習塾動画の「スタフリ」について前に書いた。
このときは、「英語」をメインとしていたけれど、今回は「数学」である。

このブログで何度もくりかえしてきたことのひとつ、「統計」は、「ゆとりの名」のもとに、30年間もの月日において、わが国「学校教育(中学校・高等学校)」では封印されてきた分野であった。
統計を「再開」することをきめた学習指導要領は、平成24年に中学校に入学した生徒から進行することになった。

世の中は小学校で「プログラミング」がはじまることに、ちょっとだけ議論があったけど、超高齢社会の爺婆たちは孫世代の将来に関心はうすく、じぶんたちの老後(いま)生活の「楽さ」に関心がある。
これが、ほんらいの「戦後教育」の実績(わるい意味の「利己主義」)なのだ。

さて、プログラミングをするにも、そもそもデータをいじるのがプログラミングだから、「データってなんだ?」という根本をしらないといけない。
それには、「データ収集」という技術もひつようで、データはかってに都合よく集まるものではない。

「統計」も、計算方法が重要なのではなく、なにを知りたいのか?という目的と合致させる方法を、数ある方法から最適な方法を選択する、ということがないと無意味になるし、計算結果の「解釈」にあたっても、適切なセオリーをしらないと、「因果」と「果因」が逆転して、支離滅裂な「結論」を作文できる。

そんなわけで、30年間の封印が切られてから10年ほどが経過したので、若い先生ほど統計を理解している。
この「解禁」以前の30年間に教師となったベテランほど「教える力」は、かなり「やばい」のである。

そこで登場するのが、「学習塾」だ。

「英語版」では、声のみで元気な生徒役をやっていたひとが、「数学版」では主任講師である。
ここで取り上げたテーマが、「PCR検査」を簡単に受けられない理由を、数学的に説明する、というものだ。

くわしくは、検索して視聴されることをおすすめする。
なお、おなじテーマで多数の解説動画があるから、ご不審の向きは説明の工夫のバリエーションをふくめていろいろご覧になると「勉強になる」だろう。
ましてや、昨年3月には、もう動画をあげているひともいる。

タイムリーだけでなく、相手をわからせるための努力が、素晴らしいのである。

さて、「理数」とはよくいったもので、理科と数学の関係は切ってもきれない。
この「例題」による統計解説は、「ベイズ統計」の教科書では「条件付き確率」といって説明される。

さらに、このような「例題」で学ぶことが推奨されるのは、人間の「直感」と「実際」が異なることがわかるからである。
このようなことは、経験を積んだおとなによりおおくみられる「勘違い」になるから、子どものときに教えるのである。

子どもはこうした授業で習ったことに、感心すると、それを実社会に当てはめて、例題どおりおとながこぞって間違えているのをバカにして観察しているものだ。
あんがいと社会のことをクールにみている「小悪魔」なのだ。

言葉として「条件付き確率」といえば、こうして習ったことをすっかりわすれたおとなも怯むが、ぜんぜん習わなかった30年間の空白で、もっと怯むおとなたちがこの国の社会を牛耳っている。
同世代の前後をみわたしても、こんな用語すらだれもしらないので、平然と無視できる傲慢ぶりも、おとならしい事情の表現でもある。

じつは、この「例題」が、そのまま「国家資格試験」にでる分野がある。
それが、「医師国家試験」で、たとえば「がん検診の精度」に関してとかの「問題」として、「でる」こと頻出なので、医学生でしらないものはいないという。

すると、「国民全員PCR検査すべき」とテレビやマスコミで訴えた「医師」とは、「医師国家試験」でこの問題は間違えたけど、なんとか別の得点で合格したということになるか、あるいは、なんらかの「意図」があるかのどちらかとなる。

しかもまた、なんだかむずかしそうな医師国家試験ではあるけれど、じつはそのなかでも頻出するこの問題の、数学的レベル(難易度と習得範囲)は、中学生向けなのであるから、「義務教育」のいがいな有用性を確認することもできる。

さてそれで、99%の確率で病原体がいることを判定し、98%の確率で病原体がいないと判定する、という精度のもとでかんがえることとする。
そして、対象となるある集団の0.01%に実際の病原体をもっているひとがいて、そこからランダムに一人の検査をして、「病原体がいる(陽性)」と判定されたとき、実際にそのひとに病原体がいる確率はいくらか?
という問題である。

こたえは、約0.5%。(「陽性者」のうちざっと200人に一人)
おどろくべき「低さ」なのだ。
つまり、全体となる母集団に疑いのないひともいれると、検査精度が酷いことになる、数学的証明でもある。

これを、中学生はしっている。

計算方法は、どうぞお調べください。

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