会社は学校なんだよ

『会社は学校じゃねぇんだよ』という、ネット配信のドラマが人気だという。

残念ながら観ていないので、ストーリーも知らない。
だから、本作ドラマ自体の感想もなにもない。
作品を離れて、「タイトル」にある言葉をそのまま考えてみたいのである。

ある意味正しく、ある意味間違っている。

以前、とあるベンチャー企業の顧問をやっていたことがある。
このことは、本作ドラマの設定と似ているかもしれないけど、これから以下の内容とは関係はない。
ただ、現実の企業には、出資者たるオーナーがいた。

なので、社長以下の経営陣は全部「お雇い」である。
その「お雇い」の社長から雇われて顧問になった。
幸か不幸か、そのオーナーにお目にかかったことはない。

この会社の社長は、若いけど実力があるビジネスマンで、起業から数年で社業を「倍数的拡大」させて成功していた。
それも、「同業他社を買収」するという方法によってであった。

しかしながら、内部的な「行き詰まり感」が発生していたのである。
それが、「マネジメントの不足」であった。
この改善のために、顧問になったのである。

「マネジャーの不足」ともいえるけど、「マネジメントができるマネジャーの不足」といえば分かりやすいだろう。
つまり、買収した相手企業にマネジメントができる人材がいないために、企業組織の運営上で、「停滞」という現象が発生していたのである。

さらに、買収された相手企業の「管理職」は、その役職を保障されて新会社に移行したので、会社が変わっても業務が変わった、という認識すら欠如していた。
つまり、これまで通りの日常業務が、マネジャーの仕事だと思いこんでいた。

このことを「問題」として直接本人に伝えても、何のことだかわからない、という「おまけ」もついてくる。
入社以来、何十年も先輩の仕事を見て覚えさせられたひとに、いきなり「違うだろ」と言っても通じないし、場合によっては「反発」までするのである。

その「反発」は、管理職一人ひとりによるならまだしも、買収されたという「思い」が、一般職の従業員にもあるから、「妙な被害意識」が醸成されて、職場全体の不満となって、ときにそれが「爆発」するのである。

つまり、かなり厄介な問題になっていたのは、買収した相手が単数ではないからである。
一種の「モグラたたきゲーム状態」になっていた。
しかも、そのモグラが20以上もあったのである。

そこで、社長は、幹部社員の不足を他業界にも門戸を開いて、大々的に募集していた。
「血を入れ替える」という作戦である。
しかし、どういうわけか、応募者の年齢が20代後半から30そこそこという、若いひとばかりで、しかも「業界未経験」という特徴付きだったのである。

「どうしましょう?」
これが、最初の相談だった。

とにかく、社内での幹部会議に同席して、先ずは状況の確認をした。
よくこれで会社としてのまとまりがとれるものだ、というのが第一印象だった。
いまなら、完全パワハラ会議である。

経営陣から罵詈雑言が飛んで、たまにはお茶のペットボトルも飛んだ。

「なんとか使えるように教育してもらえませんか?」
「完璧、は勘弁してください」
「とにかく速く、使える幹部社員に仕立てて欲しい、それから先はなんとかなるでしょうが、いまのままでは何ともなりません」

結局、社内的に「幹部学校」を急いで立ち上げることになった。

もちろん、「学校」といっても、校舎があるわけではない。
むしろ、教育プログラムをどうするか?ということもあるけれど、会社としてどんな幹部にしたいのか?という問題が、顕在化したのだった。
経営陣の中で、「幹部像が違う」ことがわかったからである。

こうなると、プログラムをどうするか?どころではなくなる。
もっというと、事業の拡大を通り越して「膨張する会社」をどうするか?という問題が、オーナーの意向の確認を要することになったのである。

どこまで拡大するのか?

オーナーの答は、オーナーらしいもので、「最大化」であった。
しかも、いまよりも、これまでよりもスピードアップして、さらに買収を加速して拡大せよ、という。

それで、「会社としての統制がとれなくなる」という社長の指摘に、オーナーはもっと単純に答えたという。
「そんなことは、社長であるお前の仕事で、自分には関係ない」と。

まさに、「ごもっとも」。
しかも、「会社は学校じゃねぇんだよ、何をもたもたしているのか?」。
「使えないならクビにして、使えるやつを雇えばいい」。
「会社(自分)のカネで、余計なことはするな」。

さてはオーナー、日本では社員を解雇できない、と言ったところではじまらない。

そこで社長はどうしたのか?
「無視しましょう」だった。

会社を崩壊させることはできない。
社長の自分が使えない、というなら、自分をクビにすればいい。
それで一番損をするのは、オーナーだ。
といい切ったのであった。

そんなわけで、従来からの管理職と、若い未経験者をそれぞれに育成するプログラムは、自然と「腹を据えた内容」になったから、受講する側の腹も据わって、効果は期待以上であった。
加えて、社内報酬の諸制度も変更したこともその気にさせたはずである。

この効果に、高笑いしたのはオーナーなのであった。

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