全国チェーンホテルのバラツキ

出張族にはおなじみの全国チェーンのビジネス・ホテルに泊まって気がついた「バラツキ」は、次回の宿泊施設選択に覚えとしてメモをしておく。
ただし、ここでの議論は、ビジネス・ホテルゆえの「人的サービス」ではなくて、「ハード上のこと」である。

ホテル業が「接客」サービス業だと信じているひとはたくさんいるけど、そんなことはない。
「グレード」によって、サービスの質と利用客へのまとわりつき方が違う。
だから、今ではあまりいわない「格安ホテル」は、人的サービスよりも「設計者が用意するサービス(ハード=機能)」が重要になってくる。

これは、例えば旅客機内のトイレの設計に似ている。
あの強烈に狭い空間は、用意するべき座席数との「トレードオフ」の関係から導きだされた、極めて綿密なる設計を要するものなのだ。
それは、「狭い」からといって、トイレとしての機能性を一切放棄していないことから理解できる。

しかも、高度1万メートルの上空でも、地上と変わりない「水回り」の機能を完遂させねばならない。
更にいえば、上水と下水との区分すら必要で、氷点下50℃を超える外気にあっても、地上ではふつうに処理できることが必須なのである。
清潔に使用できるようにするのは、客室乗務員の人的サービスではあるけれど、基本機能は「設計段階」という人的サービスで決定的になっているのである。

そんなわけだから、同じホテルチェーンの名前を冠していても、独自設計で建てたホテルと、赤の他人がやっていたホテルを買収した場合とでは、「中身が違う」のは当然なのではあるけれど、むしろ、赤の他人が建てた物を、「チェーンらしくする=統一」ことの方がずっと手間がかかることがある。

普通なら、独自設計の建物の評価が高いのだろうけど、今回は違う。
どこか別のホテルを買収したと思われる、客室の合理的設計に納得したのである。
だから、明らかにこのホテルチェーンが量産している客室では、不満が残るのだ。

このような現象があるのは、なにもホテルだけでなく、温泉旅館も、経営者のみならず従業員も、「泊まり慣れていない」という怪奇なことがあるからなのだ。
自社にすら「泊まり慣れていない」から、他社比較を「お客目線」ですることができない、「まさか」がある。
なので、客室の快適性をレポートするのは、何度も様々な宿に泊まり慣れているひとがやっている。
けれども、これらは「個人的見解」なので、なかなかに「決定的要素の発見」になっていないうらみがある。

いつの間にかに、「ビジホ」というグレードの分野が確立して、それがおよそ「14㎡」に集約されてきた。
個人が一人で棲まう「ワンルーム」なら、およそ「18㎡」だから、一泊毎に販売するビジホは、月額単位で住所登録ができる部屋より、4㎡の有利がある。
すると、50部屋で200㎡の違いが生まれる。

毎日の清掃の手間を考えたら、1㎡当たりの単価は上乗せされるから、ワンルームよりは割高に設定しないと「割に合わない」けれど、200㎡のアドバンテージが有効なのだ。
これに鉄道会社が目をつけて、「沿線」とは関係のない「展開」を開始した。
子会社の旅行事業を放棄して、ビジホ事業に熱心になったのである。

それでもって、旅行会社への手数料を負担と考えて、自社HPでの「最安値保証」をしている。
これもまた、奇怪なる現象なのである。
ところが、海外勢も含めた「ネットエージェント」は、「宿泊ポイント」なる手法で、「最安値」を流動化させてしまった。

利用者が得られるメリットは、なにも「宿泊料金」だけでないからだ。
航空券の手配や、レンタカーなど、「足」にまつわる各種予約の「ワンストップサービス」が売りになっている。
利用者は、こうしたトータルを「買っている」けど、それが簡単にできることにメリットがあるのだ。
そして、こうしたことの、個人と法人需要のちがい、についての研究が、外国ほどよく行われている。

そんなわけで、鉄道会社が系列で旅行会社をやっていたのに、「本社」にあたる鉄道会社はそのノウハウを全然理解していなかった、ということもバレたのだった。

さて、ビジホの全国チェーンの話である。
「接客」における「人的サービス」がどんどん縮小されて、「自動チェックイン」も当たり前になってきているし、「前払い」が原則になっているから、チェックアウトすら鍵を返すだけでよい。
その鍵も、「暗証番号」にしたら、とうとうそのまま何もしないでホテルを後にできるようになった。

つまり、このグレードのホテルは、「設備」こそが「サービス」になっているのだ。
リモートによる業務という時代から、夫婦二人の宿泊でも、デスクは二人分が必要だ。
おそらく、かつては「パウダー・コーナー」だったものを、ミニ・デスクとして改装したセンスが光ったのである。
ついでにいえば、テレビがある部屋とない部屋という選択肢もあっていい。

狭い部屋の空間にある、テレビがリモンコンとともに邪魔で仕方がないのだ。
すると、テレビがない部屋は、料金が安いと考える「昭和世代」の経営者が出てくること必定だ。
私には、テレビがない分の面積を他の電子機器で埋められるから、よほど価値が高い。
それが安いという料金発想をするなら、「もってこい」なのである。

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