公務員倫理法の「まずい倫理」

「倫理にもとる」というときの「倫理」とは、「不倫」の倫理をいう。

世間でいう「不倫」が、週刊誌ネタ的男女間のいかがわしい関係を指すようになった。
むかしは、これを「浮気」といっていたものだ。

すなわち、既婚者である男女のどちらかが浮気して、正規の相手に対しての「裏切り」だという意味である。
両方とも既婚者なら、「ダブル不倫」という言葉をつくった。
当然だけど、これは、「婚姻制度」を侵すものなので、発覚して正規の相手から訴えられれば、ちゃんと「民事事件」になる。

そこで、発覚しないような工夫をこらす、という行為も伴うから、いよいよ褒められたことではない。
つまり、「うそ」でもって「うそを固める」からである。
なるほど、「不倫」とはよくいったものだ。

「倫」の字は、「ひとのみち」という意味なので、「不」をつけて否定すれば、「ひとのみちからはずれた」=「ひとでなし」という意味である。
だから、発覚すると、おそろしく「恥ずかしい」ことになるのだけれど、おおくのひとがしでかすと、「恥も外聞もない」ことになる。

そんな社会を、「爛熟」とも「廃頽」あるいは、「背徳」ともいった。

背徳の「徳」は、「道徳」のことである。
だから、倫理と道徳の違いは、いがいと難しい。
こうしたときに外国語を引き合いにして解説すると、納得できる。
とくに、欧米の言語だと、厳密な違いがあるのは、曖昧さを嫌う文化があったからである。

「倫理(ethics)」:ひととして生きていく上での守るべき道=ひとのみち、だけども、特定の集団とか職業に適用して、「客観性」を重視する。
「道徳(morai)」:社会全体の善悪をわきまえるための守るべき規範で、「個人の内面的な自発性」を重視する。

「職業倫理」とはいうけれど、「職業道徳」とはいわない。
「公衆道徳」とか「交通道徳」とはいうけれど、「公衆倫理」とか「交通倫理」とはいわない。

「衣・食・住」がぜんぶ足りると、二手にわかれて、廃退に向かうひとと、感謝の信仰に向かうひとがでてくる。
たとえば、古代ローマ帝国の爛熟は、共和制から帝政に移行してすぐにはじまった。

バブルの時期には高級旅館や高級ホテルが不倫の舞台に利用されて、チェックイン時の「登録(レジストレーション:宿泊名簿:宿帳)」の、証拠提出命令が裁判所からやってきた。
「個人情報保護法」は、2005年に全面施行されたけど、裁判所から命令されたら、事業者は拒否できない。

「不倫」の証拠も、「客観性」が重視されるのだ。

そんなわけで、「国家公務員倫理法」という、職業倫理に関しての「法律」ができたのは、平成11年(1999年)、20世紀末のことだった。
まさに、「世紀末」、すなわち、「世の末」的な法律なのだ。
なぜか?

公務員と民間人を「完全分離」してしまった。
民間の活動が高まることが国の発展の原動力なのに、公務員からの意味不明な命令を原動力にさせることになるからである。

民間の事情にまったく「うとい」という公務員の特性に磨きをかけて、民間の事情を無視せよ、という命令の法律なのである。

どんな事情かしらないけれど、菅首相の子息が総務省の役人を接待したら、この法律に触れて、局長・審議官級が複数更迭された。
なるほど、道徳ではなくて、客観性を重視する「倫理」に抵触したというわけだ。

でも、どんな事情だったのか?
ということのほうがよほど重要なのである。

それに、NHKは情実採用をしているという「うわさ」が絶えない。
いろんな分野の実力者たちの子どもを入局させて、人事的な「人質」にする、という戦略だ。
特殊法人としてのNHKの闇は、いっさい解明されることはない。

この国はどーせ役人天国なのだ。
ならば、民間はじゃんじゃん役人を接待して、「人質」にして、自社に都合のよいことを役人にさせれば、あんがいと、閉塞感を破ることができるのではないか?

それと、民間に就職した経験者しか「キャリア採用しない」とすれば、もっとよい。
内閣法制局が機能不全になれば、国会両院の法制局が重要になる。
元来、国会が立法機関だから、こちらが「道理」にあっている。

これで、放送法の違反取締を国会にやらせれば、放送局がこわくて議論ができない、という状況もかわるだろう。

ついでに、厳しすぎる「公職選挙法」も、ゆるゆるにするとよい。
立候補者から徴集する、高額の「預託金」だってただにせよ。
だれでも日本国民なら立候補できるようにするのが、民主主義の基本だ。
そのかわり「公党」には、かならず「予備選挙」を義務づける。

もちろん、選挙管理委員会も現行の総務省が所管するのは、役人「倫理」にそぐわないから、最高裁判所に所管させるとよいだろう。
委員は全員、最高裁判事が輪番でなるとよい。
そうなれば、地方の選挙も地方裁判所が管理することになる。

ゆるゆるでも、違反者は即刻有罪(「以下」を定める「刑法」ではなくて、「選挙法」で懲役5年以上)とすればよいのだ。

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