共和制と民主主義

国家の政治体制をいうときの「区分」で、いまや圧倒的に多数なのは「共和国(republic)」である。
近代での本来的な意味は、「非君主国」ということだったけど、民主主義(democracy)と結びついた君主制「立憲君主国」がでてくると、表面的には「大統領制」をいうようになった。

わが国の曖昧さは、天皇の位置づけから破壊されたので、大手を振って「立憲君主制」ともいえず、なんだかわからないから、「民主主義国家」ということにしている。

これが、世界的にも珍しいのは、「共和国」は共和国であって、「民主主義国家」とはいわないからである。
ここに、戦後のわが国の「政治体制(政体)=国体」についての「闇」があるのだ。

トランプ氏が大統領選挙の正当性を、表面的に放棄して、バイデン政権らしきものが発足した最近になって、「株式会社アメリカ合衆国」と、「アメリカ共和国」とを分ける議論が起きている。
そもそも、トランプ氏が属したのが「共和党」だから、トランプ派が「アメリカ共和国」をいいだしたともいえる。

だから、表面的な政権らしきものを、「株式会社アメリカ合衆国」と表現したい気持はわかるし、なかなかうまいいい方なので感心している。
「日本株式会社」とか「株式会社日本」といういい方が、オリジナルだと言い張っても空しい表現だけど、国をあげてひとつの「エンタープライズ」だといえば、納得もいく。

自由主義を標榜した、かつてのアメリカ合衆国なら、こんないい方に反発しただろうけど、国家を超えた巨大テック企業たちの「情報支配」が、ほんとうに国家を支配したうえでのビジネスをやっているから、彼らに支えられた民主党は、株式会社アメリカ合衆国の表面上のボードメンバーとなっている。

すると、国家間の軋轢というのは、もはや「過去のこと」にすぎず、真の支配者である巨大テック企業の意向こそが、国家意思となる時代になった。
だから、今度の政権が「親中」だとかいうのも、まやかしであって、巨大テック企業が儲かるためのルールづくりが、そのまま「対中要求」になるはずなのだ。

もちろん、個々人を情報支配して全体主義を完成させたいひとたちとも手を組むのは、その技術的背景が「儲かる」からであって、さらに、アメリカ大統領選挙での介入で、全体主義の旨味を知ってしまったから、もう戻れないのである。

これは、一種の麻薬中毒なのだ。

巨大テック企業の経営トップが、このような麻薬中毒に陥る一方で、支配される側は、州政府から本物の薬物依存を促進されて、民主党系=左派の知事が君臨する、たとえばオレゴン州では、注射器を希望者に無料配付という「行政サービス」がおこなわれているし、カナダでも同様の状況以上(コカインの配付)が発生している。

もう30年以上前に、スイスでは無料麻薬投与所が開設されていて、ここでは本人が希望する薬物を、有資格者によって「安全」に提供されている。
当然だが、スイス社会は、本人が廃人になることを容認したかわりに、薬欲しさの犯罪を防止することを、国民投票によって優先させたのである。

すると、スイスの「民主主義国家」としての完成度は、その徹底的な「個人主義」とセットで、「完璧」であることがわかる。
直接民主制(単純多数決)によって、自動的に「法」がつくられるからである。

対して、自由主義の「共和制」では、「法の支配」を前提におく。
たとえ多数決で決しても、それが、「法」に合致しなければ「無効」とするのが、「共和制」の本質なのだ。

たとえば、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンのように、1個のパンを盗んだことが、生涯追われる罪になるのか?という問いである。
刑法があれば、その罰則以上の罪に問うことはゆるされないのが、法治の原則である。

アメリカ合衆国連邦議会における、トランプ氏二度目の弾劾訴追(下院)と裁判続行決議(上院)は、アメリカ合衆国が、共和制の法治ではなくて、民主制の多数決になった瞬間を見せてくれたものなのだ。
つまり、国柄の変更である。

これを押し進める、ほんとうの勢力が、グローバリストたちである。

フロリダに第二の大統領府をつくった、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」とは、反グローバリゼーションの旗印だ。
だから、彼が掲げた選挙キャンペーンが「法と秩序」だった。
まさに、共和制をストレートに表現したのである。

さてそれで、わが国の、民主主義国家とは、とっくに多数決による「民主制」そのもので、学校教育の現場でも、「多数決」をもって決めることが正義とされる「(洗脳)教育」がされている。
そうやって育った、おとなたちのなかの成績優秀者が、民主制の支配者になるようになっている。

日本の危機が、アメリカの危機より深刻なのは、こんなところにも見つけられるのである。

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