国民の知る権利と知らせない義務

2年がかりのアメリカ大統領選挙とちがって、わが国は急づくりで、しかも決め方が決まっていないので、どうやって決めるかから決めないといけない。

これは、政権党の自民党が近代政党ではないことが原因だ。
近代政党の条件は、1.綱領、2.組織、3.議員、の三点セットがあることだけど、「あるだけ」ではいけなくて、順番における重みが重要なのだと書いた。

「あるだけ」なら、わが国最大政党で戦後のほとんどの期間を政権与党でいる党だって「近代政党」になってしまう。
それで、政治学者の皆さんは、わが国最大政党を近代政党だと定義している不思議があって、学術補助金に目がくらんだ「文系」の典型と疑うのだ。

基本的な定義が、ちがった基盤でおこなわれれば、その先の議論の果ては、あり得ないほどトンチンカンになる。
姿勢制御が苦手な宇宙ロケットが、数センチ向きを間違って発射されたらそれだけで目的の方向を失うことになりかねないのとおなじだ。

たとえば、いちばん近い政権交代は、1回の選挙で生まれた鳩山政権だったが、その後、管・野田とぜんぶで三人で政権をたらい回しした。
このときの「民主党」には、そもそも1.綱領、が「なかった」のだ。これを、野党になった自民党がしつこく批判していた。

そんなわけで、これから分裂した立憲民主党と国民民主党には、それぞれ「綱領がある」から、有権者としては、1回でもいいからチェックすべきものなのである。
もちろん、自民党のもしかりである。

こうしてみれば、どの政党も、国家が資源(ほぼおカネ)を国民に分配するという「社会主義」を目指しているので、「ちがいは国防」という構造になっている。

国が存在してこその「国家」だから、わが国のばあいは、ここでも順番がちがっている。
政権政党がどこになろうが、「国防」は同じでなければ困る。
困るのは、もちろん国民である。

わが国の「政権選択」とは、なんと「国防方針の選択」を意味するのである。
積極的に国防をしようという政党から、いまだに専守防衛という幻想的言葉遊びを貫こうという政党、あるいは、政権を奪取した場合に日米安保条約を破棄し、国防軍を創設して自主防衛するという党まである。

これは、「入れ子型」にもなっているから、巨大な自民党の内部でも「国防方針」を異にするひとたちが「派閥」を形成している。
「海洋」をふくめると、極東の小さな島国から一転して、世界第6位の巨大な国に変身するのがわが国である。隣の大陸国家より、はるかに面積が広いのだ。

だから、島嶼防衛というのは必然的な国家の仕事になる。

この現実をみれば、どうしたら「政権選択」が「国防方針の選択」になるのか?
残念ながら、この一点だけで、ぜんぜん近代国家ではない。
むしろ、周辺国に領土的野心という妙な気を起こさせる誘惑を与えるから、平和を乱す迷惑をさらなる周辺国にばらまいているのである。

しかも、縮尺を現実にあわせれば、もともとわが国は極東の小さな島国ではなく、けっこう大きな国なのである。
いちばんいいのは、地球儀をみることだ。
それで、ヨーロッパと比べたら、わが国は驚くほど「でかい」のである。

さてそれで、2.組織、に目をやると、政党だって組織なのだから、組織での決めごとには議論が必要で、最後は投票行動となる。
それは、人事もおなじだし、むしろ政党という組織では、営利企業とちがって、人事こそが政治となる。

だから、政党内でさまざまな「選挙」が行われるのが近代政党の近代政党たるゆえんになる。
このとき、おカネで買収することが優先される組織では、内外からの批判に耐えられない。

すなわち、「議論」もしかりだが、ふだんからの「マネジメント」ができるかできないかが「人柄」として現れるのが「選挙」での投票結果になる。
しかも、選挙で投票権を持つのは、党員というひとたちになるのは当然である。

もちろん、党員だって、自腹で党費を支払っているひとたちであって、その前提として綱領への賛同がある。
議員から頼まれて、名簿掲載としてだけの党員になる、ということではないし、党費を支払うのも議員であってはならない。これこそ「買収」になるからだ。

しかも、党員は党員同士から立候補者を選ぶ。
そのためには、党内で「予備選挙」をして、その勝者が立候補する。
予備選挙での敗者は、党員として勝者の選挙を手伝うことだって、当然とされるのが「組織」の行動原理である。

こんなルールが、事前に決まっている。
その都度、ルールを変えるということはあり得ない。

わが国に、こうした制度すら存在しないのは、国民の知る権利を国民が行使しないからでもあるけれど、なんだか知らせないことを義務だとかんがえているひとたちがいる。

損をするのはいつだって国民だから、もうすこし賢くなる努力をした方がいい。
そのためには、まず、テレビを観ないことからはじめよう。

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