太陽が弱っている

黒点がたくさんあると、それは、活発な活動の証拠となっている。
ところが、先月の2月、太陽の黒点が観測されたのは二回だけで、10年ぶりのすくなさになったという。
太陽の活動は11年周期といわれているから、これから一年はもっと弱くなるかもしれない。

わたしたちが住む地球は、太陽系第三惑星という位置で、第八惑星の海王星にくらべれば、おそろしく太陽に近い。
そうはいっても、光の速度で8分ほどもかかるというから、わたしたちは現実の8分前の太陽光線をあびていきている。

ふだん意識していないが、太陽からの恩恵はまさに「お天道さま」にふさわしく、はかりしれない。
植物が光合成で育ったものを、動物は食糧とするから、その動物をたべることも、太陽があってこそである。

エネルギーだって、なにも「太陽光発電」だけではない。
雨が降るのも風が吹くのも、太陽からのエネルギーあってこそだから、水力だろうが風力だろうが,広い意味では「太陽発電」になっている。
もちろん、古代の植物が炭化したのが石炭であり石油だから、なんのことはないぜんぶ「太陽発電」の範囲から、はみだしてはいない。

火星への移住という壮大な計画のために、巨大な温室で植物をそだてる実験をした。
「温室」にしたのは、地球環境から切り離すためであった。

それで、いろんな条件をかえてみたところ、二酸化炭素濃度を現在の数倍にしたら成長が促進されることがわかった。
これには、植物の種類で結果がことなるので、すべての植物にいえることではないが、地球上で大部分をしめる26万種の植物は、いまよりも濃い二酸化炭素濃度が好ましいのである。

ということで、農業分野では、ビニールハウス内の二酸化炭素濃度をあげる「二酸化炭素『肥料』」があたえられて、生産性に貢献している。
わかりやすい例では、メロンやイチゴといった園芸作物に応用されている。
つまり、糖度があがって甘くなるから高価な取引価格になるのである。

火星には大気がないから、人工的につくる環境下では、むだなく食糧の自給を実現しないと、とうてい「移住」などできない。
しかし、地球よりも太陽から遠い分、エネルギー確保のほうが深刻になるのである。

地球にはなしをもどすと、ロンドンのテムズ川が凍結して、ひとびとがスケートを楽しむ絵画がのこっているように、17世紀からの小氷河期では世界各地で飢饉が発生している。
これが原因で、他国に攻め入ることもあったから、太陽活動は地上に物騒な問題を引き起こす。

田家康『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年-』(日本経済新聞出版社、2013年)には、日本の事情が解説されている。おなじ著者の世界史版や文明史もある。

  

自然を崇拝してきた日本人だったが、どういうわけかいまは、自然を支配できると思いあがっている。
そのはじまりは、日本庭園にあるのではないかとうたがう。

西洋の庭園は、植物を幾何学的に刈り込んでみせ、支配力を露骨にみせつけているが、あたかもそこが大自然のなせる芸術的ワザであると仕立てる日本庭園こそ、じつは高度な「仕事」になっている。
その究極は、島根県安来市にある「足立美術館」だろう。

人工的につくっておきながら、みるひとにそれを感じさせないばかりか、最初からそこに存在していたようにみせるのである。
これを商業的に成功させたのは、熊本県の黒川温泉である。
「雑木林」という変哲もないとかんがえられていた「すがたかたち」を、意識的にとりいれて造園したら、「本物の自然」になったのである。

自由に自然をつくれるという技術が、人間は自然を支配できるに転換して、それが地球規模でコントロールできるという「誇大妄想」になったのだろう。

自由に自然をつくれるという技術には、科学的根拠がある。
だから「技術」なのであるが、「誇大妄想」になったら科学的根拠をうしなう。

地球環境に絶大な影響をあたえているのは、惑星としての地球自身の活動と、それを支配する太陽なのである。
人類はいま降っている雨も、いま吹いている風も、コントロールすることすらできない。

太陽活動が弱まることは、他人ごとどころではない。
まんべんなく、かならず影響してくることである。

「お天道さま」を甘く見てはいけないのである。

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