失敗はゆるされない

失敗をゆるさない土壌がある。
「失敗はゆるされない」ということを気楽に口にするトップがいるから、そうなる。
そして、残念ながらこういうトップは「まじめ一筋」であることがおおい。

だから、ほんとうに「失敗する」と、その失敗をした本人を責め立てる。
これが、「部下のせい」にしていることを、このひとは気がつかない。
それに、「失敗したこと」を責め立てるから、失敗の「原因」追求をしているわけでもない。

なんのことはない、自分の責任にならないように演じているだけなのだ。
これを、「無責任」というが、こうしたひとをさらに上の立場のひとが、「ごもっとも」といって納得して、「失敗はいけない」といいだすことがある。

部下からすれば、「絶望の連鎖」である。
それは、個人の資質が責められるからだが、ことが「原因」に向かないから、その部下も、「表面をつくろう」ことがよいことだと学ぶのである。
だから、本人が「絶望」を感じなくてもいい。

感じようが感じまいが、その組織は「絶望の連鎖」をうむようになる。
こうして、やがて組織全体が「腐る」のである。
「腐った組織」には、「腐臭」を感じないひとがトップに君臨する。
そして、「失敗はゆるされない」をあいかわらず、「まじめ」にかつ「気軽に」口にするのである.

ところで、そんな腐った組織でも、「原因追及」にはなしが向かうことがある。
ようやく目が覚めたのか思いきや、けっしてそんなことはなく、「悪夢のループ」におちこんでいく。

原因の「評価」と、「改善方法」が、非合理の方向へと邁進するからである。
すなわち、「過剰」な「心配」が、「過剰」な「対策」を要求するようになるのである。

そこには、「科学」がない。
畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』をみれば、その深さもわかろうというもの。

理系組織なら心得があるだろうと思いきや、じつはそんなこともないから、組織とはおそろしい。

しかし、それをするのは、えらい文系であることがおおいとこのブログでも何度か指摘した。

なぜそうなるのか?
「余計な」ことまで「原因」とするからである。
これに、組織の「管轄」もからみつくと、もうにっちもさっちもいかない。

たとえば、「津波観測」の技術で、水面の波の高さをはかるレーダー開発は、「電波法」における「免許」が取得できずにお蔵入りしたというし、海底に沈めた重力センサーで、水面の重さを測って津波の動きをとらえることも完成していた。

ところが,津波警報を発するための「観測網」の取り決めのなかに、この重力センサーをくわえることをしていなかったから、「予報」にもちいることができない。

それでも、このセンサーからのデータはモニターしていて、あきらかに大津波が発生して、海岸に向かっていることがわかっていても、他の「観測網」の反応がないから結果的に放置された。

すなわち、「法治国家」とは、法によってひとが殺されることを許容する国家のことをいうようだ。
けれども、日本国憲法第十三条には、

「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

とあるから、これらの技術をはねのける「法」こそが、憲法違反である。

結局のところ、「優先順位」の問題なのだ。
行政官に、この判断ができない。
くわえて、この国の司法も、おそろしく「憲法判断をしない」最高裁判所が君臨している。

立法における最終チェックは、内閣法制局になってしまった。
この部局にいるひとたちは、法学部をでた上級職の行政官たちで、各省庁から「出向」して勤務している。

法律をつくるときに、過去からある法律との「整合性」をチェックする部署ということになっているから、内閣法制局を通過しないと、国会に提出されない。

そんなわけで、各省庁のえらいお役人が、内閣法制局参事官以上の役職を「五年間以上連続」で務めると、定年退官後、弁護士資格があたえられる特権をゆうしている。
だから、みなさま5年以上の勤務を「希望」することになっている。

司法試験を受けなくても、弁護士になれるのは、「老後」を保障するから、そのへんの「天下り」よりえらいのだ。
だからこそ、失敗はゆるされない。

こうして、つくるときのチェックがきびしいから、つくった後の矛盾を「最高裁判所」が指摘しすることはむずかしい。
それで、最高裁判所は居眠りできるようになっていて、おかしな法律があっても見て見ぬ振りをすれば丸くおさまるようになっている。

どちらにしても、国民は命がけだが、そんなことはどうでもよいようにできている。

官民そろって、失敗はゆるされない、という組織文化土壌には、本末転倒という倒錯があるものだ。

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