害虫被害がやばい

宿泊業は,基本的に「旅館業法」の免許がいる.
その管轄は,保健所だから,旧厚生省が主管している.
これに,ことしの6月から「民泊」がはじまる.
根拠法は,「住宅宿泊事業法」で管轄は観光庁だから、国土交通省が主管しているのだが,省令になると厚生労働省も顔をだしている.

いろんなひとが出入りするのが宿泊施設なので,衛生,という側面はたいへん重要だ.
ホテルや旅館でチェックインのときに書かされる「レジストレーション・カード(宿帳)」記入義務も,伝染病発生時のトレーサビリティ確保がそもそもである.

役所の肩をもつ気はさらさらないが,公衆衛生,というしごとは,当面役所の存在意義がありそうだ.
もっとも,日本の役所はどこも「産業優先」というDNAをもっているから,「公衆衛生業界」を行政が優先する悪癖には注意したい.

近年では,2002年から翌年にかけて東南アジアで発生した「SARS」が記憶にあたらしい.
このときは,裕福なかなりの人びとがわが国に避難してきた.これで,高級ホテルはずいぶんと部屋が売れた.
しかし,なかには感染者がいるかもしれないから,とくにフロントと客室清掃係のひとは,予防に注意をはらったものだ.

宿泊業や飲食業にとって,なにより困るのは害虫と害獣である.
「食」に関していえば,これに「菌」がくわわる.
営業停止処分にもなりかねないから,対策をしていないなどということはないだろうが,残念な事故は毎年発生している.

ここにきて,これまでなかった「敵」があらわれている.
トコジラミ(南京虫)である.しかも,「スーパー」が頭につくのが最近の特徴で,市販の殺虫剤に抵抗性を持つようだから,たいへん厄介である.

日本での被害は,外国人観光客が持ちこんだことから発生している.
そもそも,「南京虫」は,戦後のDDT大量散布などにより,わが国では撲滅していた.
近年,ニューヨークでの大量発生が報告されてから,日本に上陸しているので,ルートはアメリカと中国系になるという.
それが,主に旅行カバンや段ボールの隙間にくっついてやってくる.

この昆虫は,吸血することでエネルギーを得る.
卵を産むには,最低一回は吸血しないといけないらしいが,産み出すと日に6個程度を生涯産み続けるから,爆発的に増殖する.

成虫になると,5分から10分かけて吸血するというから,一回でかなり大量の血を吸う.
血液にはそうとうな栄養があるらしく,一度吸血すると,そのご一年以上生存できるというから,たいへん省エネルギーな虫である.
また,こまったことに,天敵があの「ゴ◯ブリ」なので,天敵をつかって駆除するという手がつかいにくい.

何カ所か刺されるのは,満腹になるまでやめないからだ.時間がたってかゆくなると刺されたとわかる.吸血を旨とする生きものは,ヒルやコウモリも吸血のあいだ相手には気がつかないような工夫をもっている.

生涯ではじめて刺されたひとは,抗体がないからかゆくない.
二度目以降は,はげしいかゆみとなって,そのへんの虫刺され薬では効かないことがしばしばだ.
それで,とある宿泊施設で全身の複数箇所を刺され,かゆみとむくみで仕事ができなくなったひとが訴訟をおこしている.

被害者もお気の毒だが,被害をだした宿もお気の毒である.しらないうちに,どなたかが持ちこんだとしかいえない.
この虫の根絶には,困難をともなうから,時間と経費がかかる.
たいへん扁平な形なので,せまい隙間にかんたんにはいれるし,夜行性だから昼間はいないようにみえる.くわえて,上記のように繁殖力がすさまじい.
とくに外国人観光客がふえてきたという宿は注意がいる.

予防方法は確立されていないが,被害がないうちに専門家へ相談するといい.
発生したときの根絶にかかわるリスク,訴訟リスク,ネットで書き込まれるリスク,などなど,やばいことだらけになる.
少しでも予防措置をすることが重要だろう.

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