政府が著作権を設ける不思議の国

著作権を政府が政府刊行物に設定する。
おかしくないか?

政府は誰のために政府刊行物を出版しているのか?
もちろん、「国民のため」である。
ならば、その政府刊行物は、どんな費用で賄われているのか?
もちろん、「税金」である。

国民のために税金を使って研究された出版物が、国民に還元されるとき、どうして「著作権」が設定されるのか?ということである。
「著作権フリー」なのが当然ではないのか?
むしろ、どんどん国民の知識をひろげるために、民間の出版社では採算にあわないけれど拡散されることが望ましいものを「政府刊行物」としているのではないのか?

「権利」についてうるさいのは、アメリカ合衆国である。
この国の秘密あつかいではない政府刊行物は、すべて「著作権フリー」が原則になっている。
だから、引用自由、コピー自由である。

しかし、アメリカで問題になったのは、外国政府や外国政府関係団体などが「勝手にアメリカ国民のための著作物」から、有用な知識を無料で受けることの是非だった。
そんなわけで、英語のものは仕方がないが、翻訳をするならアメリカ政府の許可を要するようになっている。

「政府刊行物」とは、行政サービスの一角をなす、のだから、まったく当然のことといえる。
行政当局が著作権を得ることに、国民的利益はなく、むしろ国民の損失である。

そうなると、三権のうちのあと二権、立法府(国会)と司法府(最高裁)にはどんな出版物があるのだろうか?
調べると、「ない」のだ。

そこで、衆議院のHPにいけば、「調査局」の作成資料一覧があって、どれもPDF形式での提供となっている。
もちろん、トップページ一番下に「Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.」が燦然と輝いている。

次に参議院。
さすが「良識の府」にふさわしく、著作権の明示がない。
おなじ国会で、天と地の差があるのだ。
衆議院は直ちに著作権の明示を削除すべきである。

では最高裁判所はどうか?
しっかり「Copyright © Supreme Court of Japan. All rights reserved.」がある。
わが国の司法府にして、この体たらく。

おそらく、わが国が二流三流といわれる原因がここにある。
『憲法の番人』が、深い眠りについて一度も起きてこない。
格下の裁判所から上がってくる、憲法判断を、面倒くさくてしかたない態度でやり過ごすのは、寝ぼけまなこで再び眠ろうとしているからだろう。

能動的な態度がない『番人』だから、けっこうスルーできるのだ。

これがまた、下級審にも伝染するから、「判決」をださない。
「判決理由」をしっかり書き込まないといけないのが「判決文」だから、「判決」をださなければ「判決文」を書かなくてよい。
なので、いまどきの裁判官は、「和解」こそが命となる。

最高裁の裁判官は、きっと最高裁判所のホームページをみたことがないのだ。
しかし、こんなことであんがい笑えない。
民間企業だって、自社のホームページをみたことがない社長はたくさんいるし、パソコンを触ったことがないひとが財界重鎮なのだ。

でも、やっぱり「国」が、著作権を設けるのはどうかしている。

このことが問題にならない理由は、ろくな情報を発信していないからだ。
衆議院、参議院、それに最高裁判所のホームページをみにいって、なにかいいことがあるのか?
とくにない。

これがまた、情報リテラシーの劣化をまねく。
要するに、行政府の肥大と立法府と司法府の萎縮が、わが国を近代国家から引きずり降ろす元凶なのだ。
これに国民が気づかない。

政治改革とか行政改革とか、あるいは国会改革とか、いろんな改革があったけど、江戸時代の「改革」のように、どれもうまくいったためしがない。
ならば、まず、国から著作権を撤廃してみたらいい。
どんな「抵抗」があるものかみてみたい。

きっと、こんなこともできないから、いつまでたってもマスクをしているのだ。
そういえば、添付メールにあとからやってくる「パスワード」も、相変わらずなのである。

それをする理由はなにか?をかんがえる能力が劣化して、「惰性」だけでよしとする。
もはや無料だらけになったクラウドのストレージを共有すれば、メール添付の危険よりはるかに安全なのにこれをしない。

そうしたら、顧客への連絡を電話だけにしている企業もある。
顧客の利便性よりも、自分たちの責任逃れを優先するのに、都合のよい理由になっている。
「メール添付は危険ですから弊社では原則禁止となっております」。

しばらく電話にでないでいたら、メールで連絡が入ってきた。
やればできる。

ところで、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、『インターネットの安全・安心ハンドブック』を電子版なら無料で出している。

この本には、以下の注意が記載されている。
「なお、本ハンドブックの著作権は内閣サイバーセキュリティセンター (NISC) が保有しますが、サイバーセキュリティの普及啓発活動に利用する限りにおいては、改変しないことを条件に、多様な形でご活用いただくことができます」。

まったくの蛇足である。
蛇足が闊歩する、不思議な時代になったものである。

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